鹿王院(読み)ロクオウイン

デジタル大辞泉 「鹿王院」の意味・読み・例文・類語

ろくおう‐いん〔ロクワウヰン〕【鹿王院】

京都市右京区にある臨済宗天竜寺派の寺。山号は、覚雄山。天授6=康暦2年(1380)足利義満春屋妙葩しゅんおくみょうは開山として創建。初めは宝幢ほうどう寺と称し、京都十刹じっせつの一。鹿王院は開山堂の名。のち本寺は廃絶本院のみ残存

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精選版 日本国語大辞典 「鹿王院」の意味・読み・例文・類語

ろくおう‐いんロクワウヰン【鹿王院】

  1. 京都市右京区嵯峨北堀町にある臨済系単立寺院。山号は覚雄山。もと足利義満が創建した大福田宝幢(ほうどう)寺の開山堂。宝幢寺京都十刹一つとして栄えたが、応仁の乱などにより廃絶し、本院のみ残存。

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日本歴史地名大系 「鹿王院」の解説

鹿王院
ろくおういん

[現在地名]右京区嵯峨北堀町

臨済系単立寺院。覚雄山大福田宝幢禅寺という。本尊釈迦如来。「宝幢開山知覚普明国師行業実録」の康暦元年(一三七九)一節

<資料は省略されています>

とあり、足利義満が「一伽藍ヲ建立セバ、寿命ヲ可増長ト」夢みて(山州名跡志)、普明国師(妙葩)を開山として建立、宝幢菩薩を安置して宝幢ほうどう寺としたのが始まりである。同年に開山堂を建立するが、そこに野鹿が現れて群をなしたことから鹿王院と称した(鹿王院記)

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改訂新版 世界大百科事典 「鹿王院」の意味・わかりやすい解説

鹿王院 (ろくおういん)

京都市右京区嵯峨にある臨済宗天竜寺派の寺。正称は覚雄山大福田宝幢禅寺。1379年(天授5・康暦1)足利義満が春屋妙葩(しゆんおくみようは)を開山に迎え,この地に宝幢(ほうどう)寺を開創し,さらに寺内に妙葩の塔所として開山堂を建立したところ野鹿が群れをなして現れたことから鹿王院と称したという。宝幢寺は京都十刹の第5位に列し,多くの荘園をもち,室町前期には寺勢も盛んだったが,応仁の乱で荒廃し,鹿王院だけが残った。江戸前期の寛文年間(1661-73)酒井忠知が寺名を鹿王院として堂宇を再興し,以後天竜寺に属した。寺宝中,夢窓国師画像,明兆(みんちよう)筆の釈迦三尊及三十祖像,元画の出山釈迦像,梵芳筆の蘭石図,後醍醐天皇宸翰消息,夢窓疎石筆臨幸私記などは重要文化財
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百科事典マイペディア 「鹿王院」の意味・わかりやすい解説

鹿王院【ろくおういん】

京都市右京区嵯峨にある天竜寺塔頭(たっちゅう)。1379年足利義満の創建。春屋妙葩(しゅんおくみょうは)が開山で,初め宝幢寺(ほうどうじ)と称し,開山堂を鹿王院といった。のち本寺は廃絶し開山堂のみ残り,天竜寺に属した。1667年虎【れい】(これい)が堂宇を修復。釈迦三尊,明兆筆の三十祖像,夢窓国師画像を蔵する。
→関連項目倉月荘倉見荘

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鹿王院」の意味・わかりやすい解説

鹿王院
ろくおういん

京都市右京区嵯峨(さが)北堀(きたぼり)町にある臨済(りんざい)宗天竜寺派の寺。覚雄山(かくゆうざん)と号する。本尊は釈迦如来(しゃかにょらい)。1380年(天授6・康暦2)足利義満(あしかがよしみつ)が春屋妙葩(しゅんおくみょうは)を開山として興聖(こうしょう)寺を創建し、寺後に開山堂を建てて鹿王院と称したのに始まる。寺はのち宝幢(ほうどう)寺と改称し、1385年(元中2・至徳2)には京都十刹(じっせつ)の第五位に列したが、ついに廃絶となり、1667年(寛文7)鹿王院のみ再興された。本堂には運慶の作と伝える本尊釈迦如来像および十大弟子像など、また舎利(しゃり)殿には源実朝(さねとも)が宋(そう)から将来したと伝える仏牙舎利(ぶつげしゃり)を安置する。そのほか、絹本着色夢窓(むそう)国師像二幅、絹本墨画出山釈迦像、紙本墨画蘭石(らんせき)図、夢窓疎石(そせき)筆『臨幸私記』などの国重要文化財を蔵する。

[平井俊榮]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鹿王院」の意味・わかりやすい解説

鹿王院
ろくおういん

京都市右京区嵯峨にある臨済宗天竜寺派の寺。覚雄山と号する。天授6=康暦2 (1380) 年足利義満が創建した宝幢寺の開山堂を鹿王院と称したのに始る。寺はのち京都十刹の一つとなったが廃絶し,本院のみが残り,今日にいたっている。

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