1949年(昭和24)4月4日に公布施行されたポツダム政令の一つ。「政党、協会その他の団体の結成の禁止等に関する件」(昭和21年勅令101号)を改正したもの。この政令は、平和主義および民主主義の健全な育成を期するため、秘密的、軍国主義的、極端な国家主義的、暴力主義的、反民主主義的な団体の結成と指導、ならびに団体および個人のそのような行為を禁止することを目的とし(同令1条)、かかる行為をした個人は罰せられ(同令13条)、団体は法務総裁の指定により解散させられた(同令4条・5条)。団体が、〔1〕公職の候補者を推薦または支持し、〔2〕政府または地方公共団体の政策に影響を与える行為をなし、〔3〕日本国と諸外国との関係に関し論議することのいずれかに該当したときは、団体の代表者はその役員、構成員等について一定の届出をしなければならず、この届出は公開された(同令6条以下)。法務総裁はこの政令が遵守されているかどうか確かめるために必要な調査権をもった(同令10条)。このように規正令は憲法の保障する結社の自由、表現の自由等を明白に侵害するものであったが、最高裁判所はポツダム政令の超憲法的効力を判示しており、同規正令については、日本の裁判所に裁判権がないという占領中の判例がある。規正令は右翼団体、暴力団等にも適用されたが、朝鮮戦争勃発(ぼっぱつ)前後、共産党およびその影響下にある団体に多く適用された。講和条約発効後、規正令は効力を失い、その内容は52年7月公布施行の破壊活動防止法(昭和27年法律240号)に引き継がれたといわれている。
[糠塚康江]
1949年4月4日に公布施行された政令64号。〈軍国主義的,極端な国家主義的,暴力主義的及び反民主主義的団体〉を禁止することを目的とし(同令第1条),占領軍の指示で超憲法的に制定された,いわゆるポツダム政令の一つ。その内容は〈占領軍に対して反抗し,若(も)しくは反対し,又は日本国政府が連合国最高司令官の要求に基いて発した命令に対し反抗し,若しくは反対すること〉を禁じ(同令第2条),政治団体の役員・構成員等の届出,機関誌紙類の提出等を義務づけ,法務総裁に調査と解散指定の権限を認めた。本令の実務は法務庁(1949年6月1日から法務府)の特別審査局が担当した。右翼団体に適用した事例もあるが,49年9月の在日朝鮮人連盟の解散,50年2月の日本共産党山形市委員会などの告発,6月の日本共産党幹部追放に伴う潜行9幹部の告発,8月の全国労働組合連絡協議会の解散命令など,朝鮮戦争勃発前後に共産党およびその影響下の団体に主として適用された。52年4月の講和条約発効により効力を失い,本令と公職追放令をあわせて法律化した破壊活動防止法が,52年7月4日に国会で成立し,同21日に公布施行された。
執筆者:梅田 欽治
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1949年(昭和24)4月4日に公布・施行された,占領下のポツダム政令の一つ。勅令「政党,協会其ノ他ノ団体ノ結成ノ禁止等ニ関スル件」を改正したもの。アメリカの政策転換,総選挙での共産党の勢力拡大対策として,右翼団体・国家主義的団体のみならず,共産主義的団体や個人も取締りの対象とした。団体設立の際は構成員の氏名と各構成員の政治・思想的経歴を届け出ること,機関誌を提出することを義務づけた。50年8月本令にもとづき全国労働組合連絡協議会(全労連)が解散命令をうけた。また届出資料が同年7月以後のレッド・パージの資料になったといわれる。52年破壊活動防止法に継承された。
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…団体活動として暴力主義的破壊活動を行った団体に対する規制措置と,暴力主義的破壊活動に関する刑罰規定を補整し,公共の安全の確保に寄与することを目的としている(1条)。第2次大戦後の日本の治安は,当初連合国最高司令官の発する指令により,その後はこれを発展させた〈団体等規正令〉(1949公布)や〈占領目的阻害行為処罰令〉(1950公布)などにより維持されてきた。しかし,これらの政令も平和条約の発効により,その効力を失うことになったため,これに代わる治安立法の制定が急がれていた。…
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