利島(読み)トシマ

デジタル大辞泉 「利島」の意味・読み・例文・類語

と‐しま【利島】

東京都伊豆七島の一。面積4.2平方キロメートルの火山島。海岸は断崖をなし、オオミズナギドリが群生。椿つばき油を特産。

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精選版 日本国語大辞典 「利島」の意味・読み・例文・類語

と‐しま【利島】

  1. 伊豆諸島、大島南西方の小火山島。一島で東京都大島支庁利島村を形成。椿油を特産とする。

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日本歴史地名大系 「利島」の解説

利島
としま

大島の南方約二七キロにある島で、北部伊豆諸島の一つ。外島とも書く。面積四・一二平方キロ。最高峰宮塚みやづか(五〇七・五メートル)で島全体が円錐状になっている。水に乏しく、古来から天水に頼っており、近年まで嫁入り道具のなかでも水桶が重視されていた。現在は道路が導水路の役割をなし、これに貯水されるように工夫されている。海岸は険しく、唯一の桟橋も平穏な日以外は定期船は接岸できず、通過することが多い。島全体は豊かな照葉樹林に覆われ、阿豆佐和気命あずさわけのみこと本宮・大山小山おおやまこやま神社・下上おりのぼり神社境域は原生林の中にある。またツバキが多く植樹され、椿油は島の特産品になっている。大石山おおいしやま遺跡は伊豆諸島最大級の遺跡として知られ、縄文時代早期後半―中期、さらに古墳時代から奈良時代にかけての集落跡が確認されている。西側には弥生時代中期の竪穴住居跡が発掘されたケッケイやま遺跡がある。小島ではあるが神社が各所に祀られ、平安時代末期から近世にかけての和鏡の出土が際立っているのも特色になっている。応永三年(一三九六)七月二三日の斯波義将施行状(上杉家文書)で、伊豆守護上杉憲定に伊豆国の所領が交付されている。この憲定の所領は前年七月二四日に父憲方の遺領として安堵されたもので、「外島」をはじめとする伊豆諸島の島島も含まれていた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「利島」の意味・わかりやすい解説

利島(村)
としま

東京都大島支庁、伊豆諸島の利島にあり、1島1村をなす村。明治になり韮山(にらやま)県、足柄(あしがら)県、静岡県と所管がかわり、1878年(明治11)東京府に編入。東京の南約140キロメートルにあり、面積4.12平方キロメートルで伊豆七島のうちもっとも小さい。宮塚(みやつか)山(508メートル)が大半を占め、海岸は断崖(だんがい)をなし、集落は北側の郷(ごう)に集まっている。椿油(つばきあぶら)(大島椿油)の生産が最大の産業。昭和40年代以降、伊豆諸島にのみ分布するサクユリの球根生産などの園芸農業も行われている。海産物蓄養施設(1988年完成)や小型漁船泊地(1990年供用開始)があり、漁業も行われる。800年の伝統をもつ八幡神社の流鏑馬(やぶさめ)は東京都指定無形民俗文化財。オオミズナギドリの群棲でも知られる。人口327(2020)。

[沢田 清]



利島
としま

東京都大島支庁に属する伊豆諸島のなかの島。1島1村で面積4.12平方キロメートル。島は宮塚(みやつか)山(508メートル)を中心とする急傾斜面をもつトロイデ型の火山島で、集落は北側の山腹斜面の前浜に立地している。地下水が得られず完全な天水依存の生活である。全島の約60%はツバキ林で、良質の椿油(つばきあぶら)の原産地であるが、最近は斜陽化している。農・林・水産業のいずれも不振である。船便は、東京、下田などからの定期船が寄航する。人口284(2009)。

[菊池万雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「利島」の意味・わかりやすい解説

利島
としま

東京都伊豆諸島の北部,大島の南西 27kmにある火山島で,活火山。周囲 7.7km,面積 4.12km2で伊豆諸島中最小の火山島。玄武岩よりなる成層火山で,最高峰は宮塚山(508m)。海食崖が発達し,標高 30~100mの断崖を形成し,海上交通は不便である。行政上は 1島で利島村を構成。富士箱根伊豆国立公園に属する。地下水に恵まれず飲料水はおもに天水に依存している。ツバキの実を原料としたつばき油が特産で,ほかにイセエビなどの採取も行なわれている。人口 302(2000)。

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改訂新版 世界大百科事典 「利島」の意味・わかりやすい解説

利島 (としま)

大島の南南西約20kmにあり,伊豆七島中最小の島。一島で東京都大島支庁利島村を形成する。人口341(2010)。宮塚山(508m)を中心に,周辺は急傾斜をなす円錐形の小火山島で,島の周囲は約5km。海岸は海食崖で囲まれ,平地に乏しく地下水が得られないので,昔から天水依存の島として知られたが,1976年簡易水道が完成した。集落は島の北斜面中腹にあり,島の大部分はツバキ林でおおわれる。江戸時代から良質のツバキ油を生産してきたが,近年はサクユリの栽培が盛んになっている。東京から大島経由の航路が通じ,1981年には埠頭も完成したので大型船も接岸できるようになり,86年からは東海汽船の船が1日1往復就航している(2008年現在,ジェット船も運航)。また大島との間にはヘリコプター航路が各1日1便ある。
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百科事典マイペディア 「利島」の意味・わかりやすい解説

利島【としま】

伊豆諸島中の一島。大島の南西約20kmにあり,東京都大島支庁利島村(4.12km2。341人,2010)をなす。海食崖に囲まれた火山島(活火山)で,良港はなく,水は天水に依存。9世紀には阿豆佐和気命(あずさわけのみこと)神社が祀られ,14世紀末には上杉朝宗の支配となった。江戸時代の年貢は絹であった。ツバキの実とツバキ油の生産が主産業。東京港から船便がある。

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世界大百科事典(旧版)内の利島の言及

【利島】より

…大島の南南西約20kmにあり,伊豆七島中最小の島。一島で東京都大島支庁利島村を形成する。人口317(1995)。…

【伊豆諸島】より

…東京都に属し大島支庁(大島町,利島(としま)村,新島村,神津島(こうづしま)村),三宅支庁(三宅村,御蔵島(みくらじま)村),八丈支庁(八丈町,青ヶ島村)管轄下の島嶼(とうしよ)群をいう。かつては伊豆諸島以南の地も含めて漠然と豆南(ずなん)諸島と呼ばれた。…

※「利島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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