改訂新版 世界大百科事典 「勿来関」の意味・わかりやすい解説
勿来関 (なこそのせき)
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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古代の常陸(ひたち)国と陸奥(むつ)国の海沿いの境にあった海道(東海道)の関所。白河(しらかわ)、念珠(ねず)とともに奥州三関の一つ。その創置ははっきりしないが、835年(承和2)の太政官符(だいじょうかんぷ)によれば、そのときから400年余り前に置かれたとされている。初め菊多剗(関)(きくたのせき)とよばれたが、やがて勿来関とよぶようになったらしい。「な来(こ)そ」(来てはいけない)の意をかけて用い、当時の歌などに詠まれ、広く世に知られるようになった。なかでも、後三年の役の帰路、源義家(よしいえ)が詠んだという「吹く風をなこその関とおもへども道もせに散る山桜かな」(『千載集(せんざいしゅう)』)の歌は有名である。その遺跡は現在、福島県いわき市勿来町関田字関山の地とされているが、確かではない。
[平川 南]
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陸奥国にあった関。念珠(ねず)関・白河関とともに奥州三関の一つ。古くは菊多剗(きくたのせき)といわれ,やがて勿来関とよばれるようになったとされているが,両者の関係は厳密には明らかでない。勿来関は歌枕として著名であり,「吹く風をなこその関と思へども道もせにちる山ざくらかな」(源義家,「千載集」)などの歌がある。現在の福島県いわき市勿来町に関跡といわれる場所があるが,学問的に検証されたものではない。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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