デジタル大辞泉
「国民投票法」の意味・読み・例文・類語
こくみんとうひょう‐ほう〔コクミントウヘウハフ〕【国民投票法】
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国民投票法
憲法改正の是非を問う国民投票の手続きを定めた法律。2007年に成立した。一般の選挙と同様に18歳以上が投票に参加できる。国政選挙と変わらない投票環境を整備するため、自民、公明両党と日本維新の会などが改正案を18年6月に提出した。立憲民主党は、資金量によって投票運動が左右されるとして政党スポットCMなどの規制を主張。外国人による寄付禁止も盛り込むよう求めている。立民などが採決に慎重姿勢を示し、8国会にわたり継続審議となっていた。
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国民投票法
こくみんとうひょうほう
正式名称は「日本国憲法の改正手続に関する法律」。平成19年法律第51号。2007年(平成19)5月18日に制定され、施行は3年後の2010年5月18日である。この法律は、日本国憲法第96条に定める日本国憲法の改正について、国民の承認に係る投票手続と憲法改正の発議手続について定めている(1条)。
日本国憲法第96条1項の規定が示すように、憲法の改正は衆・参各院の総議員の3分の2以上の賛成を経て、国会が国民に提案し、国民の過半数の承認を得なければならない。そのための投票の手続である。内容は次のようになっている。
第一に、この国民投票法は、一般的国民投票ではなく、憲法改正に限定されている。
第二に、投票年齢については、満18歳以上の者である。ただし、公職選挙法等の改正により国政選挙に参加する年齢が満18歳以上に改められるまでの間は満20歳以上の者としている(附則3条)。また、在外投票人についても所定の手続により認められている(33条~46条、62条、124条)。
第三に、投票は国民投票に係る憲法改正案ごとに、一人一票で行われる(47条)。
第四に、憲法改正案に賛成するときは投票用紙に印刷された賛成の文字に○の記号を、反対するときは反対の文字に○の記号を自筆する(57条)。
第五に、衆・参各院10人ずつで構成する「国民投票広報協議会」を国会に設置し、改正案およびその要旨、改正事項の分かりやすい説明、国民投票公報の原稿の作成などを行う(11条~19条)。
第六に、国民投票運動(憲法改正案に対して、賛成あるいは反対の投票をするように、またはしないように勧誘する行為)について留意規定をおき、「表現の自由、学問の自由及び政治活動の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならない」(100条)といった規定をおき、国民投票運動の自由を保障する。公務員等および教育者の地位利用による国民投票運動の禁止、投票目前の広告放送等についても一定の制限をおいている(100条~108条)。そのほか、組織的多数人買収及び利害誘導罪(109条)、国民投票の自由妨害罪(111条)、投票の秘密侵害罪(112条)、投票干渉罪(113条)等の罰則を定めている。裁判官、検察官、警察官の国民投票運動の禁止について論議されたが、特別な規制はない。
この法律が制定されることによって、憲法改正が促進されるとの批判もあったが、この法律の施行を3年後とすることで、その間の改正案の審査、提出を避けている。
[吉田善明]
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国民投票法【こくみんとうひょうほう】
正式には〈日本国憲法の改正手続に関する法律〉。2007年5月成立・公布。一部を除いて2010年5月施行。日本国憲法第96条は憲法改正手続きとして衆参両院の総議員数の3分の2以上の賛成で国会が発議し国民投票に付しその過半数の賛成をえなければならないと定めている。しかし憲法改正原案の提出手続きや国民投票の投票権者・投票方法については規定されていない。憲法改正問題が本格的な政治的議論の対象となったのは1999年憲法調査会設置が国会で決められてからである。改正手続きについて法的な整備が必要とされ,2006年に自民・公明党案と民主党案が国会に提出された。2007年に成立した国民投票法は憲法改正原案の発議について,(1)憲法審査会を国会に設置,原案について審査,(2)改正原案は衆議院100人以上,参議院50人以上の賛成で国会に提出できる,(3)原案の発議は内容において関連する事項ごとに区分して行う,としている。ただし,法公布から3年間は憲法改正原案の発議を禁じている。国民投票については(1)投票権者は18歳以上の日本国民,(2)国会発議後60日から180日の間に国民投票を行う,(3)有効投票数の過半数の賛成で改正原案は成立,(4)公務員や教員の地位を利用した投票運動を禁止する,(5)テレビ・ラジオによるコマーシャルは投票日の2週間前から禁止する,などの条項を定めた。国民投票法については,最低投票制度を定めていないこと,投票権を有する者の年齢と成年年齢との整合,テレビ・ラジオの規制,教員の〈地位利用〉と教育の関連性等々さまざまな疑問が残されている。2012年12月に成立した第二次安倍内閣で安倍晋三首相は憲法改正に着手する構えを見せたが,96条改正に対する国民世論は否定的で厳しいという状況を踏まえ,解釈改憲すなわち閣議決定によって集団的自衛権の行使容認を実現するという方向を打ち出した。しかしこうした姿勢に対しても各種世論調査では集団的自衛権行使容認に反対もしくは望ましくないとする意見が50〜60%強を占めており,与党である公明党も慎重姿勢を崩していない。
→関連項目安倍晋三内閣|解釈改憲
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「国民投票法」の解説
国民投票法
正式には「日本国憲法の改正手続に関する法律」。2007年5月14日に国会で成立し、5月18日に公布。一部を除いて2年後の10年5月18日に施行される。日本国憲法第96条は、憲法改正手続きとして衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票に付し、その過半数の賛成を得なくてはならないと定めている。だが、憲法改正原案の提出手続き、国民投票の投票権者や投票方法などについては、何ら規定していない。日本国憲法の改正問題が政治の議題とされたのは、1999年の通常国会において憲法調査会の設置が定められて以降である。その後、改正手続法の「不備」が問題視され、2006年には自民・公明党案と民主党案が提出された。憲法改正に熱意を燃やした安倍政権は、与党単独でも成立を図るとした。成立した国民投票法は、国会への憲法改正原案の発議について、(1)憲法審査会を国会に設置し、改正原案について審理を行う、(2)改正原案は衆議院100人以上、参議院50人以上の賛成で国会に提出できる、(3)原案の発議は内容において関連する事項ごとに区分して行う、としている。ただし、法公布から3年間は憲法改正原案の発議を禁じている。また、国民投票については、(1)投票権者は18歳以上の日本国民、(2)国会発議後60〜180日間に国民投票を行う、(3)有効投票の過半数の賛成で改正原案は成立、(4)公務員や教員の地位を利用した投票運動を禁止する、(5)テレビ・ラジオによるコマーシャルは投票日の2週間前から禁止する、などを定めている。ただし、最低投票制度を定めていないことやテレビ・ラジオの規制、教員の「地位利用」と教育の関連性などについて、国民投票法への疑問を提示する声はなお大きい。
国民投票法
憲法改正のための手続きを定めた法律で、2007年5月14日に成立。 憲法改正には、衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成を得て改憲案が「発議」され、国民投票で過半数の賛成を得ることが必要とされている(憲法96条)。しかし、その具体的な手続きを定めた法律はこれまでなかった。改憲を掲げた安倍首相が法制定を推進し、民主党など野党の反対を押し切った。 国民投票の対象テーマとしては、一般的な国政上の重要課題も含めるべきだとの議論もあったが、最終的には憲法改正に限定されることになった。 国会が改憲を発議してから60日以降180日以内に投票を実施。公務員と教育者について「地位を利用」した運動は禁じられる。 投票年齢は18歳以上とされた。これに伴い現在20歳以上の選挙権年齢や民法上の「成年」年齢も引き下げることも検討されることになる。 公布後3年間は改憲原案の国会への提出、審議は凍結される。
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