佐陀川(読み)サダガワ

デジタル大辞泉 「佐陀川」の意味・読み・例文・類語

さだ‐がわ〔‐がは〕【佐陀川】

島根県東部、松江市を流れる人工河川。宍道しんじ北東岸の浜佐陀から北へ島根半島を横切り、同市鹿島町恵曇えとも日本海に注ぐ。長さ約8キロ。天明7年(1787)、松江城下と周辺の治水対策、恵曇~松江水運沿岸新田開発を目的として造られた。

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日本歴史地名大系 「佐陀川」の解説

佐陀川
さだがわ

大山北壁のもと谷に発し、岸本きしもと町東部北寄りを西流し、米子市河岡かわおか野本のもと川を合せて北流に転じ、同市尾高おだか精進しようじん川を合流、米子平野の東端を流れて淀江よどえ町佐陀の東側で日本海に注ぐ。二級河川。上福万かみふくまん(現米子市)から上流をはん川と称する。流路延長八キロ、流域面積四七・二平方キロ。米子平野の現流路は、天文一九年(一五五〇)八月に日野川が大洪水で流路を西に転ずるまでは日野川の河道であったとされる。半川の南に展開する東西三キロ、南北一・五キロの大原千町おおはらせんちようとよばれる台地は古来水利に乏しく、正保四年(一六四七)久古くご番原ばんばら真野まの大原おおはら別所べつしよ(現岸本町)の各村は、大庄屋の取持ちで半川に堰(五ヶ井手堰)を設け、水を引くことになった。


佐陀川
さだがわ

天明五年(一七八五)三月から同七年秋にかけて行われた松江藩の大普請により開削された川。流路延長八・三キロ。川幅約三六メートル。一級河川。寛永一六年(一六三九)頃、それまで日本海に流れ出ていた斐伊川はその流れを変え宍道湖に注ぐようになった(出雲私史)。洪水のたびに大量の水が宍道湖に流れ込み、松江城下はそのつど大水害に見舞われ、周辺の田畑の被害も莫大なものであった。これを解消するには宍道湖に流れ込む水の排水路を造ることが必要であった。度重なる被害で藩財政も逼迫しその解決策をさぐっていた松江藩では、天明三年普請方吟味役を勤めていた清原太兵衛の策を採用することになった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「佐陀川」の意味・わかりやすい解説

佐陀川
さだがわ

島根県東部、宍道(しんじ)湖の北東部と日本海沿岸の恵曇(えとも)を結ぶ人工河川。全長約8.3キロメートル、川幅約36メートル。1785年(天明5)松江藩士清原太兵衛の建議により、藩主松平治郷(はるさと)が施工、難工事のすえ2年後に完成した。城下町松江を水害から守ることと、宍道湖沿岸の諸港と恵曇間の舟運を実現することを目的とし、沿岸に新田も造成された。現在、一級河川に指定されているが、舟運と排水能力はない。

[野本晃史]

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世界大百科事典(旧版)内の佐陀川の言及

【鹿島[町]】より

…島根半島の中央部に位置し,北は日本海に臨み,南は松江市に接する。日本海に注ぐ佐陀川の河口にある中心集落の恵曇(えとも)は,東部の御津(みつ)とともに漁業集落として発展し,魚市場や冷凍設備があり,県東部の漁業中心地になっている。かまぼこや缶詰の製造など水産加工業が盛んで,鮮魚行商の従事者が多い。…

【宍道湖】より

…このころの湖は面積は現在の約1.5倍,塩分の濃度も高かったとみられるが,はんらんと河道の変遷をくり返してきた斐伊川が寛永年間(1624‐44)に東流して湖に注ぐようになってから,上流の鉄穴流(かんなながし)(たたら製鉄用の砂鉄採取)の影響もあって土砂が堆積して湖面は縮小し,塩分も減少した。一方,斐伊川の流入は西岸の三角州の成長を進める反面,東岸の松江にしばしば洪水の被害をもたらしたので,1689年(元禄2)に大橋川の南に並行して天神川が開かれ,1787年(天明7)には日本海に直接注ぐ排水路として佐陀(さだ)川が島根半島を横切って開かれた。両水路とも現在は排水量は少ない。…

【松江平野】より

…平野の標高はほとんど2m以下と低湿で,北東郊の北田町付近は1.3~1.5mと最も低い。かつては,しばしば洪水の被害をこうむったため,1689年(元禄2)大橋川の南側に並行して天神川が,また1787年(天明7)には佐陀(さだ)川が宍道湖と日本海を結ぶ人工水路として開削された。平野の土地利用は市街地以外はほとんど水田で,圃場整備の進んだところは一部乾田化している。…

※「佐陀川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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