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堕胎 だたいabortion

翻訳|abortion

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

堕胎
だたい
abortion

母体保護法など法律で定められた適応症以外の理由で,あるいは指定された医師以外によって,非合法的に行われる人工妊娠中絶手術をさし,行なった場合は堕胎罪が成立する。 (→人工妊娠中絶 )

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百科事典マイペディアの解説

堕胎【だたい】

胎児を自然分娩(ぶんべん)期以前に人為的に排出させること。広義では人工妊娠中絶全般をいうが,一般には母体保護法の適応範囲外で非合法に行われる場合をさし,堕胎罪が成立する。
→関連項目堕胎薬

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世界大百科事典 第2版の解説

だたい【堕胎 abortion】

子宮内で発育中の胎児を,自然の分娩に先だって人為的に妊娠を中絶し,排出させること。〈おろす〉〈おとす〉〈はっさんする〉などとも称し,古くから行われていた。本来的にはすべての人工妊娠中絶が含まれるが,現代の日本では,母体保護法にもとづいて医師が行う人工妊娠中絶は堕胎には含めず,それ以外の非合法のものだけを意味すると解されている。また,妊娠の中断を目的とした胎児の殺害も堕胎に含まれる。 堕胎の方法には手術などによる器械的方法と薬物を用いる方法がある。

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大辞林 第三版の解説

だたい【堕胎】

( 名 ) スル
人工妊娠中絶。子おろし。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

堕胎
だたい
abortion

自然の分娩(ぶんべん)期に先だって人工的に妊娠を中絶し、子宮内で発育中の胎児を排出させることをいう。したがって、すべての人工妊娠中絶が含まれるわけであるが、日本の刑法では、母体保護法に基づき医師が行う人工妊娠中絶や、緊急避難行為として行う子宮外妊娠の手術などは、正当行為と認められている。すなわち、非合法的な妊娠中絶だけをさしており、妊娠中絶を目的とした胎児の殺害も堕胎に含まれる。[鎌田久子]

民俗

『今昔(こんじゃく)物語』(12世紀初め)に、流産の術として毒を服すという文があることは、平安時代すでに人工妊娠中絶が行われていたことを示しており、その歴史は古い。しかし事例が数多く残されているのは、江戸時代以降である。農政学者佐藤信淵(のぶひろ)は『農政本論』に、農民が毒針を刺して堕胎することがあったと述べて、貧窮ゆえにやむをえないとしている。当時の為政者は、この風習を人口政策、経済政策として注目することはあっても、道義上の問題として扱っているものは少ない。もちろん江戸時代にもこの風(ふう)を戒めた書物はある。1842年(天保13)幕府は堕胎の禁令を出しているが、これとて江戸市中に限られ、全国的には厳しいものではなかった。京都・江戸の町なかには、中条(なかじょう)流をはじめとした婦人科医の存在も増加し、子おろし(中絶)用の薬も密売されていた。限られた土地に住む人口はおのずと決まっており、効果的な避妊法もわからない当時としては、堕胎・間引(まびき)(出産してから始末すること)は、暗黙裏の人口調整とすらなっていたのである。
 明治政府は、1868年(明治1)12月、産婆への堕胎取締りを布告して、江戸時代からの慣習を打破しようとしてきたが、1948年(昭和23)優生保護法(現母体保護法)が成立するまで、堕胎は公然の秘密として、全国的な慣習となって存在したのである。
 今日では合法的な妊娠中絶は、すべて医師により行われているが、各地に伝承されていた方法をみると、(1)毒性の植物など異物を挿入して流産を促す、(2)毒性の植物を煎(せん)じて飲む、(3)過激な運動、(4)神仏に祈願、などが行われていた。名称も、その方法をよんだオロスとか、観念として抱いている、胎児を前世に返すというオカエシ、モドスなどの方言がある。着帯以前に処置すれば、人間として認知する以前であるから罪の意識を感じないですむという考え方もあった。堕胎が行われてきた根底には、人間の霊魂は去来するものであり、前世に返しても、また必要ならばこの世に生まれてくることができると信じた日本人の霊魂観が存在するのであろう。[鎌田久子]

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世界大百科事典内の堕胎の言及

【堕胎罪】より

…胎児を自然の分娩期に先だって母体外に排出し,または,母体内で死亡させる罪。母体外に排出した胎児が生存している場合に,これを殺す行為は新たに殺人罪を構成し,両者は併合罪になる(判例)。妊婦自身による自己堕胎(刑法212条,1年以下の懲役),妊婦の嘱託を受けまたはその承諾のもとに行われる同意堕胎(213条,2年以下の懲役),医師・産婆等により妊婦の同意のもとに行われる業務上堕胎(214条,3月以上5年以下の懲役),妊婦の意に反して行われる不同意堕胎(215条,6月以上7年以下の懲役)とに分かれる。…

【流産】より

…妊娠初期に妊娠を継続することができなくなり中絶した状態を流産というが,その範囲については種々の定義がなされている。日本では現在〈妊娠第22週未満の分娩をいう〉と流産を定義している。これは,第22週以後の分娩では胎児の母体外生活が可能と考えられるにいたったからである。かつては28週未満,24週未満とされていたこともあり,今後も,医療の進歩につれてこの定義は変わる可能性をもっている。流産の頻度は全妊娠に対して7~10%と考えられているが,妊娠第9~12週におけるものが最も多い。…

【堕胎罪】より

…母体外に排出した胎児が生存している場合に,これを殺す行為は新たに殺人罪を構成し,両者は併合罪になる(判例)。妊婦自身による自己堕胎(刑法212条,1年以下の懲役),妊婦の嘱託を受けまたはその承諾のもとに行われる同意堕胎(213条,2年以下の懲役),医師・産婆等により妊婦の同意のもとに行われる業務上堕胎(214条,3月以上5年以下の懲役),妊婦の意に反して行われる不同意堕胎(215条,6月以上7年以下の懲役)とに分かれる。妊婦自身による自己堕胎以外の堕胎罪において,妊婦を死傷に致したときは刑が加重される。…

【母体保護法】より

…以上の事実は,優生保護法が不良な子孫の出生を防止する法律としてではなく,人工妊娠中絶を合法化する法律として機能してきたことを示す。そもそも同法は,戦後の混乱期における未曾有の人口増加に対して,有効な産児制限の手段である人工妊娠中絶を合法化し,危険なやみ堕胎をなくすために立法されたともいえる。このように同法の下で毎年大量の人工妊娠中絶が行われていることに対しては批判もあった。…

【間引き】より

…この語はいわばそれについての公称であって,例えば奥羽地方では,おしかえす,もどす,ぶっかえすなど,生まれ出るものを生前の世界,いわば霊界に逆行させる意味の言葉が使われ,関東・中部では薪拾いにやった,魚捕りに行ったなど,葬地や処分法を意味する語が多く用いられた。中国・九州地方もこれらに類するが,関西にはこれに当たる言葉はほとんど知られず,堕胎処理が多かったのかと考えられる。また,江戸時代における人口増加の停滞の主要原因をこれに帰する者もあるが,人口の増加しなかった理由は飢饉と流行病によって十分に説明でき,古来子どもを子宝として喜び,安産や生育祈願のための民俗行事(育児)がひろく盛んに行われてきた事実を考えれば,間引きが近世まで一般常習となっていたという通説には疑問がある。…

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