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作職 さくしき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

作職
さくしき

荘園制における農民の土地用益権。平安時代には主として作手 (さくて) と称し,鎌倉時代以降には作手作人職,作所職,作主職,百姓職などと称した。平安時代には荘園領主から土地を割当てられて請作し,領主と直接かかわり合いをもっていたが,末期から鎌倉時代にかけて,作職が単なる耕作権のみでなく加地子 (かじし) 得分権を伴うようになると,作手所有者が名主職 (みょうしゅしき) 所有者へと転化していき,実際の耕作には,下作職,下百姓職所有者があたった。そのためこの頃から作職の売買が盛んに行われた。その売買に際しては,作職に付随する得分が明記されている。作職の種類としては,不法のないかぎり永久に保証された永代作職や,一代限りの作職などがあった。

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デジタル大辞泉の解説

さく‐しき【作職】

中世、作人がその請作(うけさく)地についてもっていた耕作権と収益権。作人職。作手職。

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世界大百科事典 第2版の解説

さくしき【作職】

主として鎌倉~戦国期に用いられた語で,作人職(さくにんしき)の略称。ときに作主職とか百姓職と表現される場合もあった。荘園や国衙領田畠作人が有した所職で,本来その土地の耕作権とそれにともなう一定の収益権を意味した。はじめは〈作人職〉の称呼が多かった。1233年(天福1)12月8日の隆玄湯田寄進状案は,僧隆玄が東大寺大湯屋の湯料田として田地3段を寄進した際のものであるが,それには湯料に充てる所当米は作人の負担とし,〈作人職においては,重代の作人たるにより神人(じにん)是安の妻女に充て行う〉(原漢文)が,もし〈懈怠(けたい)不法〉をすれば東大寺衆徒が沙汰する旨記されている(東大寺文書)。

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大辞林 第三版の解説

さくしき【作職】

中世荘園において、作人がその請作地うけさくちについてもっていた耕作権と収益権。百姓職。作手さくて職。作人職。作主職。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

作職
さくしき

中世後期の荘園・公領の名(みょう)田畠における下級の占有耕作権とそれに伴う一定の得分(とくぶん)(作徳分(さくとくぶん))で、作人職(さくにんしき)、作主職(さくしゅしき)、または百姓職(ひゃくしょうしき)ともいう。作手(つくて)、永(なが)作手などの以前からの農民的な土地所有権が、名田(みょうでん)体制のなかに吸収されて名主職が成立する一方、蓄積された農民側の剰余は、加地子(かじし)となって名主に所持され、その地主(じしゅ)化が進んだ。この地主化した名主や、その下の作人が14世紀後半頃からさらにその権利を分離させ、新しい得分(作得または作職得分)を生み出し荘園の枠外で売買可能な作職となった。太閤(たいこう)検地で名主職(みょうしゅしき)・作職ともに否定された。[島田次郎]
『島田次郎著『荘園制と中世村落』(2001・吉川弘文館)』

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世界大百科事典内の作職の言及

【下作人】より

…〈したさくにん〉ともいう。田畠の直接耕作者で,その土地の上級得分収取権者である本所・名主・作人(作職所有者)に対し,それぞれ年貢・加地子(名主得分)・作徳(作職得分)を負担する立場にあった農民のこと。彼がその田畠に対して持つ関係は下作職(げさくしき)と表現され,通常これはすぐ上級の所職である作職の所有者からあてがわれるもので,下作人はこれに対して地子の上納と,それを怠った場合はいつ所職を取り上げられてもいたしかたない旨を誓約した下作職請文(うけぶみ)を提出した。…

【職】より

…またそれに照応して,中央領主の職であった本家職,領家職は,それに見合う年貢・雑公事などの収取が困難となり,かつそのような権利の動揺,在地領主による侵犯が生じても,そのような不法行為を排除してくれる国家の裁判権,強制執行力が衰弱したため,荘園公領制的職の秩序が全般的に崩壊しはじめた。ところがまさしくこの時期に,農村では名主職,作職,下作職などという形で,農民の土地に対する権利が職で表示されるようになる。それらはおそらく,荘園領主権の衰退にともなって農民諸層の耕地に対する私的権利が強まってきたことを示すものであり,得分の面でも,1反当りの名主職得分はしばしば年貢量と同等もしくはそれを上回るほどの量に達している。…

※「作職」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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