翻訳|recall
住民が地方議会の解散、首長や地方議員らの解職を直接請求できる制度。地方自治法で規定する。自治体や選挙区の有権者のうち原則3分の1以上の署名が集まり、選挙管理委員会が有効と認めれば、代表者が請求。60日以内に賛否を問う住民投票が行われ、有効投票の過半数の賛成で成立する。署名の妥当性をチェックする観点から選管の審査後7日間、署名簿は公開。対象となる自治体や選挙区の有権者は誰でも閲覧できる一方、個人情報の在り方を問う指摘もある。
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製品の欠陥や不具合で、消費者に対する安全上の問題が生じるおそれがある場合、製品を無償で回収・修理する制度。法令で定められた安全規制やメーカーなどの自主判断に基づき、危険を防止するために講じられる措置である。リコール制度は1969年(昭和44)に始まった自動車に対する制度が最初で、対象製品には、衣類や家庭用電気製品などの生活用製品、医薬品、食品などがある。それぞれの製品分野には品質や安全管理の基準を個別に定めた道路運送車両法、消費生活用製品安全法、医薬品医療機器等法(旧、薬事法)、食品衛生法などがあり、各法令に基づいてリコールが行われる。事故の発生や拡大を最小限に抑えるため、製造、輸入、流通、販売にかかわる事業者は、(1)製造や流通の停止と製品の回収、(2)消費者への適切な情報提供と類似事故防止のための注意喚起、(3)消費者が保有する製品の回収、交換、修理、などの措置を速やかに実施する必要がある。
日本では自動車のリコール件数(国産車、輸入車の合計)は毎年300件以上にのぼっており、世界的な自動車部品の共通化のあおりを受け、いったん汎用(はんよう)部品に不具合が発生すると、リコール対象車両が世界の自動車メーカーに広がり、台数も何百万台にのぼるようになっている。また、日本のリコール制度は不具合や欠陥の原因がはっきりした後に届け出るのに対し、アメリカでは原因が不明でも、安全上問題があると判断した場合に行う調査リコール制度が整備されている。2014年(平成26)、自動車部品会社タカタ製のエアバッグの欠陥がアメリカで社会問題化した際には、アメリカ高速道路交通安全局(NHTSA:National Highway Traffic Safety Administration)からホンダなどが調査リコールの実施を求められたが、リコール制度の違いもあり、対応が後手に回って批判を浴びた。このため、日本国内でも、安全のための予防的措置として、調査リコール制度の整備を求める声があがっている。
家庭用製品では、2005年の松下電器産業(現、パナソニック)製の石油温風機による一酸化炭素中毒死亡事故や、1985~2006年にかけて発生したパロマ工業(現、パロマ)製ガス湯沸かし器による死亡事故などの重大な事故も多発。これに対処するため2007年には消費生活用製品安全法が改正・施行され、製品事故情報報告・公表制度が始まった。2009年には消費者庁が発足し、事故情報の収集・公表にあたっている。ただし、リコール対象商品とわかっていても利用し続けるケースや、リコール情報に触れる機会のない消費者もおり、事業者の自主的な取り組みだけでは、完全に対処しきれないのが現状である。
[矢野 武 2015年7月21日]
国民罷免あるいは国民解職ともいう。公職者(公務員)が国民や住民の信頼を裏切る行為をしたとき、任期満了前に国民または住民の発意によって呼び戻す(recall)方法である。レファレンダム、イニシアティブと並んで、直接民主制の一つである。スイスで1852年にアールガウAargauおよびシャフハウゼンSchaffhausenの2州が採用したのが最初である。他の多くの州にも伝わったが、ほとんど活用されなかった。他方、この制度はアメリカ合衆国において広く普及し、かつ利用されている。連邦政府ではなく、州や都市に多い。1903年ロサンゼルス市がリコール制を創設し、州法に規定を設けたのは08年のオレゴン州が最初である。その手続は一定数以上の州民(有権者)が発議し、これが成立すると国民投票または住民投票に付して、リコールの可否を決定する。多くの州は判事に対して適用しない。旧ソビエト社会主義共和国連邦憲法では「すべて議員は、……法律の定める手続により、選挙人の多数決に基づき、随意に罷免されうる」(124条)と規定している。日本国憲法では「公務員を選し罷免することは国民固有の権利である」(15条1項)と規定し、リコールを制度化した。最高裁判所裁判官の国民審査(憲法79条2項)も一種の法定リコールである。また地方自治法では、長および議員の解職請求(131条2項・3項、80条~88条)が実現されている。リコールの長所としてあげられるのは、国民または住民は公務員を監督することができることである。したがって、公務員は責任感を喚起せられ、職務に忠実に、行動を慎むようになる。法律違反は裁判所が処理するが、政治的責任や道義的責任は、リコールによって問うほかはない。短所として、扇動家(デマゴーグ)の中傷、反感による攻撃によって事実が曲げられ、無責任な立場で、公務員を解職するようになることもある。そのため公務員はデマゴーグや世論に迎合するようになることが指摘される。
[伊藤 勲]
フランスで活躍した皮膚泌尿器科医。アメリカのボルティモアのフランス系家系に生まれる。1826年パリの医学校を卒業、ミディ病院の外科医となり、梅毒患者はじめ泌尿器患者の診療に専念した。1852年にはナポレオン3世(在位1852~1870)の侍医となった。梅毒と淋(りん)病とは別の病気であることを発見、これを立証したほか、泌尿器科の診療、治療技術に関してさまざまな新しいくふうを試みた。
[大鳥蘭三郎]
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出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…アメリカ,カナダで広くみられる独特の雇用慣行で,レイオフ(帰休制度),昇進など雇用関係上の諸事項について,勤続年数の長い古参労働者を短い者より有利に取り扱う制度。たとえば使用者が剰員をレイオフする場合,先任権が工場単位で定められていれば,当該工場内の労働者のうち勤続年数の短い(先任権順位の低い)者から順に必要人数までがレイオフされ,後に同工場で労働力需要が回復すれば,レイオフ中の労働者のうち先任権順位の高い者から優先的にリコール(再雇用)される。長期勤続者に対する同様の優遇は,昇進,配転,作業割当て,シフト選択等についても,あるいは退職年金,離職手当,付加的失業給付,有給休暇等の諸給付に関しても,一般に認められる。…
…直接立法制は代表民主制と対置されるものではあるが,代表民主制に代置しうるものではない。 なお,論者によっては,上記の直接民主政治と直接立法制に加えて,リコール(解職請求),プライマリー・エレクション(予備選挙)の両制度をも直接民主制の形態に含めて論じることがあるが,これは適切とは考えられない。確かに,リコール,プライマリー・エレクションは直接立法制と並行して発達したものであり,直接立法制を採用したところではリコール,プライマリー・エレクションをも採用していることが多い(この逆は真ではないが)。…
※「リコール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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