高遠(読み)コウエン

デジタル大辞泉 「高遠」の意味・読み・例文・類語

こう‐えん〔カウヱン〕【高遠】

[名・形動]
高く遠いこと。また、そのさま。
「総ての眺望が―、壮大で」〈独歩・鹿狩〉
考えなどが広く深く、計り知ることのできないこと。また、そのさま。「高遠な理想をかかげる」
[類語]高踏的高尚上品気高い典雅崇高高邁超然超俗孤高脱俗俗離れ浮世離れ世間離れ

たかとお〔たかとほ〕【高遠】

長野県伊那市の地名。もと内藤氏らの城下町大奥女中絵島が流された地。高遠頼継の築いた高遠城の跡がある。

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精選版 日本国語大辞典 「高遠」の意味・読み・例文・類語

こう‐えんカウヱン【高遠】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 高くて遠いこと。高大久遠であること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「天際浮游の大気、高遠にして中間に満たれば」(出典:異人恐怖伝(1850)上)
    2. [その他の文献]〔論衡‐説日〕
  3. 高い所に目をつけ、遠い将来を思い、志の非凡なこと。高くぬきんでていること。高尚であること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「高遠な事を願とする人ぢゃぞ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)七)
    2. [その他の文献]〔魏志注‐原伝

たかとおたかとほ【高遠】

  1. 長野県南部の地名。中世以来の城下町で、元祿四年(一六九一以後幕末まで内藤氏が入封。伊那盆地北部の中心地として栄えた。城址コヒガンザクラの名所。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高遠」の意味・わかりやすい解説

高遠
たかとお

長野県中南部、上伊那郡(かみいなぐん)にあった旧町名(高遠町(まち))。現在は伊那市の中央北部を占める。旧高遠町は1889年(明治22)町制施行。1956年(昭和31)長藤(おさふじ)、三義(みよし)の2村を合併、1958年藤沢村、1964年河南(かなみ)村を編入。2006年(平成18)伊那市に合併。旧高遠町域は天竜川の支流三峰川(みぶがわ)とその支流藤沢川の河谷にまたがり、大部分は山地で、耕地や集落も谷底に立地するものが多い。伊那谷と諏訪(すわ)盆地を結ぶ杖突(つえつき)街道(国道252号)が走り、JRバスが運行する。中心地域には小規模な商店街が形成される。三峰川との合流点に近い藤沢川左岸の断崖(だんがい)上にある高遠城跡(国指定史跡)は、武田信玄(しんげん)の前進基地として築城、江戸時代には高遠藩の居城があった。コヒガンザクラの名所として知られる。城下町は城跡から数十メートル下の段丘上に形成された。付近には近世東日本の各地で活躍した高遠石工たちの手になる石仏を集めた建福寺(けんぷくじ)、江戸中期この地に配流された大奥女中絵島(えじま)の墓所や、絵島が生涯を閉じた囲(かこい)屋敷(復原)がある。

[小林寛義]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高遠」の意味・わかりやすい解説

高遠
たかとお

長野県南東部,伊那市北東部の旧町域。赤石山脈の北西斜面に位置する。 1889年町制。 1956年長藤村,三義村と合体。 1958年藤沢村,1964年河南村を編入。 2006年伊那市,長谷村と合体して伊那市となった。中心集落の高遠は天竜川の支流三峰川と藤沢川の合流点の段丘上に位置する谷口集落。江戸時代には内藤氏3万 3000石の城下町,また杖突街道の宿場町で,伊那盆地北部の政治,経済の中心をなした。 1912年の伊那電鉄の開通後は町勢は停滞した。高遠城跡 (国指定史跡) は公園となりサクラの名所。蓮華寺には芝居役者,生島新五郎と密通したという罪でこの地に流された奥女中,絵島の墓がある (→絵島事件 ) 。仙丈ヶ岳への登山口でもある。北部の杖突峠ハイキングの好適地。三峰川や支流の谷で米作が行なわれるほか,観光と林業を主とする。一部は三峰川水系県立自然公園に属する。

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普及版 字通 「高遠」の読み・字形・画数・意味

【高遠】こうえん(かうゑん)

高尚で遠大。〔晋書、隠逸、索襲伝〕宅は畝に彌(わた)らざるも、志、九州を忽(ないがしろ)にし、形は塵俗に居るも、心を天外に棲ましむ。黔婁(けんろう)の高生の不願と雖も、以てぐる(な)きなり。

字通「高」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「高遠」の意味・わかりやすい解説

高遠[町]【たかとお】

長野県南部,上伊那郡の旧町。三峰(みぶ)川と支流の藤沢川,山室川の流域を占め,大部分は山地。中心集落は高遠藩内藤氏の城下町,杖突(つえつき)峠越えの要地として栄えた。高遠城跡は桜の名所。伊那市からバスが通じ,南アルプスの登山基地,遠流(おんる)となった江島の墓がある。2006年3月上伊那郡長谷村と伊那市へ編入。139.36km2。7251人(2003)。→江島生島

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改訂新版 世界大百科事典 「高遠」の意味・わかりやすい解説

高遠 (たかとお)

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世界大百科事典(旧版)内の高遠の言及

【三遠】より

…中国山水画の構図理論。高遠・深遠・平遠をいい,視点の位置によって異なる三つの構図形式を,北宋中期の郭熙が《林泉高致》の中で理論的にまとめたもの。高遠は山の下から頂を仰ぎ見る形式,深遠は山の前から後をのぞきうかがう形式,平遠は近山から遠山を望み見る形式をいう。…

※「高遠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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