出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
千利休(せんのりきゅう)によって大成された佗(わび)茶の精神を四諦(したい)として表現した語。利休によって唱えられた「四規七則」のなかの四規として伝承されているが、実際は利休によって表現された語ではない。利休百年忌を迎えた元禄(げんろく)時代(1688~1704)に至って利休回帰が叫ばれるなかから、その精神性をとらえて唱えられた語といえよう。すなわちその語の初見は、1699年(元禄12)巨妙子(きょみょうし)(大徳寺23世大心義統(だいしんぎとう))の序による『茶祖伝』(1730刊)である。その序文で、将軍足利義政(あしかがよしまさ)が珠光(じゅこう)に向かって茶の何たるかを尋ねたところ、「一味清浄禅悦法喜」の境地であるといい、茶は礼を本義として「謹兮(きんなり)、清兮、寂兮」であると申し上げたといっている。そして利休がこの語を踏まえて「今茶之道四焉、能和能敬能清能寂、是利休因茶祖珠光答東山源公文所云」という四諦を茶の湯の根本に据えたというのである。その後、佗び茶を表現するもっとも簡潔な語として人口に膾炙(かいしゃ)されて現在に至っている。
[筒井紘一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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