入側(読み)いるかわ

精選版 日本国語大辞典 「入側」の意味・読み・例文・類語

いる‐かわ ‥かは【入側】

〘名〙 座敷縁側との間にある一間(約一・八メートル)幅の通路
風俗画報‐二五五号(1902)人事門「座敷に二間床高麗縁承塵造り入側(イルカハ)付の広間にて二の間三の間の小座敷も亦之れに列びて物し」

いり‐がわ ‥がは【入側】

〘名〙 近世書院造りで、濡れ縁内部部屋との間に設けられた畳敷きの廊下縁座敷
※歌舞伎・土蜘(1881)「月も雲間へ入側(いりかは)を、侍女胡蝶は静々と、御前間近く歩み寄り」

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デジタル大辞泉 「入側」の意味・読み・例文・類語

いり‐がわ〔‐がは〕【入(り)側】

《「いりかわ」とも》
書院造りで、濡れ縁と座敷の間にある1けん幅の通路。畳敷きとした場合はえん座敷ともいう。
ひさし2」に同じ。
引き出し左右にある側板

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百科事典マイペディア 「入側」の意味・わかりやすい解説

入側【いりがわ】

座敷と縁側との間の廊下。前身寝殿造母屋(もや)の周囲に設けられた庇(ひさし)で,庇の外側にさらに簀子(すのこ)縁があった。のち書院造においては広縁といった。江戸初期に雨戸が発生,完全に内室と化し,畳が敷かれて縁座敷といい,入側とも称した。

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世界大百科事典(旧版)内の入側の言及

【廊下】より

…室町時代に入ると,貴族住宅の配置は複雑化するが,そこでは建物をつなぐ簡単な構造の廊下は,もはや廊や渡殿と呼ばずに釣屋(つりや)と呼んでいる。 建物内部の廊下が著しく発達したのは桃山・江戸時代の将軍や大名等の邸宅で,建物を相互に結ぶ廊下のほか,客座敷の外側をとりまくように設けられた畳敷きの廊下(広縁,入側(いりがわ)と呼ぶことがある)や,片側や両側に多くの部屋を並べた廊下などが用いられた。江戸時代の農家・町家や,中・下級の武士住宅には廊下はほとんど見られないが,江戸時代末期には,家の二方あるいは三方に連続した縁側を設けて,便所や風呂場への通路に用いるものが現れ,廊下に似た機能をもつようになる。…

※「入側」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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