唐茄子(読み)トウナス

デジタル大辞泉 「唐茄子」の意味・読み・例文・類語

とう‐なす〔タウ‐〕【唐茄子】

カボチャ別名。ふつう日本カボチャをいう。 秋》
人をののしっていう語。
あいつもいけねえ―だよ」〈洒・辰巳之園
[類語]真桑瓜メロン西瓜烏瓜夕顔瓢箪糸瓜へちまふくべひさご胡瓜白瓜カボチャ冬瓜とうがん苦瓜

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関連語 冬瓜 南瓜 名詞

精選版 日本国語大辞典 「唐茄子」の意味・読み・例文・類語

とう‐なすタウ‥【唐茄子】

  1. 〘 名詞 〙
  2. カボチャ(南瓜)季語・秋 》 〔和漢三才図会(1712)〕
  3. 人をののしることば。容貌の醜いこと、間がぬけていることなどにいう。かぼちゃ。
    1. [初出の実例]「貴様の顔で色事とは唐なすももう古い。飛んだ茶銚(ちゃがま)が西瓜と仕た」(出典:浄瑠璃神霊矢口渡(1770)四)

唐茄子の語誌

( 1 )トウ(唐)はトウガラシ(唐辛子)、トウキビ唐黍)などと同様、外来の作物名に冠せられるもので、「和漢三才図会」によれば、この作物の形や色が熟したナスに似ているところからトウナスと命名された。
( 2 )トウナスは上方ではカボチャと同種を指したようだが、「武江年表」「嬉遊笑覧」などによれば、江戸では小形の別種をそう呼び、明和七、八年(一七七〇‐七一)ごろからはやりだしたらしい。
( 3 )カボチャとトウナスの違いは、「とうなすといふもの箱根より西になし。みな東埔塞(かぼちゃ)なり」〔羇旅漫録〕のようにはっきり認識された場合もあったが、「道理でカボチャがトウナスだ」(似たりよったりの意)という流行語を生み出したように、しだいにその区別は失われていった。

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