デジタル大辞泉
「取付」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
とり‐つけ【取付】
- 〘 名詞 〙
- ① 取りつけること。作りつけること。
- [初出の実例]「列車内取附の洗面所の水タンクは小さいですから」(出典:旅‐昭和五年(1930)八月号・乗心地を聴く〈三輪真吉〉)
- ② 江戸時代、貢租の割付け方法。
- [初出の実例]「取付に少し宛様子替り有。高に幾つと割付ると、反別に取米を割付ると」(出典:県令須知(1752頃か)二)
- ③ 契約・了解などを獲得すること。
- [初出の実例]「各方面との折衝や了解のとりつけなどございますから」(出典:夢の浮橋(1970)〈倉橋由美子〉花野)
- ④ 一定の店を常に利用すること。
- [初出の実例]「年比とりつけなる人の、酒の直(あたひ)取りに来たりければ」(出典:仮名草子・仁勢物語(1639‐40頃)上)
- ⑤ 預金者が預金を引き出すこと。特に、金融恐慌などで経済不安が生じたとき、預金者がいっせいに銀行に行き預金の引き出しをすること。
- [初出の実例]「若し甲銀行は乙に金壱万円の取付を要し、乙銀行は甲に金八千円の取付を為すべきに」(出典:銀行小言(1885)〈富田鉄之助〉下)
とっ‐つけ【取付】
- 〘 名詞 〙
- ① 鞍(くら)の後輪(しずわ)の鞖(しおで)につけた紐。餉付(かれいつけ)。鳥付(とりつけ)。とつけ。
- [初出の実例]「落れば首を掻(かき)切て、あぎとを喉(のんど)へ貫き、とっ付(つケ)に著けて馳せて行く」(出典:太平記(14C後)二九)
- ② 刀剣の柄口(つかぐち)の金具。
- [初出の実例]「刀〈略〉とっつけ、さやぐちにくりからふどうみゃうわうのたきつぼへとんでおり」(出典:幸若・烏帽子折(寛永版)(室町末‐近世初))
- ③ =とっつき(取付)
- [初出の実例]「『一口に坑夫と云ふと〈略〉中々外で聞いてる様な生容易い業ぢゃないんで、まあ取(ト)っ附(ツ)けから坑夫になるなあ』と云って」(出典:坑夫(1908)〈夏目漱石〉)
とり‐つき【取付】
- 〘 名詞 〙
- ① とりつくこと。すがりつくこと。
- ② 物事などのはじめ。とっつき。
- [初出の実例]「石山寺は世帯の取つき かんまいて減さぬやうに鐘の声」(出典:俳諧・西鶴大矢数(1681)第九)
- 「暑さ寒さの取附(トリツ)きには何時でも持病が起るゆゑ」(出典:歌舞伎・廓曠着紅葉裲襠(子持高尾)(1873)序幕)
- ③ はじめの元手。開業の資金。
- [初出の実例]「わづかの取付千貫目にする程の人心」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)六)
- ④ 一番はじめに通る所。一番手前の所。入口。とばくち。とっつき。
- [初出の実例]「すぢかひに木綿袷の龍田川〈野坡〉 御茶屋のみゆる宿の取つき〈利牛〉」(出典:俳諧・炭俵(1694)上)
- ⑤ 最初の印象。とっつき。
とっ‐つき【取付】
- 〘 名詞 〙 ( 「とりつき(取付)」の変化した語 )
- ① 時間の最初。その期間の初めの部分。最初。
- [初出の実例]「夏のとっつきから秋へぶっかけて」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)二)
- ② 位置・場所などのいちばんてまえ。いちばんまえ。とっかかり。
- [初出の実例]「マアとっ付(つキ)におる宅内め、身が前へ出あがらふ」(出典:浄瑠璃・菅原伝授手習鑑(1746)二)
- ③ 初めて接したときの感じ。第一印象。
- [初出の実例]「何ら生活上の原則を持たない、〈略〉私にはとっ附きがよかった」(出典:ガトフ・フセグダア(1928)〈岩藤雪夫〉二)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 
取付
とりつけ
信用不安の発生時に預金者が預金引出しのために金融機関に殺到すること。連鎖的に波及し金融恐慌をひきおこす。日本では1927年(昭和2)3~4月のものを最大として頻発したが,銀行法の制定により中小銀行の集中・合併が進みほぼ例を絶った。第2次大戦後は,政策的に業界全体として保護していくとする護送船団方式や預金保険機構などの防止対策が確立した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
Sponserd by 