阿仁川(読み)アニガワ

デジタル大辞泉 「阿仁川」の意味・読み・例文・類語

あに‐がわ〔‐がは〕【阿仁川】

秋田県中央北部を流れ、日本海に注ぐ米代よねしろ支流の一。森吉山に源を発し、鷹巣盆地西部で米代川に合流する。長さ64.2キロ。かつて中流域に金・銀・銅などを産出した鉱山があった。

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日本歴史地名大系 「阿仁川」の解説

阿仁川
あにがわ

仙北せんぼく郡境の掬森ぶなもり(一〇一六メートル)に源をもつ打当うつとう川に始まる。大仏だいぶつ岳から流れ出る比立内ひたちない川が阿仁町の比立内付近で合流、ここで流れを北に向け、途中森吉もりよし町の阿仁前田あにまえだの辺りで小又こまた川を、また合川あいかわ町の羽根はね山東麓で小阿仁こあに川を合わせ、山本郡の二ッ井近辺で米代川に注ぐ。全長約五〇キロ。

梅津政景日記」慶長二〇年(一六一五)八月四日条に「慶長拾九年阿仁金山御米為登候請取払、野城より小淵・かざはり・水なしまての舟賃供に算用」とあり、江戸初期から杉材・阿仁鉱山の銅などの輸送に利用された。文政四年(一八二一)の「七日市村支郷品類村より先年願之通木宿願之事」にも「両阿仁・比内とも川舟通用之湊に御座候得者、商物等は不申及手元に入用之品も郷用序に相下調」と商業の流通にも大きな影響を与えた。

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改訂新版 世界大百科事典 「阿仁川」の意味・わかりやすい解説

阿仁川 (あにがわ)

秋田県北部,北秋田市南部を北流する米代川最大の支流で,もと大阿仁川とよばれた。幹川流路延長70.6km,全流域面積1081.8km2上流は打当(うつとう)川,比立内(ひたちない)川などを合わせて阿仁川となり,中流で小又(こまた)川を,下流小阿仁川を合わせ,鷹巣盆地西端で米代川に流入する。流域の表層地質は,上流部は新第三紀層に花コウ岩など火成岩類が入りまじるが,中流部以下は新第三紀層に一部洪積層で,下流谷底に狭長な沖積平野を展開する。流域は秋田杉の美林地帯として有名であったが,生産量は第2次世界大戦後急減した。木材は戦前はいかだや森林軌道,戦後はおもにトラックにより,能代,二ッ井,鷹巣などに送られた。下流東岸の大野台(洪積台地,3000ha)は昭和10年代の開拓であるが,戦後の入植も多く,みごとな畑作地域(一部は水田)となった。小又峡や安の滝は観光地として,根子(ねつこ),打当,比立内はまたぎの居住する集落として有名(阿仁)。流域の中心集落として北秋田市の旧森吉町米内沢(よないざわ)や旧阿仁町の阿仁合(旧阿仁鉱山の町)がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「阿仁川」の意味・わかりやすい解説

阿仁川
あにがわ

秋田県北部を流れる米代川の一支流。全長 60km。太平山地大仏岳に源を発し,小又川,小阿仁川などが流入。上流を大阿仁川ともいう。河岸に段丘が発達し,川に沿って阿仁街道 (国道 105号線) ,秋田内陸縦貫鉄道が通る。かつては流域に阿仁鉱山があり,江戸時代には鉱石,銅を川舟で,米代川中流の荷上場 (二ッ井町) まで運搬した。

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世界大百科事典(旧版)内の阿仁川の言及

【鷹巣盆地】より

…古鷹巣湖盆を中心とした断層盆地で,面積約70km2。盆地北部を米代川が西流し,麻生(あそう)付近で盆地西部を北西流する阿仁川を合流,両川ともそれぞれやや広い沖積平野を形成する。盆地中央部は阿仁川の河岸段丘大野台で,標高30~100mの5段の段丘地形がみられる。…

※「阿仁川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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