糸瓜(読み)ヘチマ

デジタル大辞泉 「糸瓜」の意味・読み・例文・類語

へちま【糸瓜/天瓜】

ウリ科蔓性つるせい一年草巻きひげで他に絡みつく。葉は手のひら状に浅く裂けていて、長い柄をもつ。夏から秋、黄色い雄花と雌花とを開き、濃緑色の実を結ぶ。実はふつう長さ約60センチの円柱状で、若いものは食用になり、熟したものは果皮などを取り去った網状繊維を入浴たわしに用いる。茎からは糸瓜水をとり、化粧水や咳止せきどめ剤にする。 秋 花=夏》たん一斗―の水も間に合はず/子規
つまらないものをいうたとえ。へちまの皮。「理想も―もない」
[類語]真桑瓜メロン西瓜烏瓜夕顔瓢箪ふくべひさご胡瓜白瓜カボチャ唐茄子冬瓜とうがん苦瓜

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「糸瓜」の意味・読み・例文・類語

へちま【糸瓜・天糸瓜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ウリ科のつる性一年草。熱帯アジア原産で、日本には江戸時代の初めに渡来し広く栽培される。茎は稜があり巻ひげで他物にからむ。葉は柄をもち掌状に浅く三~七裂する。雌雄同株。夏から秋にかけ、径五~一〇センチメートルの黄色い五弁花を開く。果実は円筒形で、長さ三〇~六〇センチメートル、若いものは煮食する。夏、茎から液をとり化粧水や咳止め薬にする。漢名、糸瓜。とうり。へちまうり。《 季語・秋 》

▼へちまの花 《 季語・夏 》

  1. [初出の実例]「Cucumer〈略〉fechimano(ヘチマノ) タグイ」(出典:羅葡日辞書(1595))
  2. ヘチマの実を乾燥させた繊維でつくった垢すり。へちまの皮。
    1. [初出の実例]「入ゆを、てひきがんにわかして、ゆてにはへちまたふ」(出典:評判記・秘伝書(1655頃)下ほんの事)
  3. つまらないもの、とるにたりないものをたとえていう語。また、「…もへちまも」の形で下に否定の語を伴い、語の意を強調していう語。へちまの皮。
    1. [初出の実例]「色々いやといへども、種々教訓のゆゑ、経を頂きて候。さりながら、いただきたる経を糸瓜とも思ふにこそ」(出典:咄本・醒睡笑(1628)七)
    2. 「人のかはきたちくしゃう女が、なごりもへちまもなん共ない」(出典:浄瑠璃・心中天の網島(1720)中)
  4. ( 形動 ) 気がきかないこと。りちぎでやぼなこと。拙劣でへまなこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「いかさま今迄は我等が仕形が(ヘチマ)でござる」(出典:談義本・八景聞取法問(1754)一)
  5. 醜女をたとえていう語。
    1. [初出の実例]「吉原にも糸瓜(ヘチマ)有、岡場所にも美人あり」(出典:滑稽本・風来六部集(1780)里のをだ巻評)
  6. へちまやろう(糸瓜野郎)〔現代語大辞典(1932)〕

いと‐うり【糸瓜】

  1. 〘 名詞 〙 植物へちま(糸瓜)」の異名。〔物類称呼(1775)〕

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動植物名よみかた辞典 普及版 「糸瓜」の解説

糸瓜 (ヘチマ・イトウリ)

学名Luffa cylindrica
植物。ウリ科の一年生つる植物,園芸植物,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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