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箏曲(そうきょく)の曲名。江戸末期の作品。2世吉沢検校(けんぎょう)(1800―72)作曲の五曲の「古今組」(『古今和歌集』の歌に作曲した曲)中の一曲。しかしこの作品では、前唄(まえうた)は『古今和歌集』、後唄(あとうた)は『金葉集』からとり、二歌とも千鳥を詠み込んでいるのでこの曲名がある。吉沢検校は、三味線に影響された箏曲に、箏曲独自の道を開こうとした作曲家で、『秋風の曲』をつくった光崎(みつざき)検校の意図を受け継いでいる。曲の構成は、前弾(まえびき)―前唄―手事(てごと)―後唄となっており、手事という箏(こと)のみの器楽的部分をもつのは「古今組」五曲のうちこの曲だけである。本来は生田(いくた)流の曲だが、山田流でも演奏し、『六段』とともにもっともよく知られた作品でもある。
[茂手木潔子]
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