千鳥の曲(読み)チドリノキョク

デジタル大辞泉 「千鳥の曲」の意味・読み・例文・類語

ちどりのきょく【千鳥の曲】

箏曲そうきょく古今組の一。江戸末期に吉沢検校作曲古今集金葉集から千鳥に関する歌を1首ずつ選んで前歌と後歌にし、その間に手事てごとをはさむ。「六段」とともに箏曲の代表曲。

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精選版 日本国語大辞典 「千鳥の曲」の意味・読み・例文・類語

ちどりのきょく【千鳥の曲】

  1. 箏曲。生田流山田流でも演奏。二世吉沢検校幕末に作曲。前唄は「古今集」、後唄は「金葉集」中の千鳥に関する和歌からとり、前弾(び)きと手事(てごと)をつけたもの。三味線音楽から離脱した純箏曲「古今組」五曲の第一作。「六段」とともに箏曲の代表曲。

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改訂新版 世界大百科事典 「千鳥の曲」の意味・わかりやすい解説

千鳥の曲 (ちどりのきょく)

箏曲の曲名吉沢検校審一(しんのいち)作曲の古今組5曲の一つ。歌詞は,前歌に《古今集》賀の部の読人しらずの歌を,後歌に《金葉集》冬の部の源兼昌の歌を用いる。それぞれ千鳥をよみこんだ和歌でいずれも下の句復唱。天保(1830-44)ころの勾当時代に胡弓曲として作曲したものを,1855年(安政2)箏の本手と替手の手事物に編曲したと伝えられる。手事の部分は,〈まくら(序)〉と〈手事〉から成り,それぞれ〈波の部〉〈千鳥の部〉とも称されている。古今調子を使用。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「千鳥の曲」の意味・わかりやすい解説

千鳥の曲
ちどりのきょく

箏曲(そうきょく)の曲名。江戸末期の作品。2世吉沢検校(けんぎょう)(1800―72)作曲の五曲の「古今組」(『古今和歌集』の歌に作曲した曲)中の一曲。しかしこの作品では、前唄(まえうた)は『古今和歌集』、後唄(あとうた)は『金葉集』からとり、二歌とも千鳥を詠み込んでいるのでこの曲名がある。吉沢検校は、三味線に影響された箏曲に、箏曲独自の道を開こうとした作曲家で、『秋風の曲』をつくった光崎(みつざき)検校の意図を受け継いでいる。曲の構成は、前弾(まえびき)―前唄―手事(てごと)―後唄となっており、手事という箏(こと)のみの器楽的部分をもつのは「古今組」五曲のうちこの曲だけである。本来は生田(いくた)流の曲だが、山田流でも演奏し、『六段』とともにもっともよく知られた作品でもある。

[茂手木潔子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「千鳥の曲」の意味・わかりやすい解説

千鳥の曲
ちどりのきょく

日本音楽の曲名。胡弓本曲および箏曲「古今組」の一つ。吉沢検校審一作曲。勾当時代 (1831~37) にまず胡弓曲として作られ,安政2 (55) 年に改作された。歌詞は『古今和歌集』と『金葉集』の和歌で,千鳥にちなむ歌を前歌と後歌に配する。箏の調弦は古今調子で,現在では,箏2部と胡弓または尺八の合奏で演奏されることが多い。

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百科事典マイペディア 「千鳥の曲」の意味・わかりやすい解説

千鳥の曲【ちどりのきょく】

箏曲の曲名。吉沢検校作曲。幕末の作。《古今和歌集》《金葉和歌集》から千鳥を読みこんだ和歌を1首ずつ選んで作曲したもの。箏曲復興の精神から生まれた純箏曲で,〈古今調子〉といわれる独特の調弦を用いる。

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