国家理性(読み)コッカリセイ

デジタル大辞泉 「国家理性」の意味・読み・例文・類語

こっか‐りせい〔コクカ‐〕【国家理性】

国家存在至上のものとし、すべてのものが国家の維持強化を図ることに従属するとした国家行動基本法則基準。ルネサンス期のイタリア都市国家に生まれ、近代ヨーロッパに広まった。レーゾン‐デタ。国是

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「国家理性」の意味・読み・例文・類語

こっか‐りせいコクカ‥【国家理性】

  1. 〘 名詞 〙 国家は他の理念目的に仕えるものではなくてそれ自体生存、強化を第一目的とする存在であると考え、そのために必要とされる行動の規範中世の神の秩序を排し、近代国家を成就しようとした絶対主義が生みだしたもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「国家理性」の意味・わかりやすい解説

国家理性 (こっかりせい)

フランス語のレーゾン・デタraison d'État(イタリア語ではragione di Stato)の訳語国家理由とも訳される。この言葉は16世紀のヨーロッパで初めて唱えられ,ある人はそれを〈支配権力を樹立,維持,拡大したりするのに適した手段の認識〉と規定し,他の人は全体の利益のために日常的な法や倫理を超える支配者の特権,さらには国家の基本原理や国制を守るための指針を指すとするなど,きわめて多義的であった。これらに共通してみられるのは,国家やその国制の維持を最高の目的とし,そのためには宗教や倫理といった価値を部分的に犠牲にするのはやむをえないという考えである。その意味でマキアベリズムとの結びつきがみられる。かつて国家理性は王や王権によって体現され,行使されるものであったが,国民国家の成立とともにたとえば〈国家利益〉(国益)といった言葉と結びつきながら,より大きな規模で,しかもさまざまなイデオロギー的装いをこらしながら,今日も脈々として生きつづけている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「国家理性」の意味・わかりやすい解説

国家理性【こっかりせい】

フランス語レーゾン・デタの訳。国家理由とも。国家は自己目的的存在として国家の維持・強化のみを最高原理として行動するという観念。近代国家の成立期,特に絶対主義時代に,中世の神学的秩序に対抗するものとして国家主権を樹立する必要から生まれた。のち国際政治における勢力均衡パワー・ポリティクスという概念の原理ともなった。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「国家理性」の解説

国家理性(こっかりせい)
raison d'état[フランス],ragione di stato[イタリア]

国家の維持・発展を至上とし,そのためには法や倫理などは犠牲にしてもやむをえないとする考え方。マキァヴェッリに萌芽がみられ,16~17世紀のヨーロッパ諸国の絶対主義君主が唱えたが,その後も「国益」という装いをまとって主張された。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国家理性」の意味・わかりやすい解説

国家理性
こっかりせい

「レゾン・デタ」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android