四王呉惲(読み)シオウゴウン

デジタル大辞泉 「四王呉惲」の意味・読み・例文・類語

しおう‐ご‐うん〔シワウ‐〕【四王呉惲】

中国初の六大南宗なんしゅう画家王時敏王鑑王翬おうき王原祁おうげんき四王と、呉歴惲寿平うんじゅへい。→四王

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精選版 日本国語大辞典 「四王呉惲」の意味・読み・例文・類語

しおう‐ご‐うんシワウ‥【四王呉惲】

  1. 中国、清代初期の六大画家。王時敏・王鑑・王原祁王翬の四王と呉歴・惲寿平二人。正統の南宗画を受け継ぎ、清初の画壇に大きな影響を与えた。四王と呉歴は山水を、惲寿平は花鳥画をよくした。清初六大家。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四王呉惲」の意味・わかりやすい解説

四王呉惲
しおうごうん
Si-Wang-Wu-Yun

中国の南宗画系の呉派の正系を受継ぐ明末,清初の王時敏王鑑王 翬 (おうき) ,王原祁 (おうげんき) ,呉歴,惲寿平 (うんじゅへい) の6人の画家のこと。清初の六大家ともいう。当時の画壇の指導的役割を果すとともに,清代の山水画文人画の発展の基礎を築き,四王の立論完整画風が,清代宮廷絵画様式の基礎となった。王時敏は董其昌の説いた南宗画派の嫡系である唯一の正統派をもってみずからを任じ,それを自負することに生涯終始した。他の5人は親族縁故,同里,師弟,友人関係などによる強固な同族的意識で結束し,ともに制作活動に従った。その意図は明代の董其昌の理論を忠実に実践し,元代の黄公望様式の完成を第一とすることにあった。いわゆる家伝の法燈を護持するという信条から倣古の方法を極度に尊重し,共通の制作態度を示した。

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改訂新版 世界大百科事典 「四王呉惲」の意味・わかりやすい解説

四王呉惲 (しおうごうん)
Sì Wáng Wú Yùn

中国,清代初期の正統派文人画家を代表する王時敏,王鑑,王翬(おうき),王原祁(おうげんき),呉歴,惲寿平の6人。清初六大家。王時敏と王鑑(〈二王〉ともいう)は同郷で親交があり,明末の董其昌(とうきしよう)から南宗山水画法を受け継ぎ,〈二王〉の弟子の王翬は一時期清朝宮廷にのぼり,王時敏の孫の王原祁は内廷供奉となり,宮廷画院の形成に貢献した。呉歴は王翬と同郷,同年,同門であるが耶蘇(ヤソ)会士として上海で活躍。惲寿平は郷里の常州にあって花卉(かき)画を得意とし,朝野にわたり影響力があった。
南宗画
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「四王呉惲」の解説

四王呉惲(しおうごうん)

清初の6人の画家の通称。王時敏(おうじびん),王鑑(おうかん),王翬(おうき),王原祁(おうげんき)の四王と呉歴(ごれき),惲格(うんかく)をさす。彼らは相互に緊密な関係があり,清の文人画の基礎を確立した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「四王呉惲」の解説

四王呉惲
しおうごうん

清初期の代表的文人画家6人の総称
王原祁 (おうげんき) ・王鑑・王時敏・王翬 (おうき) の4人と呉歴・惲格をさす。

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世界大百科事典(旧版)内の四王呉惲の言及

【惲寿平】より

…号は南田,白雲外史,甌香(おうこう)散人など。四王呉惲の一人。はじめ伯父の惲向に画を学び,瀟洒な山水を描いたが,中年以後没骨(もつこつ)写生の花卉(かき)画により一家をなした。…

【山水画】より

…しかしながら,明末の時点ではすでに浙派に対する呉派文人画の勝利は決定的であり,華北と江南という地方性,文人画家か宮廷画家かといった階層性,そこから生じる表現上の相違などが複雑に交錯した,中国山水画における南北の対立と総合の図式は,華北と江南という枠組みが江南の中の浙派と呉派の対立というように集約され,さらに一方が他方に対して勝利を告げた明末のその時点で実質的に解消していたといってよい。 唐以来の伝統的中国山水画の最後の高みは,呉派文人画が切り開いた構成家と色彩家の総合への方向を完成させた清初の四王呉惲(ごうん)である。石濤,八大山人らの山水画はむしろ揚州八怪が出現する清中期以後,山水画に代わって中国絵画の中心を占めるようになる花卉(かき)雑画との関連において考察されるべきものであろう。…

【清代美術】より

…こうした傾向を邪道のみ栄える画道の衰微の極と断定し,危機とみなしてその作品をまっこうから否定して,董其昌の理論そのものを信奉し再現する芸術運動を起こしたのが王時敏である。明朝滅亡後,郷里の江蘇太倉に隠居していた王時敏は,同郷の友人王鑑を好伴侶とし,孫の王原祁(おうげんき),王鑑の発見した王翬(おうき),王翬の同郷の友人呉歴,親友の惲寿平(うんじゆへい)(四王呉惲)ら清初の6大家と呼ばれる地縁血縁の強固な間柄で結ばれた勢力を結集して運動を展開した。彼らは中国絵画史の主流中の主流,南北二派論にいう嫡系の正統派を自称して,伝統を倣古,古画をまねるという形式で継承し実践してみせた。…

※「四王呉惲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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