精選版 日本国語大辞典 「作職」の意味・読み・例文・類語
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中世後期の荘園・公領の名(みょう)田畠における下級の占有耕作権とそれに伴う一定の得分(とくぶん)(作徳分(さくとくぶん))で、作人職(さくにんしき)、作主職(さくしゅしき)、または百姓職(ひゃくしょうしき)ともいう。作手(つくて)、永(なが)作手などの以前からの農民的な土地所有権が、名田(みょうでん)体制のなかに吸収されて名主職が成立する一方、蓄積された農民側の剰余は、加地子(かじし)となって名主に所持され、その地主(じしゅ)化が進んだ。この地主化した名主や、その下の作人が14世紀後半頃からさらにその権利を分離させ、新しい得分(作得または作職得分)を生み出し荘園の枠外で売買可能な作職となった。太閤(たいこう)検地で名主職(みょうしゅしき)・作職ともに否定された。
[島田次郎]
『島田次郎著『荘園制と中世村落』(2001・吉川弘文館)』
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出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
作人職・百姓職とも。中世,田地の直接耕作者がもっていた職。おもに畿内でみられる。耕作権,一定の収益取得権,さらに寄進・売買の自由をも含んだ土地所有権で,同時に年貢負担の義務を負った。中世初期から作手(さくて)として職の体系外に存在した一定の権利が,領主支配の対象として把握されたもの。従来,作職は名田(みょうでん)の分解によって名主職(みょうしゅしき)の下に重層的な職として分化したといわれてきた。しかし近年では,名主職は徴税責任者として荘園領主が任命する職務で分化はありえず,名体制の解体で表面化した事実上の年貢納入者の権利を表現したものと理解されている。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…〈したさくにん〉ともいう。田畠の直接耕作者で,その土地の上級得分収取権者である本所・名主・作人(作職所有者)に対し,それぞれ年貢・加地子(名主得分)・作徳(作職得分)を負担する立場にあった農民のこと。彼がその田畠に対して持つ関係は下作職(げさくしき)と表現され,通常これはすぐ上級の所職である作職の所有者からあてがわれるもので,下作人はこれに対して地子の上納と,それを怠った場合はいつ所職を取り上げられてもいたしかたない旨を誓約した下作職請文(うけぶみ)を提出した。…
…またそれに照応して,中央領主の職であった本家職,領家職は,それに見合う年貢・雑公事などの収取が困難となり,かつそのような権利の動揺,在地領主による侵犯が生じても,そのような不法行為を排除してくれる国家の裁判権,強制執行力が衰弱したため,荘園公領制的職の秩序が全般的に崩壊しはじめた。ところがまさしくこの時期に,農村では名主職,作職,下作職などという形で,農民の土地に対する権利が職で表示されるようになる。それらはおそらく,荘園領主権の衰退にともなって農民諸層の耕地に対する私的権利が強まってきたことを示すものであり,得分の面でも,1反当りの名主職得分はしばしば年貢量と同等もしくはそれを上回るほどの量に達している。…
※「作職」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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