可翁(読み)かおう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「可翁」の解説

可翁
かおう

南北朝時代の水墨道釈画家。「可翁」印のある一連水墨画から可翁という画人が想定されてきたが伝記は不明。『竹雀図』 (大和文華館) ,『蜆子 (けんす) 和尚図』 (東京国立博物館) ,国宝『寒山図』などは簡潔な構図のなかによく一瞬の気迫をとらえた傑作。古来これを禅機の発露とみて建仁寺,南禅寺などに歴住した高僧可翁宗然余技にあてるが確証はない。また中国,元の牧谿 (もっけい) 風の絵をよくした点で可翁宗然は注目に値するが,一方専門画家と考えられる良全と同一人とする説もある。近代になっては「可翁」印とともに押された小印を「仁賀」と読み,可翁仁賀という宅磨派の画人を想定する説も出て,いずれとも決しがたい。

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百科事典マイペディア「可翁」の解説

可翁【かおう】

鎌倉末期〜南北朝の画家。生没年不詳。伝歴も不明で,前身は宅磨派の絵仏師とか,建仁寺の僧可翁宗然(そうねん)〔?-1345〕と同一人とする説などがある。黙庵らとともに日本で本格的な水墨画を描いた先駆者の一人。牧谿梁楷ら南宋の水墨画を学んだらしく,初期の水墨画としては闊達(かったつ)な筆法をもつ。代表作《寒山図》《蜆子和尚図》など。
→関連項目寒山拾得禅宗美術

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世界大百科事典 第2版「可翁」の解説

かおう【可翁】

14世紀前半に活躍した画家。日本の水墨画の先駆者として重要な位置を占めるが,伝記は不明である。代表的な遺品に,《寒山図》《蜆子(けんす)和尚図》(以上東京国立博物館),《竹雀図》(大和文華館),《梅雀図》(梅沢記念館)があり,いずれにも〈可翁〉の朱文重郭方印,その下に〈仁賀〉と読める小さな朱文方印が捺されているが,落款年紀,著賛はない。後世模本縮図ではあるが,来朝僧一山一寧,同じく清拙正澄(せいせつしようちよう)著賛の可翁画があるので,およその活躍年代が想定できる。

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