補佐人(読み)ホサニン

デジタル大辞泉 「補佐人」の意味・読み・例文・類語

ほさ‐にん【補佐人/×輔佐人】

補佐する人。
(補佐人)刑事訴訟法上、被告人一定の身分関係にある者で、審級ごとに裁判所に届け出て被告人を補助し、その利益を保護する者。
輔佐人民事訴訟法上、裁判所許可を得て、当事者訴訟代理人などに付き添って期日に出頭し、その陳述を補助する者。

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精選版 日本国語大辞典 「補佐人」の意味・読み・例文・類語

ほさ‐にん【補佐人・輔佐人】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 補佐する人。
  3. 民事訴訟で、裁判所の許可を得て、当事者や訴訟代理人に付き添って期日に裁判所に出頭して陳述を補足する人。また、刑事訴訟で、被告人の訴訟行為を助ける人。被告人の補助者の一種で、法定代理人保佐人配偶者などはいつでも届け出てこれになることができる。〔仏和法律字彙(1886)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「補佐人」の意味・わかりやすい解説

補佐人
ほさにん

訴訟上の用語としては、刑事訴訟と民事訴訟では意味が異なる。また、国会における証人喚問においても、議院証言法に補佐人についての定めがある。

[内田一郎]

刑事訴訟における補佐人

被告人の補助者の一種であり、被告人との身分関係に基づき被告人の利益を保護し、弁護に共働する者をいう。被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系親族および兄弟姉妹は、審級ごとに、書面による届出をして、いつでも補佐人となることができる。補佐人は被告人の明示した意思に反しない限り原則として、被告人がすることのできる訴訟行為をすることができる(刑事訴訟法42条)。

[内田一郎]

民事訴訟における補佐人

当事者・法定代理人または訴訟代理人とともに、期日に出頭して口頭の陳述をなし、その者を補助する者をいう(民事訴訟法60条1項)。旧民事訴訟法第88条では「輔佐人」と表記していた。補佐人となりうる者の資格については、なんの制限もなく、だれでも裁判所の許可を得て補佐人になれるが、その許可は、裁判所において、いつでも自由に取り消すことができる(同法60条2項)。補佐人は、当事者またはその代理人とともに期日に出頭した場合にだけ訴訟行為をすることができる。そして補佐人の陳述は、本人たる当事者、または代理人が取り消し、または更正しない場合に限り、直接当事者本人に対して、その効力を生ずる(同3項)。

[内田武吉・加藤哲夫]

議院証言法上の補佐人

国会で喚問される証人の人権保護を目的として、1988年(昭和63)の議院証言法改正により、証人は、各議院の議長もしくは委員長または両議院の合同審査会の会長の許可を得て、補佐人を選任することができるようになった。補佐人は、「弁護士のうちから選任するようにするものとする」とされ、証人の求めに応じ、宣誓および証言の拒絶に関する事項に関し、助言することができる(議院証言法1条の4)。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「補佐人」の意味・わかりやすい解説

補佐人【ほさにん】

(1)刑事訴訟法上,被告人の補助者の一つ。被告人の法定代理人保佐人,配偶者,直系の親族,兄弟姉妹は裁判所に届け出て補佐人となり,被告人がなし得る訴訟行為をすることができる(刑事訴訟法42条)。(2)民事訴訟法上,当事者・訴訟代理人に付き添って期日に出頭し,その陳述を補助する者をいう(民事訴訟法60,155条)。裁判所の許可が必要。補佐人の陳述は,本人または訴訟代理人が直ちに取り消しまたは更正しない限り,本人がなしたものとみなされる。かつては〈輔佐人〉と書いた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「補佐人」の意味・わかりやすい解説

補佐人
ほさにん
Beistand

(1) 刑事訴訟において被告人を補助する者をいう。被告人の法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族および兄弟姉妹は届け出ればいつでも補佐人となることができる。補佐人は被告人の明示した意思に反しないかぎり,被告人のなしうるすべての訴訟行為をなすことができる。 (2) 民事訴訟において,裁判所の許可を得て当事者または訴訟代理人とともに口頭弁論期日に出頭し,自己の有する専門的,技術的知識によって,その弁論を補助する者をいう。一種の代理人であるとされている。補佐人は当事者または訴訟代理人に代わって事実上,法律上のあらゆる点について陳述することができるが,当事者または訴訟代理人がただちに取り消しまたは更正すると,その範囲で効力を失う。なお,かつて民事訴訟法では「輔佐人」と表記した。

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