日本大百科全書(ニッポニカ) 「周東」の意味・わかりやすい解説
周東
しゅうとう
山口県東部、玖珂郡(くがぐん)にあった旧町名(周東町(ちょう))。現在は岩国市の南西部を占める地域。旧周東町は、1955年(昭和30)高森町(1924年町制)と祖生(そお)、米川(よねがわ)、川越(かわごえ)の3村が合併して成立。2006年(平成18)岩国市と合併した。旧町名は周防(すおう)国の東部の意。地域の北西部は周防山地で、中央部は穀倉地帯玖珂盆地の主要部を占め、南部は花崗(かこう)岩の丘陵地。古代の柞原(くはら)郷の地で、上久原一帯に条里制遺構を残す水田が広がる。近世山陽道の宿駅、市場町として発達した高森は、かつては旧周東町町役場があったが、現在も町役場に代わって岩国市周東総合支所が置かれている。国道2号、376号、437号とJR岩徳(がんとく)線、山陽自動車道が通じ、岩国市街地をはじめ、南の柳井(やない)、西の下松(くだまつ)や周南など工業都市の通勤圏内にあって、近年ベッドタウン化が進んでいる。県下でもっとも畜産(肉牛、養鶏)の盛んな地域であり、周辺の花崗岩丘陵の赤松林はマツタケの特産地。祖生の柱松(はしらまつ)行事は国の重要無形民俗文化財に指定されている。
[三浦 肇]
『『周東町史』(1979・周東町)』