回遊式庭園(読み)かいゆうしきていえん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

回遊式庭園
かいゆうしきていえん

建物内から眺めるだけでなく,広大な庭の中を巡りながら空間の展開を楽しむ庭園の形式。ヨーロッパ中国の庭園は基本的にこれに属する。日本では建物内で履物を脱ぐ習慣から,中世の枯山水の庭園のように建物内から庭を眺めることを主眼とする庭も多く造られたが,平安時代の貴族の庭は,寝殿の南に池をもち,回遊式庭園の要素を備えていた。しかし,本格的なものが出現したのは江戸時代の大名庭園においてである。東京の後楽園や高松の栗林公園,岡山の後楽園などに代表される各藩の大名庭園は,日常生活からまったく独立した広大な庭が営まれた。大きな池水を中心に複雑な回遊の苑路が組立てられ,それに沿って日本や中国の名勝を模した景観や,集屋などのさまざまな趣向が凝らされている。

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デジタル大辞泉の解説

かいゆうしき‐ていえん〔クワイイウシキテイヱン〕【回遊式庭園】

江戸時代からの庭園の一様式で、池の周囲に通路を巡らし、園内を回遊しながら鑑賞できるように造った庭園。

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百科事典マイペディアの解説

回遊式庭園【かいゆうしきていえん】

広大な面積をもち,園内を一周しながら地形に応じて繰り広げられる景観を観賞するようにつくられた庭園。部分的には富士山,天橋立など各地の名所東海道五十三次の風景をとり入れたものが多い。桂離宮や江戸時代の大名によってつくられた六義園後楽園などがその例。
→関連項目兼六園修学院離宮築山庭園

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大辞林 第三版の解説

かいゆうしきていえん【回遊式庭園】

庭園様式の一。中心の池泉を回りながら観賞する庭園。江戸時代の大名庭園で盛んに造られた。桂離宮庭園が代表的。 → 座観式庭園

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家とインテリアの用語がわかる辞典の解説

かいゆうしきていえん【回遊式庭園】

日本独特の庭園様式の一つ。広大な敷地に園路を設け、茶亭・橋・池などを巡って鑑賞する。近世初期に成立し、大名が競って築造。富士山や天橋立(あまのはしだて)など日本の名所や、西湖や廬山(ろざん)といった中国の名所の風景を模したものが作られた。京都の桂離宮(かつらりきゅう)庭園、茨城の偕楽園、東京の小石川後楽園、岡山の後楽園、石川の兼六園などが有名。

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世界大百科事典内の回遊式庭園の言及

【池】より

…しかし安土桃山時代には豪華な館が建てられ,これに釣り合うようにふたたび大池が設けられた。さらに江戸時代には,大名が競って池泉を中心とした回遊式庭園を築き,今日も後楽園,偕楽園などにみることができる。江戸時代後期の造園書《夢窓流治庭法》は池の形態を水字形,心字形,半月形,流水形などで紹介しているが,心字池は必ずしも〈心〉の字形でなく,複雑な汀線の変化を楽しむ手法として今日にその名を残している。…

【庭園】より

…特に松琴亭前の反りのない石橋(切石)は圧観である。
[回遊式庭園の流行――大名庭]
 17世紀の初め,徳川家康が政権をとって以来,諸大名を統制するために参勤交代という制度を考えだした。このために大名たちは江戸と領国の両方に庭園をもつ邸宅を構えた。…

※「回遊式庭園」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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