信家(読み)ノブイエ

デジタル大辞泉 「信家」の意味・読み・例文・類語

のぶいえ〔のぶいへ〕【信家】

桃山時代鐔工たんこう。鉄のつばに毛彫りの文様やその題目兵法の歌などを刻し、金家かねいえと並ぶ名工といわれた。甲冑師かっちゅうし明珍派の名工信家とは別人とされる。生没年未詳。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「信家」の意味・読み・例文・類語

のぶいえのぶいへ【信家】

  1. 室町末期の甲冑師。明珍(みょうちん)家一七代という。永正~天文一五〇四‐五五)の頃に製作古来、高義・義通とともに明珍三作の一人。一説に、武田信玄に仕え、信の一字を賜わって信家を名のり、鐔(つば)を作ったと伝えられるが、現今では甲冑工とは別人とされている。生没年不詳。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「信家」の意味・わかりやすい解説

信家 (のぶいえ)

室町時代から桃山時代にかけての尾張国の鐔工。同名が芸州その他各地に,また明珍系の甲冑師にもいるが,これらとは別人とみられる。作品は実用性を強調した厚手の木瓜ぼけ)形,竪丸形の鉄板多く,まれに車透(くるますかし),巴透(ともえすかし)などの透鐔もみられる。特に鍛えぬかれた鉄の地肌は美しく,文字,亀甲文,唐草松葉などを浅く毛彫りした地文には質朴な味深さがあり,あらゆる(こしらえ)にかけてもよく調和するため,江戸時代には賞翫された。文字鐔の〈運有天地不定 あららくや人を人ともおもはねは我をも人は人と思はぬ〉,〈きりむすふ太刀の下こそちこくなれみてきりかかれさきはこくらく〉には戦国武人の気風が感じられる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「信家」の意味・わかりやすい解説

信家【のぶいえ】

室町末期の鐔(たん)工。甲冑(かっちゅう)師明珍(みょうちん)の17代にあたり,甲州に住して武田家に仕えたという。作品は厚みのある木瓜(もっこう)形や撫角(なでがく)の鉄鐔(つば)で,亀甲,つる草などを地文に使い,戦国武士の思想や信仰などを文字に表したものが多く,豪快な味わいをもつ。信家と銘を切る鐔工はほかにもいたが,作風は似ている。
→関連項目鐔/鍔

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「信家」の解説

信家 のぶいえ

?-? 織豊時代の鐔(たん)工。
元亀(げんき)-天正(てんしょう)(1570-92)ごろの尾張(おわり)(愛知県)の人。作品は実用的で,木瓜(もっこう)形・撫角(なでかく)形・円形の鉄鐔に亀甲(きっこう)・文字・唐草(からくさ)などを毛彫りしたものがおおい。甲冑(かっちゅう)師の明珍(みようちん)信家とは別人。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「信家」の意味・わかりやすい解説

信家
のぶいえ

室町時代末期の尾張の鐔 (つば) 工。鉄地,厚手の板鐔に自然文や器物を毛彫したものが多く,まれに尾張鐔風の簡単な透かしや鋤彫を加えたものがある。甲冑師明珍 (みょうちん) 派の 17代信家とは別人。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の信家の言及

【鐔∥鍔】より

…室町末期から桃山時代にかけて,山城国伏見の地に鐔の専門工として金家が現れ,鐔にはじめて絵画風の文様を表した。ほぼ同じころ尾張に信家がおり,鍛えのよい鉄鐔に,毛彫で文字や草花を巧みに表現した。桃山時代に入り,京や尾張に透彫の鉄鐔をもっぱら製作する集団があり,従来の透彫鐔に一段の進歩をみせた。…

※「信家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

一度利用した製品を捨てずにそのまま再使用すること。ごみの削減に重要だとされる「3R」の一つで、衣類・服飾品や家電などさまざまな品目が取り扱われている。リユース商品の専門店やイベント、フリーマーケット...

リユースの用語解説を読む