デジタル大辞泉
「台」の意味・読み・例文・類語
だい【台】
[名]
1 物をのせるもの。また、人がのるためのもの。「人形を台の上に据える」「踏み台」
2 周囲よりも高い平らな土地。地名の一部として用いられることが多い。
3 ものの基礎となるもの。土台。ベース。「ケーキの台を焼く」「プラチナ台の指輪」
4 「台木」の略。「接ぎ木の台にする」
5 物見などのために築いた高い建物。高殿。高楼。うてな。
「楚王の―の上の夜の琴の声」〈源・東屋〉
6 「台盤」の略。
「御―などまかでて」〈紫式部日記〉
7 食事。
「―など参りたれば、少し食ひなどして」〈かげろふ・下〉
[接尾]助数詞。
1 車両や機械などを数えるのに用いる。「計算機3台」
2 年齢や値段などのおおよその範囲を表すのに用いる。「20歳台で父を失う」「1ドルが100円台になる」
3 印刷や製本で16ページ分あるいは32ページ分などを1台として、その数を数えるのに用いる。折。「16台256ページの本」
うてな【▽台】
1 四方を眺めるために建てられた高い建物。高殿。
2 極楽に往生した者の座る蓮の花の形をした台。蓮台。
3 (「萼」とも書く)花の萼。
4 眺望をよくするために、土を積んで高くした所。〈和名抄〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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だい【台】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 見晴らしのきく建物。物見台。また、高くそびえている建物。うてな。たかどの。高楼。
- [初出の実例]「あはれなりつる所のさまかな。たいの前に植ゑられたりける牡丹などのをかしきこと」(出典:枕草子(10C終)一四三)
- [その他の文献]〔史記‐魯周公世家〕
- ② 「だんじょうだい(弾正台)」の略。
- [初出の実例]「事大者奏弾。訖。留レ台為レ案」(出典:令義解(718)公式)
- ③ 中国で、政府の役所である尚書省などをいう。
- [初出の実例]「常に、台の使として四方の貴(き)客有り」(出典:今昔物語集(1120頃か)九)
- ④ 物をのせるための平たいもの。物をのせる器具の総称。
- [初出の実例]「殿上日記云〈略〉机四角以二金銀一作二柳四茎一。便為二覆台一也」(出典:天徳四年内裏歌合(960))
- 「我等聞及しは、石橋のだいのおきやう相違あり。七太夫時のは、〈略〉だいふたつならび」(出典:わらんべ草(1660)五)
- ⑤ 食物をのせるもの。転じて、飲食物。食物。食事。
- [初出の実例]「しばしありてたいなどまゐりたれば、すこしくひなどして」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
- ⑥ 料理の品々を、松竹梅などのめでたい飾りつけに盛り合わせたもの。他人に物を贈る場合や祝儀などで用いられた。島台。とくに、近世、遊里で、仕出し屋から遊女屋へ運ばれてくる料理品をさすことが多い。台の物。
- [初出の実例]「せいろう四十、また壱間の台(ダイ)に唐辛子をつみて、うへに三尺ほどなるつくりものの蛸のせ」(出典:咄本・鹿の巻筆(1686)三)
- ⑦ 下駄の、足をのせる長方形の木片をいう。
- [初出の実例]「下駄の台は大抵皆桐にて造る」(出典:幼学読本(1887)〈西邨貞〉七)
- ⑧ 風呂屋の番台。
- [初出の実例]「ゆくみの男、ばんとうの飯代りに来て台(ダイ)に座す」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前)
- ⑨ 旅客をのせて人が肩にかつぎ、川などを渡るのに用いる乗り物。輦台(れんだい)。
- [初出の実例]「台越(だいごし)といふをすると、川ごしの賃銭が四人まへに、かの台(ダイ)の賃が壱人前出やす」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)七)
- ⑩ 周囲より一段と高く上部がほぼ平らな土地。台地。
- [初出の実例]「サア先生さんおらア此台(ダイ)の寺へ行て、弐百をかりてくるから」(出典:洒落本・多佳余宇辞(1780))
- ⑪ 物ごとの基礎となるもの。きっかけとなるもの。土台。もと。したじ。
- [初出の実例]「穂は枯て台に花咲椿かな〈残香〉」(出典:俳諧・続猿蓑(1698)春)
- 「『それでもあのわたしには、幾ら上げてよいことやら』『知れざあ台(ダイ)を出しやせう、まづ多けりゃあ百貫さ』」(出典:歌舞伎・加賀見山再岩藤(骨寄せの岩藤)(1860)五幕)
- ⑫ 「だいぎ(台木)」または「だいじり(台尻)」の略。〔書言字考節用集(1717)〕
- ⑬ 商船・軍船を含む大型和船の船体両舷外側にある細長い縦通材。上棚外側に突出した各船梁または櫓床を連絡し、船体の強度を高めるための長大な角材で、その上面に垣立をたてるところからいう。垣台。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ⑭ 賭け金をいくつかに分けて張るときにいう賭博用語か。
- [初出の実例]「『だいがぴんで、ひっきりがソレ六だ。よしか』『このばくちは一から六まで張れば損はねへが、そふいふ張りはみんなきらいだ』」(出典:黄表紙・莫切自根金生木(1785)中)
- ⑮ 角錐(かくすい)や円錐などを、底面に平行な平面で、上部を切り去ってできる立体。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕
- ⑯ 一直線上に並ぶ点に対するその直線の称。
- ⑰ 関数 f(x1, x2, …, xn) を0にしない点 (x1, x2, …, xn) の集合の閉包のその関数に対する称。連続関数に対して用いられることが多く、その拡張概念に対しても準用されることがある。
- [ 2 ] 東海道の神奈川と程ケ谷(保土ケ谷)の中間の高台をなしている地帯の通称。
- [初出の実例]「夜の内に台迄行とこりをとり」(出典:雑俳・柳多留‐六(1771))
- [ 3 ] 〘 接尾語 〙
- ① 年齢や値段、時刻などのおおよその範囲を表わすのに用いる。
- [初出の実例]「秋の夜の矢文放さば五六通 三十台と見られたい月〈平砂〉」(出典:俳諧・延享廿歌仙(1745)六)
- 「九時前に病院に行く。そのために鎌倉から七時台の電車にのる」(出典:朝飯(1975)〈中村光夫〉一)
- ② 車両や機械などを数えるのに用いる。
- [初出の実例]「馬車ならば、二輛(ダイ)も輪を並べて自由に出入のなる可き表門の扉は」(出典:はやり唄(1902)〈小杉天外〉七)
- ③ 容器に入れた食物などを数えるのに用いる。
- [初出の実例]「赤飯行器一つ、豆腐一台持来る也」(出典:舜旧記‐元和五年(1619)一〇月一八日)
- ④ 印刷や製本で、一度に印刷できるページ数(ふつう、一六ページあるいは三二ページ)を単位として数えるのに用いる。〔造本と印刷(1948)〕
- [ 4 ] 〘 造語要素 〙 物の土台となっていることを表わす。
- [初出の実例]「小型のニッケル台に金メッキの片側」(出典:不良児(1922)〈葛西善蔵〉)
うてな【台・萼】
- 〘 名詞 〙
- ① 四方を眺めわたすために土を積み重ねて作った壇。〔十巻本和名抄(934頃)〕
- ② 高い盛り土の上の建築物。高殿(たかどの)。
- [初出の実例]「葎はふ下にも年はへぬる身の何かは玉のうてなをも見む」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- ③ ( 「蓮のうてな」の意から ) 仏説で極楽往生した者の座るという蓮の花の形をした台。蓮台。
- [初出の実例]「はちす葉をおなじうてなと契おきて露のわかるるけふぞかなしき」(出典:源氏物語(1001‐14頃)鈴虫)
- ④ 血筋。血統。同族。
- [初出の実例]「義経いやしくも清和の台(ウテナ)を出で、多田の満仲の正統」(出典:歌舞伎・御摂勧進帳(1773)五立口)
- ⑤ ( 萼 ) 植物の萼(がく)。「はすのうてな」から出た「はなのうてな」の意が広がったものという。
- [初出の実例]「はひまつはるるあさがほの花のうてなのりんりんごとに」(出典:浄瑠璃・嫗山姥(1712頃)灯籠)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「台」の読み・字形・画数・意味
台
5画
[字音] イ・タイ・ダイ
[字訓] もちいる・よろこぶ・われ
[説文解字]
[字形] 会意
厶(し)+口。〔説文〕二上に「(よろこ)ぶなり」とし、字を(い)(以)声とするが、金文には以の義に用いることが多く、〔王孫遺者鐘〕「用(もつ)て享し、台(もつ)て孝す」のように「用~台~」の形式をとることが多い。厶の原形は、耜(すき)の象形。口は祝詞を収める器の形で(さい)。台は祝詞を奏して耜を清める儀礼を示す字。それより農作をはじめる意となる。
[訓義]
1. もちいる、以と同じ。以も耜の象形の字。
2. 怡(い)・頤(い)と声が通じ、よろこぶ、やしなう意。
3. 予・余・朕と声近く、一人称の「われ」に用いる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕台 ワレ・ヤシナフ・シタカフ・トシ
[声系]
〔説文〕に台声として怡・詒・(い)、冶(や)、始・・(し)、胎・・怠・殆・・紿・駘(たい)、治・笞(ち)など二十一字を収める。なお矣声・治声の字もこの声系に属する。
[語系]
台d、・矣jiはみな耜の儀礼に関する字。(朕)jing、予・余jiaは台と声近く、仮借して一人称に用いる。
[熟語]
台台▶・台安▶・台位▶・台槐▶・台嶽▶・台鑒▶・台顔▶・台祺▶・台啓▶・台鉉▶・台候▶・台衡▶・台座▶・台宰▶・台室▶・台席▶・台鼎▶・台庭▶・台背▶・台弼▶・台輔▶・台保▶・台覧▶・台嶺▶
[下接語]
鉉台・公台・黄台・台・象台・置台・天台・登台・輔台
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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台[温泉] (だい)
岩手県中部,花巻市湯本にある温泉。花巻温泉から北西へ約1.5km,台川の支流湯ノ沢渓谷に臨む。湯本という地名が示すように,花巻温泉郷随一の湯量を誇り,湯治場として古くから知られていた。1923年に大規模な温泉遊園地として開設された花巻温泉はここから引湯している。泉質は硫化水素泉,泉温52~100℃。東北自動車道花巻インターチェンジから6km,東北本線花巻駅からバスで30分。
執筆者:谷沢 明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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台
だい
support; carrier
数学用語。たとえば関数 が集合 A に属する任意の元 x 以外では0になるとき,実質的には A の上でだけ定義されていると考えてよい。この A をできるだけ小さくとって,しかし議論の都合上から閉集合にする。この場合は {x|f(x)≠0} の閉包をとればよい。これを f の台という。関数以外にも,測度や超関数などでも,同様に使う。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の台の言及
【製本】より
…これには手折りと機械折りとがあり,4ページのものは二つ折り,8ページは四つ折り,16ページは八つ折り,32ページは16折りという。折りあげたものを〈折り〉または〈折丁〉といい,内容の同じ折りのひとまとまりを〈台〉という。ワイド版など,8の整数倍でないものも増えている([判型])。…
【取引所】より
… 底割れ・底練り底堅い動きをしていた相場がさらに下がることを〈底割れ〉といい,下げ止まった株が底値圏で底固めするように動いている状態を〈底練り〉という。台相場値段の数字の桁のことをいう。たとえば500円台,1000円台というように。…
※「台」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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