咽頭結膜熱(読み)イントウケツマクネツ(その他表記)Pharyngoconjunctival Fever

家庭医学館 「咽頭結膜熱」の解説

いんとうけつまくねつぷーるねつ【咽頭結膜熱(プール熱) Pharyngoconjunctival Fever】

[どんな病気か]
 おもにアデノウイルスの3型や7型の感染でおこる病気です。
 学校のプールでの集団発生が目立つので、プール熱ともいいます。
●かかりやすい年齢
 幼稚園や小学校へ通う子どもがほとんどです。
●流行する季節
 晩春から夏にかけて多発します。
[症状]
 急に寒けがして、39~40℃の高い熱が出て、のどが赤く腫(は)れて痛み、のどのリンパ節が痛みます。同時に目が結膜炎(けつまくえん)をおこして赤くなり、ゴロゴロして痛み、まぶしく、涙や目やにが出ます。
 せき、たん、鼻汁(びじゅう)、下痢げり)、腹痛などの症状が出ることもあります。
 熱は3~4日で下がり、そのほかの症状も1週間くらいで治ります。
[治療]
 解熱薬(げねつやく)の服用のほか、目への細菌の二次感染を予防するため、抗生物質眼軟膏(がんなんこう)を用います。
 この病気は、学校伝染病の1つで、主要症状が消え、2日を経過するまでは出席停止となります。届け出れば欠席にはなりません。
●受診する科
 熱が高ければ小児科、目の症状が強ければ眼科を受診します。
●家庭看護のポイント
 かぜと同じように養生します。感染力が強いので、流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)の「予防」の項(「流行性角結膜炎」の予防)と同じ注意を守ってください。
 また、下痢が強いと、幼児は脱水症(だっすいしょう)をおこしやすいので、十分に飲料を与えてください。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「咽頭結膜熱」の意味・わかりやすい解説

咽頭結膜熱
いんとうけつまくねつ

アデノウイルス感染症の一つで、発熱、咽頭炎、結膜炎を主症状とする急性熱性疾患。病原体はアデノウイルスで、とくにその3型と7型によるものが多い。プールの水を媒体として広がるところからプール熱ともよばれる。潜伏期は6~9日で、とくに小児に多く、急に38~40℃の熱が出て4~5日続く。目がごろごろして痛み、目やにがみられ、赤くなって涙が出る。のども赤くなって痛み、ときに軽い腹痛、嘔吐(おうと)、下痢、関節痛、筋肉痛などもみられる。約1週間で治癒し、予後は良好である。有効な抗ウイルス剤がなく、かぜと同様に暖かくして安静にし、対症療法を行う。病原は患者の気道、便、結膜(目やに)から排泄(はいせつ)されるが、症状がなくなってからでもかなり長期間排泄されるため、プールの水は汚染されやすい。流行時にはプールの使用禁止、学級閉鎖、休校などの措置をとり、患者の新発生を防ぐ。また、家族間の感染にも留意し、タオルなどは患者と別にして熱湯消毒を行う。日常的には水泳後の洗眼、うがいなどのほか、プールのクロール消毒の実施を心がける。

[柳下徳雄]

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百科事典マイペディア 「咽頭結膜熱」の意味・わかりやすい解説

咽頭結膜熱【いんとうけつまくねつ】

アデノウイルスのおもにIII型,VII型の感染による。小児に夏季多く見られ,プールの水を介して伝染することが多いのでプール熱ともいう。潜伏期5〜7日で,発熱,咽頭および結膜の炎症を主症とする。普通の風邪と同じく治療は対症療法および安静で,目の細菌性二次感染を防ぐため,抗生物質の眼軟膏を用いることもある。
→関連項目学校伝染病夏風邪プール熱

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世界大百科事典(旧版)内の咽頭結膜熱の言及

【結膜】より

…病変が角膜に及ぶと,角膜上皮下に小さな斑状の混濁が多発し,長期にわたり軽い視力障害を伴う。咽頭結膜熱pharyngo‐conjunctival feverは,同じアデノウイルスの3型によるもので,学校やプールなどで流行性に発症するため〈プール熱〉とも呼ばれる。5~6日の潜伏期の後に風邪の症状とともに発症する。…

【はやり目】より

…アデノウイルスには1~33型までの型があるが,このなかで8型によるものを流行性角結膜炎epidemic kerato‐conjunctivitis(EKCと略称)と称し,狭義の〈はやり目〉とする。3型によるものは咽頭結膜熱pharyngo‐conjunctival fever(PCFと略称)と呼ばれるが,プールで伝染することも多いことから〈プール熱〉と俗称される。そのほか1,7,11,19型でも類似の症状を呈し,臨床的には鑑別困難である。…

【プール熱】より

…アデノウイルスの3,7,14型などによる感染症。おもに夏,プールでうつる病気であることからプール熱と呼ばれるが,医学上は咽頭結膜熱pharyngoconjunctival feverという。学童がかかることが多い。…

※「咽頭結膜熱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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