森吉山(読み)モリヨシザン

デジタル大辞泉 「森吉山」の意味・読み・例文・類語

もりよし‐ざん【森吉山】

秋田県北部にある山。奥羽山脈出羽山地のほぼ中間にあり、那須火山帯に属する楯状火山標高1454メートル。外輪山外側に向かって深い浸食谷が形成される。クマゲライヌワシなど稀少鳥獣の生息地で、県立自然公園・国の鳥獣保護区に指定されている。

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日本歴史地名大系 「森吉山」の解説

森吉山
もりよしやま

森吉町と阿仁あに町の境界にあり、標高一四五四メートルの典型的アスピーテ火山。二回の火山活動を経過したが、一回目の噴火で径およそ二・五キロの火口ができ、一の腰いちのこし前岳まえだけ石の森いしのもり・ヒバクラ岳・カンバ森などの外輪山が形成され、第二次火山活動で中央火口丘むかい岳がつくられた。

前岳に神霊の宿るといわれる岩の塔があり、阿仁前田八幡あにまえだはちまんには森吉神社がある。薬師信仰として阿仁地方の人人から崇敬され、江戸期を通じて本城の和乗ほんじようのわじよう院が別当を勤めた。堂内に「奉造立森吉山薬師如来、為立願成就、大阿仁阿仁銀山町某、享保十五庚戌四月八日」と記銘の本尊がある。「柞山峯之嵐」に「森吉山は阿仁府中の高山なり(中略)花園大石もろひ萱草洵に霊山にして、薬師尊二体あり。

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改訂新版 世界大百科事典 「森吉山」の意味・わかりやすい解説

森吉山 (もりよしざん)

秋田県中部の複式火山。〈もりよしやま〉ともいう。標高1454m。中央部に直径約3kmのカルデラを有し,南側に中央火口丘の向(むかい)岳が噴出し,カルデラ内はその溶岩で埋積されている。火口縁西部に前岳(1308m),一ノ腰(1265m)があり,東部に側火山のヒバクラ岳(1326m),立(りゆう)が森(1031m)がある。外輪山外側は緩傾斜で,北西部は火口瀬の連瀬沢,南東部は打当内(うつとうない)沢による浸食が進むが,全体的には山体の開析は緩慢である。外輪山は複輝石安山岩からなり,打当内溶岩,前岳溶岩,魚の子溶岩などに区分される。山頂部は高山植物群落が覆う高層湿原で,周辺にコメツガ,オオシラビソや亜高山帯落葉低木林が分布する。中腹から山麓にかけてはブナ林帯で,クマゲラが生息する。古くから阿仁地方の霊山として信仰され,修験の道場でもあり,前岳山頂には薬師信仰で知られる森吉(八幡)神社の奥宮がある。近世には杉,ブナなどの産地として秋田藩が重視し,阿仁鉱山に製錬用の焼木や坑内照明用のともし竹を供給した。一帯は県立自然公園に指定されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「森吉山」の意味・わかりやすい解説

森吉山
もりよしざん

秋田県中北部、北秋田市の森吉地区と阿仁(あに)地区の境界にある山。標高1454メートル。出羽山地(でわさんち)北部に位置する楯状火山(たてじょうかざん)。頂上に直径約3キロメートルのカルデラがある。第一次旧火口は馬蹄(ばてい)形に北方に開き、連瀬(れんぜ)沢の火口瀬が北流する。標高1100メートル以上はアオモリトドマツ、山麓(さんろく)一帯はブナの原生林が多い。森吉山県立自然公園に指定され、県の名勝・天然記念物の「小又峡(こまたきょう)」や国指定天然記念物「桃洞・佐渡の杉原生林(とうどうさどのすぎげんせいりん)」があり、1975年(昭和50)にはクマゲラの生息が確認された。登山コースは秋田内陸縦貫鉄道阿仁前田駅からバスと徒歩による4時間行程などがある。また、阿仁ゴンドラを利用して山頂に至るコースもある。2004年(平成16)には貴重な野生鳥獣の環境保全を目的とした森吉山野生鳥獣センターが開館した。

 なお、阿仁地区の住民は古来この山を深く信仰し、旧暦4月8日には大ぜいで登山しモロビ(アオモリトドマツ)を持ち帰り、親族か知己に配る風習がある。山や鉱山に入るときモロビを焼いて災難除(よ)けとする。

[宮崎禮次郎]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「森吉山」の意味・わかりやすい解説

森吉山
もりよしざん

秋田県中北部にある火山。標高 1454m。北秋田市南東部,八幡平 (1613m) 西方に位置し,楯状火山型のなだらかな火山で,那須火山帯出羽山地に属する。森吉山を中心とする一帯は森吉山県立自然公園に指定されている。

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百科事典マイペディア 「森吉山」の意味・わかりやすい解説

森吉山【もりよしざん】

秋田県北部,森吉町と阿仁町(2町とも現・北秋田市)の境にある山。外輪山の檜葉倉山,前岳,石森に囲まれた複式火山の中央火口丘で,安山岩,玄武岩からなり,標高1454m。山頂部の湿地にヒナザクラが群生。森吉神社があり信仰登山が行われる。
→関連項目森吉[町]

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