反故(読み)ホゴ

デジタル大辞泉 「反故」の意味・読み・例文・類語

ほ‐ご【故/古】

書きそこなったりして不要になった紙。ほご紙。ほうご。ほぐ。
役に立たなくなった物事
[類語]解約取り消すキャンセル破談破約撤回白紙撤回願い下げ取り下げる引っ込める白紙に返す

ほう‐ぐ【故/古】

ほご(反故)」に同じ。
「さすが積もりにける―なれば、多くて」〈右京大夫集詞書

ほん‐ご【反故/反古】

ほご(反故)」に同じ。
証文などは―にまぎれて」〈都鄙問答・一〉

ほう‐ご【故/古】

ほご(反故)」に同じ。
「残し置かじと思ふ―など」〈徒然・二九〉

ほん‐ぐ【反故/反古】

ほご(反故)」に同じ。
「人に紙、―など乞ひ集め」〈発心集

ほ‐ぐ【故/古】

ほご(反故)」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「反故」の意味・読み・例文・類語

ほう‐ぐ【反故・反古】

  1. 〘 名詞 〙ほぐ(反故)
    1. [初出の実例]「ほかへまかるに、ほうぐどもとりしたたむるに」(出典:建礼門院右京大夫集(13C前))

反故の語誌

( 1 )奈良期に「本古紙」〔正倉院文書‐天平宝字四年(七六〇)六月二五日・奉造丈六観世音菩薩料雑物請用帳〕、「本久紙」〔正倉院文書‐天平宝字六年(七六二)石山院牒〕の表記で見えるのが古い。また、「霊異記‐下」には「本垢」とあり、当初の語形はホゴ・ホグ、あるいはホンク(グ)であったと考えられる。
( 2 )平安期の仮名文では「ほく」と表記されることもあるが、ホンクの撥音無表記とも見られる。「色葉字類抄」には「反故 ホク 俗ホンコ」とあり、鎌倉時代においては、複数の語形があったこと、正俗の意識があったことなどが分かる。
( 3 )日葡辞書」の「Fongo(ホンゴ)」の項に「Fôgu(ホウグ)と発音される」との説明があるところから、中世末期においてはホウグが優勢であり、近世になってからもホウゴ・ホンゴ・ホゴ・ホング・ホグなどとともに主要な語形として用いられている。→「ほご(反故)」の語誌


ほ‐ぐ【反故・反古】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 書画などを書き損じて不用となった紙。ほご。ほうご。ほうぐ。
    1. [初出の実例]「爰に景戒愁へて紙無きを何にせむといふ。乞者の沙彌、又本垢を出し、景戒に授けて言はく斯れに写さむかな」(出典:日本霊異記(810‐824)下)
  3. 役にたたなくなったもの。むだ。不用。
    1. [初出の実例]「舅の㝡期も、女房の奉公も、反古(ホグ)にはならぬ此金」(出典浄瑠璃仮名手本忠臣蔵(1748)六)
  4. 取消し。無効。

反故の語誌

→「ほうぐ(反故)」「ほご(反故)」の語誌


ほ‐ご【反故・反古】

  1. 〘 名詞 〙ほぐ(反故)
    1. [初出の実例]「あの約速も、此約速も、今じゃアみんな反古(ホゴ)となり」(出典:洒落本・廓宇久為寿(1818)前)

反故の語誌

「反故」「反古」を表わす語形は数が多く、そのいくつかは同時代に並行して用いられている。ホグ・ホゴの語形も古くからあったが、特に近代になって有力となった。明治・大正期の国語辞書の多くは、「ほぐ」を主、「ほご」を従として項目を立てており、「ほご」の語形が一般的になったのは比較的最近のことである。→「ほうぐ(反故)」の語誌


ほん‐ご【反故・反古】

  1. 〘 名詞 〙ほぐ(反故)
    1. [初出の実例]「よろづつれづれなる人の、まぎるることなきままに、古きほんこひきさがし」(出典:紫式部日記(1010頃か)消息文)

反故の語誌

→「ほうぐ(反故)」の語誌


ほん‐ぐ【反故・反古】

  1. 〘 名詞 〙ほぐ(反故)→「ほうぐ(反故)」の語誌。
    1. [初出の実例]「人に紙ほんぐなど乞あつめ」(出典:発心集(1216頃か)五)

ほう‐ご【反故・反古】

  1. 〘 名詞 〙ほぐ(反故)
    1. [初出の実例]「いささかに手ならし給しほうごなど、取りちらし給」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲中)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「反故」の読み・字形・画数・意味

【反故】はんこ・ほご

故紙。裏返しの紙。〔南斉書、沈士伝〕篤學にしてまず。火にひて、書數千卷を燒く。士年十をぎ、耳目なり。手づから反故を以て抄寫し、~、復(ま)た二三千卷をす。~時人以て身靜(せいこく)の致すと爲すなり。

字通「反」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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