高知県中南部にある市。土佐湾に臨む。1958年(昭和33)高岡、宇佐の2町と新居(にい)村が合併して新高岡町となり、翌年市制施行して土佐市成立。国道56号が通じ、高知自動車道の土佐インターチェンジが設置されている。市域は仁淀(によど)川下流右岸に広がり、東西走する標高300メートル前後の五領寺山脈によって北の高岡地区と南の宇佐、新居地区に分けられる。仁淀川の支流波介(はげ)川流域の高岡平野は低湿でイグサの生産が多く、高岡の市街地が位置する段丘にかけては施設園芸が、山麓(さんろく)ではブンタンなどの柑橘(かんきつ)類の栽培がみられる。また、高岡近郷では古くから和紙業が発達し、多くは機械漉(す)きに移行したが、手漉きも残る。新居は仁淀川河口の氾濫(はんらん)原に位置し、キュウリ・ピーマンなどの施設園芸やスイカ生産が盛ん。浦ノ内湾口に位置する宇佐は土佐湾沿岸の代表的カツオ漁港の一つとして知られ、土佐かつお節製造の発祥地ともいわれる。かつお節製造が盛んであるが、近年カツオ一本釣りは不振で、移入原料に依存する割合が高くなっている。湾口付近は遠浅で潮干狩、海水浴などができ、対岸の横浪(よこなみ)半島との間には1973年宇佐大橋が架設された。横浪半島は県立自然公園となっている。甲原(かんばら)松尾山のタチバナ群落、五色ノ浜(ごしきのはま)の横浪メランジュは国指定天然記念物。高岡に四国八十八か所第35番札所清瀧(きよたき)寺、宇佐に第36番札所青龍(しょうりゅう)寺がある。蓮池の太刀踊(たちおどり)は県保護無形民俗文化財。面積91.50平方キロメートル、人口2万5732(2020)。
[正木久仁]
『『土佐市史』(1978・土佐市)』
高知県北部、土佐郡の町。1955年(昭和30)長岡郡田井村と土佐郡森、地蔵寺(じぞうじ)の2村が合併して土佐村となり、1970年町制施行。国道439号が通じる。吉野川上流とその支流地蔵寺川流域に広がり、地蔵寺川流域には比較的平坦(へいたん)地が開け良質米を産し、施設園芸も行われている。山間部では用材のほかコウゾの生産があったが現在は衰退。畜産業が盛んで土佐赤牛の産地である。1973年吉野川に多目的の早明浦(さめうら)ダムが建設された。ダム湖畔には森林公園やキャンプ場などがある。中心集落田井は県北におけるバス交通の中心。平石(ひらいし)の乳(ちち)イチョウは国指定天然記念物。面積212.13平方キロメートル、人口3753(2020)。
[正木久仁]
高知県中央部の市。1959年市制。人口2万8686(2010)。仁淀川下流部右岸に位置し,その支流波介(はげ)川が中央を東流,北と南は標高300~400m級の山が連なる。南東は土佐湾に面し,浦ノ内湾(〈横浪三里〉とよばれる)を囲む横浪半島の先端部を市域に含む。波介川流域の高岡平野は本流との水位差が小さいため排水が悪く低湿で,イグサ栽培が行われる。周辺の丘陵ではミカン,土佐ブンタンが栽培される。段丘上に位置する中心市街の高岡地区は戦国期の市町に起源し,江戸時代は在郷町で,送番所も置かれていた。また北隣の吾川郡いの町の旧伊野町と並ぶ土佐和紙製造の中心地で,手すき和紙業も残る。浦ノ内湾口に位置する宇佐は古くからのカツオ漁港で,土佐鰹節(土佐節)の発祥地ともいわれ,現在も水産加工業が盛んである。仁淀川河口の新居(にい)では施設園芸が盛んで,キュウリ,スイカなどを栽培する。高岡の北,清滝山中腹に四国八十八ヵ所第35番札所の清滝寺があり,高岡の西方には,戦国期土佐七守護の一人に数えられた大平氏の拠った蓮池城跡がある。横浪半島先端部にある青竜(しようりゆう)寺は八十八ヵ所第36番札所である。市域中央を東西に国道56号線が通じ,浦ノ内湾口に架かる宇佐大橋は横浪半島を縦断する横浪黒潮ライン(1998年無料開放)の東の入口である。高知自動車道のインターチェンジがある。
執筆者:正木 久仁
高知県中央部,土佐郡の町。北端は愛媛県伊予三島市に接する。1970年町制。人口4358(2010)。四国山地の南側にあり,大部分は山地だが,町域北部を南東流する吉野川に注ぐ瀬戸川,地蔵寺川沿いに河岸段丘が発達して耕地が開ける。一帯はかつて森郷と呼ばれ,中世には土豪森氏の本拠地であった。江戸初期,土佐藩執政野中兼山によって用水路の新井(あらゆ)溝が開かれた。地蔵寺川とこれに注ぐ相川川,伊勢川川の流域は良質米の産地として知られる。ほかに酪農,養蚕,施設園芸が行われ,また温暖多雨の気候に恵まれて杉,ヒノキの良材を産する。1973年吉野川に四国最大の多目的ダムの早明浦(さめうら)ダムが完成,ダム上流には湖岸に沿って県道が通じたが,町内では150余世帯が水没した。平石の乳イチョウは天然記念物。
執筆者:萩原 毅
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…イシサンゴ類はポリプを取り除いて骨格を置物にするくらいで,装飾品などに加工はできない。
[生態・利用]
装飾品にされる本サンゴにはアカサンゴCorallium japonicum,モモイロサンゴC.elatius,シロサンゴC.konojoi,ベニサンゴC.rubrumなどがあり,土佐沖,南西諸島から台湾,小笠原諸島,ミッドウェー諸島に分布している。ほとんどのものは水深100~300mの海底に着生しているが,ミッドウェー諸島沖では1979年以来水深1000~1500mの海底から採取されていて,〈ミッド赤ボケ〉とか〈ミッド白〉などの慣用名で呼ばれている。…
※「土佐」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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