哥老会(読み)かろうかい

精選版 日本国語大辞典 「哥老会」の意味・読み・例文・類語

かろう‐かい カラウクヮイ【哥老会】

中国、清代末期の秘密結社。反清復明を旗印とする義兄弟的組織。辛亥革命に大きな役割を果たした。哥弟会。弟兄会。

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デジタル大辞泉 「哥老会」の意味・読み・例文・類語

かろう‐かい〔カラウクワイ〕【哥老会】

中国、しん代の秘密結社。18世紀前半に四川省から起こり、湖南湖北省を中心揚子江流域に広がり、反清復明はんしんふくみんを掲げて活動。辛亥しんがい革命に貢献した。

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百科事典マイペディア 「哥老会」の意味・わかりやすい解説

哥老会【かろうかい】

中国,清末〜民国の秘密結社。民国以来天地会と合流して,紅幇(ホンパン),洪門会とも。成立は乾隆(けんりゅう)年間といわれるが明らかでなく,おもに農村を基盤として流民,無産者群を構成員とし,一部読書人,地主,豪紳などを指導者とした,反清復明の反社会的活動を行った。太平天国郷勇に多くの会員が参加し,19世紀末の上海での排外運動,革命勢力と結んだ滅満興漢運動などに力があった。1904年には三合会青幇(チンパン)とともに華興会に入り,民国革命の主戦的役割を果たした。→会党
→関連項目賀竜

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「哥老会」の解説

哥老会(かろうかい)

清末から民国初期に活動した秘密結社。天地会一派で,四川で興り湖南・湖北地方へ広がったといわれる。元来反清復明を主旨とする結社であるが,太平天国の乱には会員が湘軍(しょうぐん)に参加して組織を伸ばしたといわれる。乱後,湘軍が解散されてからは,長江流域一帯の都市や農村に分散して労働者,農民や流民,失業者の間に勢力を伸ばし,賭博(とばく),盗賊誘拐密輸などの不法行為を働くものが多かった。彼らには元来政治性が希薄であり,小集団が分散孤立していたため,強力な政治勢力に発展できなかったが,唐才常(とうさいじょう)黄興(こうこう)孫文などの革命派が哥老会に着目して積極的に働きかけたため,辛亥(しんがい)革命前後の期間には革命勢力としてかなり活躍した。

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改訂新版 世界大百科事典 「哥老会」の意味・わかりやすい解説

哥老会 (かろうかい)
Gē lǎo huì

中国近代の反体制秘密結社。哥弟会などともいう。その起源はアヘン戦争以前にさかのぼるようだが,太平天国(1851-64)滅亡後の湘軍解散にともない,長江(揚子江)流域一帯に広く勢力を分布するにいたった。もともと〈反清復明〉の伝統をもつ下層民衆の相互扶助的組織だったが,列強の侵略がいやます時代にあって,排外暴動の組織者として著名である。1891年(光緒17)の長江流域での一連の暴動はその最大のものだが,のち辛亥革命のさいにも重要な役割をはたした。
会党
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「哥老会」の意味・わかりやすい解説

哥老会
かろうかい

中国の秘密結社の一つ。宗教的な教門の白蓮(びゃくれん)教や、相互扶助的な性格をもつ会党の天地会などの影響を受けながら、四川(しせん)省に成立。天地会を中心とした太平天国の滅亡(1864)後に、おもにその討伐にあたった清(しん)朝の軍隊(湘軍(しょうぐん)、淮軍(わいぐん))のなかに勢力を伸ばした。身元確かな者を選んで結盟し、擬制的な家族的結合をとり、各省に山堂を設けて勢力を扶植した。湖南・湖北両省を中心に、広く揚子江(ようすこう)流域に分布し、反清復明(はんしんふくみん)を主目標に活動した。孫文(そんぶん/スンウェン)ら革命派がこれと結び、清末の革命運動で主戦的役割を果たし、辛亥(しんがい)革命に貢献したが、中華民国成立後は反革命的な性格を強めるに至った。

[野澤 豊]

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旺文社世界史事典 三訂版 「哥老会」の解説

哥老会
かろうかい

清末期から中華民国初期に活動した秘密結社。哥弟会・弟兄会ともいう
18世紀に四川・湖北の白蓮教組織を下地に発生し,農村を基盤に流民・無産者群を構成員とし,反清復明を唱えた。太平天国の乱後,太平軍の残党も加えて膨張し,キリスト教排斥(教案)に活躍,清末期の革命運動にも,黄興 (こうこう) の華興会 (かこうかい) に加わって活躍した。中華民国以後,天地会と合流して洪門会・紅(洪)幇 (ホンパン) とも呼ばれた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「哥老会」の意味・わかりやすい解説

哥老会
かろうかい
Ge-lao-hui

中国旧社会で農民の互助自衛組織として発展した秘密結社の一つ。近世ではホンパン (紅 帮) といい,チンパン (青 帮)に対した。起源は清代乾隆年間といわれるが不明。強固な団結と厳格な規律を有し,清末には反満の色彩を濃くして同盟会とも結びつき,辛亥革命に貢献した。

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デジタル大辞泉プラス 「哥老会」の解説

哥老会

中国、清の時代の反体制的秘密結社。四川省発祥。揚子江流域に勢力を拡大し、反清復明(=“清を倒し明を復興する”)運動を展開。辛亥革命にも重要な役割を果たした。

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世界大百科事典(旧版)内の哥老会の言及

【秘密結社】より

…白蓮教の支派末流は,ごく近年まで根強く活動し,1900年の義和団運動のほか,在理教,黄天道など種々の名で華北一帯の民衆の間に信仰されていたが,その一つである一貫道は,現在も台湾で活発に布教している。 これらとは別に,清代には異民族支配に反抗して漢族の明王室を再興しようとする政治的秘密結社が早くから華南の地に興り,天地会,哥老会,三合会などと称され,辛亥(しんがい)革命(1911)の前後になると,孫文らの革命勢力とも呼応して軍事的な貢献があった。なお,近代中国の秘密結社は,国民党と青幇(チンパン),共産党と紅槍会などの結びつきにみられるように,政治動向の帰趨を左右するほどの大きな勢力を維持していたことに注意しなければならない。…

※「哥老会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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