塩化カリウム(読み)えんかカリウム(英語表記)potassium chloride

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

塩化カリウム
えんかカリウム
potassium chloride

化学式 KCl 。天然にはカリ岩塩として,シュタスフルトなどの岩塩鉱床から採取されている。無色結晶。味は塩辛い。比重 1.99,融点 776℃。塩化カリウム 1gは水 2.8ml,熱水 1.8ml,アルコール 250mlに溶解する。エーテルアセトン不溶。水への溶解度は塩酸,塩化ナトリウムあるいはマグネシウムにより下げることができる。 15℃における飽和水溶液の比重 1.17,pH約7。写真工業で多く使われ,また緩衝溶液,肥料,工業原料,化学薬品として用途は広い。経口的に大量にとると胃腸を刺激し,下痢を起す。適量用いれば利尿作用を示す。

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百科事典マイペディアの解説

塩化カリウム【えんかカリウム】

化学式はKCl。比重1.988,融点776℃,沸点1500℃。苦味と塩味がある無色の結晶。塩化カリとも。化学的性質は塩化ナトリウムに似る。天然にはシルビン(カリ岩塩)として岩塩とともに産出し,海水中にも少量存在する。工業的にはカーナライトMgCl2・KCl・6H2Oの水溶液から分別結晶により得る。カリ肥料,カリウム塩の原料,医薬などに多く用いられ,単結晶は赤外線用プリズムなどにも使われる。塩化カリは硫酸カリとともに代表的カリ肥料で,速効性である。
→関連項目カリ肥料

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栄養・生化学辞典の解説

塩化カリウム

 KCl (mw74.55).食塩の摂取量を抑えるために,食塩の一部代替物として使われることがある.

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世界大百科事典 第2版の解説

えんかカリウム【塩化カリウム potassium chloride】

化学式KCl。塩化カリ,塩加ともいう。天然にはシルビン(カリ岩塩)として産出,海水中に平均0.08%含まれる。無色で結晶は立方晶系。塩化ナトリウムNaCl型構造。苦い辛味を有する。高純度のものは潮解性を示さない。融点776℃,沸点1500℃。比重1.988。屈折率1.4904。水100gに対する溶解度は27.6g(0℃),56.7g(100℃)。エチルアルコールに難溶。メチルアルコールに微溶,アセトン,エーテルに不溶,グリセリンには溶け,水溶液は-10.5℃で含氷晶をつくる。

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大辞林 第三版の解説

えんかカリウム【塩化カリウム】

岩塩(シルビン)として天然に産出する塩化ナトリウム(食塩)によく似た無色の結晶。苦い辛味がある。化学式 KCl カリ肥料や他のカリウム塩の原料にする。塩化加里。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

塩化カリウム
えんかかりうむ
potassium chloride

カリウムと塩素の化合物。工業的には塩化カリともよばれる。天然には各種の鉱物、たとえば、シルビンKCl、シルビナイトKCl・NaCl、カーナリットKCl・MgCl2・6H2O、ハルトザルツKCl・NaCl・MgSO4・H2Oとして塩化ナトリウムや硫酸カルシウムの層間に産出する。海水中にも平均0.08%含まれている。水溶性鉱物から塩化カリウムを取り出すには連続溶解法か浮遊選鉱法が用いられる。
 一例としてシルビナイトから粗塩化カリウム(含有率60~70%)を製造する工程をに示す。再結晶法によって精製すれば高純度のものが得られる。無色の結晶性物質であるが、天然産には、不純物のために青色や黄赤色を呈するものがある。純粋なものは潮解性はないが、アルカリ土類塩などを含む粗製塩は吸湿性である。苦い辛味があり、水にはかなりよく溶けるが、アルコールやアセトンには溶けない。粗製品はそのまま肥料として用いられる。精製品は各種のカリウム塩の製造原料として重要であり、実験室では緩衝液や電極液の調製に用いられる。単結晶には、赤外線吸収スペクトル測定用のプリズムやセルの窓としての特殊な用途がある。そのほか熱処理剤、写真試薬、医薬にも使われる。[鳥居泰男]

医薬用

カリウム欠乏症の治療に医薬用の塩化カリウムが使われる。カリウムは生体内でもっとも大量に存在するイオンで、大部分が細胞内に含まれており、これが不足すると細胞の機能障害をおこす。このカリウムイオンの補給に塩化カリウムが内服または注射によって投与される。内服では胃障害を避けるために腸溶皮膜を施した徐放性製剤が用いられる。「スローケー」などがそれである。注射では電解質補正用や心臓手術の際の心停止液として輸液に混ぜて使われる。[幸保文治]

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世界大百科事典内の塩化カリウムの言及

【利尿薬】より

…これを水利尿というが,血液量を増加させることによって,ADHの濃度を低下させ,水利尿を起こさせる薬剤である。塩化カリウムや塩化アンモニウム,クロラザニルなどトリアジン誘導体が含まれる。塩化カリウムは肝臓で変化を受けて,塩化水素を生成し,血液を酸性に傾けるため,組織から水分が血液中に移行する。…

※「塩化カリウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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