湿り原料を凍結し,真空下(0.1~3mmHg)で氷を昇華させて乾燥する方法で,冷凍乾燥ともいう。多孔性乾燥製品が得られ,低温での乾燥が可能なため特に熱に不安定な物質の乾燥に適している。水分の多い状態では不安定な血清,血漿,ワクチン,抗生物質等はこの乾燥法によって常温長期保存が可能となるほか,水への再溶解性も良好なため,微生物,医学,薬学方面での利用が盛んである。また,インスタント食品の普及で,魚肉類,野菜などの固形食品からコーヒー,スープ原料,果汁等の液状食品に至るまで,広く本法による乾燥が行われている。製品は芳香,風味に優れ,また復水性が良好であるが,乾燥コストは高い。この乾燥装置は,原料容器,加熱源,発生水蒸気除去のためのコールドトラップ(-30~-50℃),真空ポンプから構成される。材料は伝導,放射加熱され,小容量では箱型棚段乾燥室,大容量では凍結原料を底の浅い容器に入れて順次コンベヤ輸送される半連続トンネル型乾燥室のものまで種々の型式のものがある。
執筆者:岡崎 守男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
物質を凍結した状態で真空乾燥することをいい,物質中に含まれた水分は,液相を通らず直接気化(昇華)し,排気系に運び去られる.通常,133 Pa 程度以下の真空中で,0 ℃ 以下の低温で行う.薬品や食品など熱に敏感で,水分を比較的多く含み,そのままの状態では変質したりする材料はこの方法で乾燥され,得られたものは長期保存が可能である.凍結真空乾燥すると芳香成分や色素は組織についたままで,水分とともに失われることなく残る.また,これに適当に水分を加えると乾燥前の状態に近い形と状態で復元される.とくに抗生物質,血漿,血清,および食品など,熱によって死滅,あるいは変質するような物質の乾燥に用いられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…材料は熱板と接して伝導加熱されるか,放射加熱される。装置の構成は凍結乾燥装置と同じである。加熱速度の大小により材料温度が決まるが,非凍結のまま乾燥する場合を真空乾燥,材料温度を低温に保って凍結状態で乾燥する場合を凍結乾燥と呼び,区別することが多い。…
※「凍結乾燥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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