城崎温泉(読み)キノサキオンセン

デジタル大辞泉 「城崎温泉」の意味・読み・例文・類語

きのさき‐おんせん〔‐ヲンセン〕【城崎温泉】

兵庫県北部、豊岡市にある温泉。志賀直哉有島武郎ら文人が逗留した。泉質は塩化物泉

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共同通信ニュース用語解説 「城崎温泉」の解説

城崎温泉

千年以上前に開かれたとされる兵庫県豊岡市の温泉街で、湯治に訪れた作家志賀直哉の小説「城の崎にて」の舞台としても知られる。中心部の川沿いには昭和初期に建てられた木造旅館が立ち並び、浴衣を着て歩く宿泊客の姿が多く見られる。県のホームページによると、2012年度には約78万6千人が訪れ、近年では香港や台湾を中心に外国人観光客も増えている。

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精選版 日本国語大辞典 「城崎温泉」の意味・読み・例文・類語

きのさき‐おんせん‥ヲンセン【城崎温泉】

  1. 兵庫県北部、豊岡市にある温泉。泉質は弱食塩泉。

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日本歴史地名大系 「城崎温泉」の解説

城崎温泉
きのさきおんせん

[現在地名]城崎町湯島

円山まるやま川支流の大谿おおたに川沿いに湧出する温泉。泉質は含塩化土類弱食塩泉で、源泉温度は摂氏約五八度。当地にある温泉おんせん寺の縁起などによると舒明天皇の時代から湧出が知られていたといい、また温泉寺の開山道智が養老年間(七一七―七二四)曼陀羅修行によって曼陀羅まんだら湯を湧出させたともいう。これらの伝承は別にして「古今集」に「たじまのくにのゆへまかりける時に」という詞書をもつ藤原兼輔の歌があり(→二見浦、この「たじまのくにのゆ」は当温泉をさすと考えられ、平安時代には都人にも知られるようになっていた。「台記」康治二年(一一四三)八月七日条に「参宇治、但馬湯御下向留了云々」とあり、記主藤原頼長の父藤原忠実は但馬湯入湯を計画していたようである。「新後撰集」には「やよひの比、たじまのゆあみにまかり侍りける道にて、よみ侍りける」という詞書の西園寺実雄の歌がある。文永四年(一二六七)頃安嘉門院(後堀河天皇皇后藤原有子)も入湯に訪れており、二〇巻本「増鏡」の「北野の雪」に「その同じ頃、安嘉門院、丹後の天の橋立御覧じにとておはします、それより但馬の城の崎のいで湯めしに下らせ給ふ」とある。吉田兼好も訪れており、「花のさかりたしまのゆよりかへるみちにてあめにあいて」、一首詠んでいる(兼好法師集)。天文一九年(一五五〇)には「御屋形様」(鷹司忠冬か)の入湯に随行して飛鳥井雅教が当地に来遊、温泉寺で鞠を披露し、歌会を催している(温泉寺縁起帳紙背文書)。「言経卿記」慶長九年(一六〇四)五月一〇日条には下野殿(清須城主松平忠吉、徳川家康の第四子)が「但州湯治ニ御出也」とあり、「当代記」にも「清須下野主、但馬エ湯治」と記される。松平忠吉は瘡疾に悩まされており(武徳編年集成)、瘡に効くと喧伝されていた当温泉で湯治をしたのであろう。

江戸時代には湯島ゆしまの名で知られた当温泉を「海内第一泉」として激賞したのは、元禄期(一六八八―一七〇四)に入湯した後藤艮山(京都の医師)である。しかしそのことを紹介したのは、その弟子の香川修庵(姫路の医師)で、修庵は「一本堂」と号し、享保一九年(一七三四)に「一本堂薬選」四巻を著述している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「城崎温泉」の意味・わかりやすい解説

城崎温泉
きのさきおんせん

兵庫県北部の豊岡市(とよおかし)にある温泉。温泉街は円山(まるやま)川支流の大谿(おおたに)川沿いに細長く延びる。泉源は7世紀に発見という伝説があり、江戸時代には「海内(かいだい)第一泉」と称された。1925年(大正14)の北但大震災(ほくたんだいしんさい)で全町ほとんどが壊滅したため、昔の温泉宿おもかげはない。町営の外湯(そとゆ)のほか、1972年(昭和47)には旅館への配湯方式が完成した。泉質は塩化物泉。

[大槻 守]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「城崎温泉」の意味・わかりやすい解説

城崎温泉
きのさきおんせん

兵庫県北部,豊岡市にある温泉。円山川の支流大谿川 (おおひろがわ) 両岸に位置。単純泉,食塩泉で泉温は 40~75℃。婦人病に効能があるといわれる。共同浴場が周辺各地に設けられ,外湯中心の温泉地として発展。 1952年新たな温泉源の発見により各旅館の内湯化が進んだが,7ヵ所の共同浴場は現在も重要な観光資源となっている。柳並木のある町並みに温泉情緒が残る。

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