日本大百科全書(ニッポニカ) 「味の素(株)」の意味・わかりやすい解説
味の素(株)
あじのもと
アミノ酸関係技術で世界的水準を誇る総合食品会社。ヨードを製造していた鈴木製薬所が前身。コンブのうま味成分を研究していた池田菊苗(いけだきくなえ)からグルタミン酸ソーダの工業化を依頼され、2代目鈴木三郎助が生産に着手、1909年(明治42)調味料「味の素」の名で商品化に成功。当初から新聞広告など積極的なマーケティングを展開した。1917年(大正6)には鈴木商店を設立、アメリカや中国、東南アジアへの輸出にも力を入れ、1932年(昭和7)味の素本舗株式会社鈴木商店と改称、油脂、しょうゆ原料味液(みえき)、肥料へと漸次、事業分野を拡大した。第二次世界大戦後、1946年(昭和21)現社名に変更。1960年代には、味の素の製法を小麦のタンパク質または脱脂大豆からの抽出法から発酵法(1973年まで)に転換するとともに、海外にも工場を建設。さらに欧米の有力食品会社と提携して、コーンフレーク、スープ、マヨネーズ、コーヒーなどに進出したほか、冷凍食品市場にも参入し、総合食品会社として多角化を推進。最近では医薬品の開発でも注目されている。資本金約798億6300万円(2007)。工場は国内47、海外55(2007)。
[中村清司]
『『味の素株式会社社史Ⅰ・Ⅱ』(1971、1972)』