秋田県北部の市。2005年3月合川(あいかわ),阿仁(あに),鷹巣(たかのす),森吉(もりよし)の4町が合体して成立した。人口3万6387(2010)。
北秋田市北西部の旧町。旧北秋田郡所属。人口7983(2000)。阿仁川と小阿仁川の合流地域を占め,町名も1955年の町制施行の際にこれにちなんでつけられた。中心地は秋田内陸縦貫鉄道の合川駅前。阿仁川,小阿仁川沿いに耕地があり,69年から全国に先がけて全町の圃場整備が行われ,近代的な稲作が行われている。北東部の洪積台地大野台は,1936年から県営の開発事業が進められ,酪農,養豚,養鶏が盛ん。小阿仁川流域は秋田杉の美林で知られ,製材所なども多い。
北秋田市南部の旧町。旧北秋田郡所属。人口4443(2000)。阿仁川の上流を占め,町域の大部分が山林で,河岸段丘上に集落が点在する。近世初期に開発の始まった阿仁鉱山の鉱山町として発展し,鉱山と盛衰をともにした。1575年(天正3)に湯口内銀山が発見され,1614年(慶長19)には金山の開発も始まり,当時の人口は1万人前後を数えたといわれる。その後金銀山は衰えたが,寛文年間(1661-73)に銅山の開発が始まり,秋田藩のみならず,幕府の重要な財源となった。明治以後,秋田県営となったが,1875年に工部省の直轄となり,当時ドイツ人技師らが住んだ住居が今は異人館として残されている。85年には古河鉱業(現,古河機械金属)の経営となり盛業を続けたが,大正末年から衰退し,1931年に休山した。人口も明治末の1万人から4900人に減少した。その後,休山,再開をくりかえし,79年閉山した。阿仁川最上流の大阿仁地区はかつては狩猟の盛んな地域で,根子(ねつこ),比立内(ひたちない),打当(うつとう)などはまたぎ集落として知られた。農業は米作のほか,肉牛の飼育に力を入れており,キノコや山菜の採取加工も行われる。阿仁合や比立内には製材所が多い。根子では根子番楽が行われる。秋田内陸縦貫鉄道が,南北に走る。
→阿仁(地域名)
北秋田市北部の旧町。旧北秋田郡所属。人口2万1818(2000)。米代川中流,鷹巣盆地中央部に位置する。中心集落の鷹巣は近世初期に開拓された新田村であるが,寛文年間(1661-73)には阿仁地方との交易の場として三斎市が立ち,現在も続いている。周辺は秋田杉の美林地域で,米,木材の集散地としてにぎわい,近世は米代川の河港,明治以降は鉄道交通の中心として発達し,北秋田郡の郡役所,農林学校が設置された。1950年には大火に見舞われたが復興し,製材,木工業が盛ん。JR奥羽本線鷹ノ巣駅から秋田内陸縦貫鉄道を分岐し,1998年には大館能代空港(秋田北空港)が開港した。羽州街道沿いの綴子(つづれこ)は近世に本陣が置かれた宿場町で,綴子神社の祭礼(7月15日)にでる直径3mの大太鼓は有名。鷹ノ巣駅北西1kmにある胡桃館(くるみだて)遺跡は,平安時代の豪族住居跡と推定されており,出土品収蔵庫がある。
北秋田市中部の旧町。旧北秋田郡所属。人口7806(2000)。町域のほとんどは森吉山を主峰とする山地で占められ,西部を阿仁川が北流,東部をその支流小又川が西流し,両川の段丘上に集落が点在する。秋田内陸縦貫鉄道線が通じる中心集落の米内沢(よないざわ)は,近世に阿仁鉱山と能代湊を結ぶ舟運の中継地として発達,1795年(寛政7)鷹巣へ移るまで郡奉行所も置かれ,阿仁地方の中心地であった。南部の前田はかつては阿仁鉱山への用材の供給地で,昭和初期の阿仁前田小作争議でも知られる。北部の洪積台地大野台は1936年以降の県営開拓地で,酪農やタバコの栽培が行われている。秋田杉の産地で,製材業も盛ん。小又川上流には大平湖(ダム湖)があり,森吉山県立自然公園に属する。
執筆者:佐藤 裕治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
秋田県中北部に位置する市。2005年(平成17)北秋田郡鷹巣町(たかのすまち)、合川町(あいかわまち)、森吉町(もりよしまち)、阿仁町(あにまち)が合併して市制施行。東部から南部にかけては、森吉山などの出羽(でわ)山地が占め、北部は鷹巣盆地を形成する。米代(よねしろ)川が盆地を横断して西流し、その支流の阿仁川、小阿仁川、小猿部(おさるべ)川などが市域を北流している。米代川沿いにJR奥羽本線、国道7号(羽州街道)が走り、秋田内陸縦貫鉄道と国道105号をそれぞれ分岐している。また、国道285号が横断する。1998年(平成10)に大館能代空港(おおだてのしろくうこう)(あきた北空港)が開港、秋田自動車道の大館能代空港、鷹巣、蟹沢、伊勢堂岱(いせどうたい)のインターチェンジがある。
北部の鷹巣地区は米代川流域にあり、1878年(明治11)の郡区町村編制法公布後に郡役所が置かれ、県北の中心をなしていた。現在は、市役所の所在地となっている。林業が行われるが、牛肥育、養豚、養鶏などの畜産が盛ん。中西部の合川地区は、地区の中央で阿仁川と小阿仁川が合流する。米作を中心に野菜栽培や比内鶏肥育などの複合経営が行われている。中部の森吉地区は秋田杉の産地となっている。同地区の米内沢(よないざわ)は、江戸時代には阿仁川水運による物資の集散地として栄えた。森吉山周辺は県立自然公園の域内で、太平(たいへい)湖、小又峡、立又(たちまた)峡などが知られる。合川、森吉両地区にまたがる大野台では酪農がみられ、工業団地や観光施設として県立北欧の杜(もり)公園なども設置されている。阿仁地区は、銅山の町として発展したが、1978年(昭和53)に銅の採掘は停止となった。鉱山の歴史や地域の文化を紹介する阿仁郷土文化保存伝承館がつくられている。旧阿仁鉱山に残る外国人官舎(異人館)は国の重要文化財、縄文遺跡の伊勢堂岱遺跡は国の史跡。また、「根子番楽(ねっこばんがく)」は武士の舞を中心にした勇壮な舞で国の重要無形民俗文化財、綴子の大太鼓(つづれこのおおだいこ)は国の選択民俗文化財になっている。なお伊勢堂岱遺跡は2021年(令和3)、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産として世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。面積1152.76平方キロメートル、人口3万0198(2020)。
[編集部]
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