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危機管理 ききかんり crisis management

翻訳|crisis management

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

危機管理
ききかんり
crisis management

国際的危機の発生を事前に予想し,防止する安全保障政策。また万一危機が発生した場合には,それを最小限に押え,紛争の早期収拾と終結をはかる。第2次世界大戦後の軍備縮小と紛争拡大,特に核の危険を背景に,1960年代,特に 62年のキューバミサイル危機を教訓に政策概念として国際的に通用するようになった。

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デジタル大辞泉の解説

きき‐かんり〔‐クワンリ〕【危機管理】

大地震などの自然災害や、不測の事態に迅速・的確に対処できるよう、事前に準備しておく諸政策。
リスクマネージメント

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百科事典マイペディアの解説

危機管理【ききかんり】

国際政治において国家間紛争が核戦争のような危険に発展しないよう,事前に危機回避のための了解やルールをつくろうとする政策。1962年のキューバ危機後,米ソ間で定着し,翌年両者間にホットライン(政府専用回線)が設置された。
→関連項目緊急警報放送緊急事態

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世界大百科事典 第2版の解説

ききかんり【危機管理 crisis management】

国家間の紛争が,核戦争のような危険に発展しないように,事前に危機の回避のための了解や規則の体系をつくろうとする政策を意味する。危機管理考え方は,1962年10月のキューバ危機ののち,米ソ間で本格的に定着するようになった。キューバ危機のように核戦争の危険を実際にはらむ紛争を避ける目的から,米ソは1963年6月にワシントンモスクワ間を結ぶ〈ホットラインhot‐line〉と呼ばれる政府専用の電信電話回線を設置する協定を生んだ。

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大辞林 第三版の解説

ききかんり【危機管理】

不測の事態に対して事前に準備される、被害を最小限に食い止めるための対策。クライシス-マネージメント。 → リスク-マネジメント

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

危機管理
ききかんり
crisis management

危機の概念は、危機が生ずる次元や危機自体の内容に応じて、さらには危機が人災であるか天災であるか、などによってきわめて多岐にわたる。一般的には個人の次元から国内および国際社会、さらには企業などの諸々の組織の次元において生ずる不測の緊急事態といえる。そうした事態を事前に予防したり、危機発生後の対応措置を可及的速やかに講ずることを危機管理という。[青木一能]

冷戦時代の危機管理

国際的な危機管理は、戦争や紛争といった事態への対応に重心が置かれてきた。危機管理の必要性はとくに第二次世界大戦後における米ソ核戦争の危険性の高まりのなかで認識され、その防止措置が米ソ間で模索されることになった。相互不信に満ちた両国は核兵器の増強を一方で行いつつ、逆説的にはそれをもって相手側の先制攻撃を抑止するという核抑止策を採用した。しかしそれは核兵器の拡大均衡策に陥るにほかならず、1970年代初頭には米ソ核戦争防止協定の締結など一連の危機管理措置が講じられた。また米ソ冷戦下ではキューバ・ミサイル危機、ベトナム戦争や中東戦争などが発生したが、それらが世界的な危機にまでは至らなかったという意味で、米ソ両国の世界に対する危機管理はいちおう作動してきたといえる。しかし東西冷戦が終焉(しゅうえん)するのと軌を一にして、多くの地域や国で戦争が多発する事態に至り、改めて国際的な危機管理装置構築の必要性が指摘されてきた。[青木一能]

国際的な危機管理の構築

そうしたなかで集団安全保障機構たる国際連合の危機管理能力に注目が集まった。当時の事務総長であったブートロス・ブートロス・ガリは1992年6月に「平和への課題」と題する報告書を安保理に提出し、(1)予防外交preventive diplomacy、(2)平和創造peace making、(3)平和維持peace keeping、(4)平和構築peace buildingの4段階の活動に国連が主導権を発揮し、(2)から(4)では平和執行部隊の常設を通して事にあたるとした。きわめて画期的、挑戦的であったが、そのガリ構想は1993年のソマリア内戦時の国連活動で実施されたものの、ソマリア住民の激しい抵抗の前に結局撤回を余儀なくされたのである。その後の国連の活動は従前のようにPKO(国連平和維持活動)に限定されるようになっている。
 国連以外で地域的な危機管理機構として注目されているのが「ヨーロッパ安全保障協力機構」(OSCE)や「ヨーロッパ大西洋パートナーシップ理事会」(EAPC)、アフリカでの「南部アフリカ開発共同体」(SADC)や「西アフリカ諸国経済共同体」(ECOWAS)、東南アジアの「ASEAN地域フォーラム」(ARF)などがある。とくにOSCEはヨーロッパ52か国が参加し、域内での紛争発生を未然に防止すべく諸国間の信頼醸成装置として期待されている。
 しかし国際的な危機管理の必要性は戦争といった事態だけではなく、地球的な環境破壊や自然災害といった分野においても求められている。しだいに深刻化する環境破壊に対してこれまでも多くの宣言や規制条約が結ばれてきたが、実質的な効力はなかったといえる。1991年には「地球環境ファシリティ」の設置、1992年には地球サミットでの「アジェンダ21」の採択、1993年にはOECDによる「環境税」の推奨、そして1997年には京都サミットでの「温暖化ガスの規制」などの措置がとられてきた。しかし環境破壊に対する世界的な合意と協調行動がとられているとはいいがたく、国益優先の思考が地球益としての環境保全に優先しているのが現実であろう。[青木一能]

アメリカの危機管理

一方、こうした国際的な危機管理のほかに、各国内において不測の事態の発生に対する対応が図られてきた。なかでも比較的早くから危機管理のための制度上の整備が進められてきたのがアメリカである。1979年には五つの機関を統一して一元化し、アメリカ連邦危機管理庁(FEMA(フィーマ))が創設された。ワシントンの本部を中心に10の地方事務所を設け、長官を頂点に2600人の専従者を擁し、15億ドルの基金を常備している。FEMAの重大事故や事件に対する機動的な活動はよく知られているところである。しかし、2001年9月11日に発生した同時多発テロ、さらにはアメリカ国内に郵便物として炭疽菌(たんそきん)が散布された事件では、大量殺傷型のテロに対する危機管理能力の不足が指摘され、新たな形での危機への対応が模索されている。[青木一能]

日本の危機管理

他方、日本政府の国内外における危機対応能力は従前よりけっして高いものとはいえないままにある。1974年(昭和49)の石油危機をはじめ、1991年(平成3)の湾岸戦争における対応など、相互依存の深化のなかで国際的な不測の事態の発生が国内のさまざまな危機を醸成することは明らかである。日本政府は1980年に「総合安保閣僚会議」、1986年に内閣官房に「安全保障室」と「安全保障会議」を設置した。さらに1992年にPKO協力法(国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律)を成立させ、国際的な紛争への対応に関して初めて具体的活動を行う法的措置を講じた。しかし1995年には阪神・淡路(あわじ)大震災が発生し、それへの対応が著しく不備なものとして批判を受けたことは記憶に新しい。そうした事態を受けて1998年には内閣官房に危機管理監と管理監室(内閣安全保障・危機管理室)を設置し、震災や風水害などの大規模自然災害、船舶・飛行機事故や原子力発電所事故などの重大事故、暴動やハイジャック、大量殺傷型テロなどの重大事件、その他日本への武力攻撃などの緊急事態に対応するものとした。しかしそれもまた、アメリカのFEMAに比べて著しく小規模なものであり、国内外で不測の事態が発生する蓋然性(がいぜんせい)が高い現状にかんがみれば、日本政府の危機管理能力の向上は緊急性を要するといわざるをえない。[青木一能]
『大泉光一著『災害・環境 危機管理論――企業の災害・環境リスク管理の理論と実践』(1995・晃洋書房) ▽森本敏著『安全保障論――21世紀世界の危機管理』(2000・PHP研究所) ▽大森義夫著『「危機管理途上国」日本――万一の事態にどこまで対応できるのか?』(2000・PHP研究所) ▽田中伯知編著、福地建夫著『危機管理の社会学――災害・紛争・シーレーン』(2001・北樹出版) ▽横浜商科大学公開講座委員会編『危機の時代と危機管理――21世紀の社会を読む』(2001・南窓社) ▽佐々淳行編著『自然災害の危機管理』(2001・ぎょうせい) ▽大泉光一著『危機管理学研究』(2001・文真堂) ▽歳川隆雄著『日本の危機管理』(2002・共同通信社) ▽大泉光一著『クライシス・マネジメント――危機管理の理論と実践』三訂版(2002・同文舘出版) ▽木村汎編『国際危機学――危機管理と予防外交』(2002・世界思想社) ▽滝実著『一人ひとりを大切にする国家――危機管理の原点を求めて』(2002・日本法制学会) ▽五十嵐敬喜・立法学ゼミ著『都市は戦争できない――現代危機管理論』(2003・公人の友社)』

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