吶喊(読み)トッカン

デジタル大辞泉 「吶喊」の意味・読み・例文・類語

とっ‐かん【××喊】

[名](スル)
ときの声をあげること。
車夫は一斉に―して馬を駭かせり」〈鏡花・義血侠血〉
突貫3」に同じ。
炎熱野天を土まみれで這いずり廻り、駈け、―し」〈野上迷路

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精選版 日本国語大辞典 「吶喊」の意味・読み・例文・類語

とっ‐かん【吶喊】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 大勢の者が一時大声をあげて叫ぶこと。鬨(とき)の声をあげること。
    1. [初出の実例]「三百人取甲於一レ苞而甲、吶喊起闘」(出典日本外史(1827)五)
    2. 「其万軍突喊の頂高く彩る雲の座に悠然と立てる白衣の天使」(出典:良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉後)
    3. [その他の文献]〔通俗篇‐武功〕
  3. とっかん(突貫)
    1. [初出の実例]「死ぬる覚悟で吶喊(トッカン)すれど」(出典:軍歌・雪の進軍(1895)〈永井建子〉四)

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普及版 字通 「吶喊」の読み・字形・画数・意味

【吶喊】とつかん

ときの声をあげる。〔醒世恒言、李玉英獄中訟〕三個の天に轟(とどろ)く大を放し、衆軍一聲に吶喊し、地鑼(どら)鳴る。

字通「吶」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「吶喊」の意味・わかりやすい解説

吶喊
とっかん
Na-han

中国の作家魯迅小説集。 1923年刊。魯迅の第1創作集で,18年『新青年誌上に発表した処女作『狂人日記』以下,22年までに発表した 14編の小説を収め,幼時からの思い出を綴った「自序」をつけた。『孔乙己 (コンイーチー) 』『阿Q正伝』『小さな出来事』『故郷』『端午節句』『宮芝居』など,魯迅の代表作が含まれる。

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デジタル大辞泉プラス 「吶喊」の解説

吶喊(とっかん)

1975年公開の日本映画監督・脚本:岡本喜八、撮影:木村大作。出演:伊藤敏孝、岡田裕介、高橋悦史、伊佐山ひろ子、千波恵美子、坂本九ほか。戊辰戦争を題材とするヒューマンドラマ。

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世界大百科事典(旧版)内の吶喊の言及

【中国文学】より

…彼等の作品は,五・四運動退潮期の時代を反映して,灰色の人生を描く傾向を強めていったが,その中にあって,魯迅の作品のみは時代の水準を抜いていた。名作《阿Q正伝》(1921)をはじめ,《吶喊(とつかん)》《彷徨》の二つの作品集に収められた諸作品には,暗い現実を凝視する作者の視線に,みずからをも現実に対する加害者の一人ととらえる苦い内省の思いが影を落とし,独特の深みのある世界を作った。こうした文学研究会の傾向に反発した郭沫若,郁達夫(いくたつぷ)などは創造社を組織し,芸術至上主義を唱えた。…

※「吶喊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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