八病(読み)ハチビョウ

デジタル大辞泉 「八病」の意味・読み・例文・類語

はち‐びょう〔‐ビヤウ〕【八病】

詩八病しはちへい

はち‐へい【八病】

詩八病しはちへい

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精選版 日本国語大辞典 「八病」の意味・読み・例文・類語

はっ‐ぺい【八病】

  1. 〘 名詞 〙 中国、六朝時代梁の沈約(しんやく)によって唱えられた詩の音律上の法則。句中の調和を保つために、声律の上で避けるべき八つの点。すなわち、平頭上尾蜂腰鶴膝・大韻・小韻・旁紐・正紐をいう。唐代にはいって近体詩が成立する基礎となった理論詩八病詩病
    1. [初出の実例]「凡詩有八病。其尤可避者、平頭、上尾、蜂腰、鶴膝、此四病也」(出典作文大体(1108頃か))
    2. [その他の文献]〔滄浪詩話‐詩体〕

はち‐びょう‥ビャウ【八病】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「病」は忌むべきこと、欠点などの意 )
  2. はっぺい(八病)
  3. の影響を受けて日本の歌学で定められた八種の歌病、すなわち、同心・乱思・欄蝶・渚鴻・花橘・老楓・中飽・後悔をさす。「歌経標式」の七病、「文鏡秘府論」の二八病などをもとにして設けられたもの。和歌式孫姫式その他に説かれている。詩病を模倣した考え方なので、和歌表現の実際に即さないものが多く、のちには同心病以外概して顧みられなくなった。〔孫姫式(10C後か)〕

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普及版 字通 「八病」の読み・字形・画数・意味

【八病】はちへい

作詩上の禁忌。〔南史、陸厥伝〕(沈)等の、皆宮を用ふ。上去入の四聲を將(もっ)て、此れを以てを制す。頭・上尾・(ほうえう)・鶴膝(かくしつ)り。(大韻・小韻・旁紐・正紐の名は、文鏡秘府論にみえる)

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改訂新版 世界大百科事典 「八病」の意味・わかりやすい解説

八病 (はっぺい)
bā bìng

中国,南朝梁の沈約(しんやく)によって主唱されたといわれる詩作上の規律。平・上・去・入の〈四声(しせい)〉を一定の原則にもとづいて各詩句に調和させ,声律の美しさをもたらそうとするねらいを持つ。うち特に犯してはならない反則が8種あり,それぞれ平頭(へいとう),上尾(じようび),蜂腰(ほうよう),鶴膝(かくしつ),大韻,小韻,旁紐(ぼうちゆう),正紐(せいちゆう)と呼ばれた。平仄(ひようそく)の理論の前身をなす。空海の《文鏡秘府論》には,八病に関する基本的文献が収められる。
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