明治時代の開明的な実業家。幕府賄方佐久間甚右衛門の長男として江戸日本橋小伝馬町に生まれる。幼名,千三郎。安井息軒に学び,維新後さまざまの事業を行ったのち,1876年9月に今日の大日本印刷の前身,秀英舎を東京板橋におこし,その経営にあたった。日本の殖産興業をはかるという見地から同業組合,商業会議所の育成に尽力するとともに,徒弟教育,職工資格の確定,職工保護政策,職工組合の必要を力説した。たんに工場法の必要を説くだけでなく,秀英舎において8時間労働,養老積立金,夏季休暇などを採用し,また97年労働組合期成会の評議員になるなど労働者団体の育成にも努めた。のちに〈日本のロバート・オーエン〉と称せられた。
執筆者:池田 信
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(有山輝雄)
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実業家。幕臣(賄方(まかないかた))佐久間甚右衛門の長子として江戸・日本橋に生まれる。幕府儒官安井息軒(やすいそくけん)に学び彰義隊にも加わる。明治維新後、北海道開拓事業などに携わるが、教部省出仕後の1876年(明治9)京橋に活版印刷所、秀英舎(現在の大日本印刷)を共同出資で設立。以後、印刷、出版事業を中核として各種の事業に関係した。当時の進歩的実業家として雑誌上に社会政策を論じ、東京市議会、東京商業会議所、農工商高等会議の各議員を務めて工場法制定に尽力した。さらに、89年自ら秀英舎において最初の印刷工組合を組織したり、多くの労働者保護施策を実行したところから、「日本のロバート・オーエン」と称される。
[浅野俊光]
『豊原又男編著『佐久間貞一小伝』(1904・佐久間貞一君胸像建設事務所)』
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