塩化ビニリデン(読み)えんかビニリデン(英語表記)vinylidene chloride

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

塩化ビニリデン
えんかビニリデン
vinylidene chloride

エチレンの同一炭素原子に結合している2個の水素原子が塩素原子により置換された化合物 CH2=CCl2 のこと。一般に CH2=C< をビニリデン基という。沸点 31.7℃,凝固点-122.5℃。塩化ビニルを塩素化し,CH2Cl-CHCl2 とし,その脱塩化水素反応で得られる。酸素に触れると過酸化物をつくり,熱,光,遊離基などの触媒作用によって重合する。また爆発性があるので,水中に保存する。塩化ビニルとの共重合体は繊維状にして漁網などに,フィルム状にして包装用に,またラテックスはコンクリート養生剤に利用される。

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デジタル大辞泉の解説

えんか‐ビニリデン〔エンクワ‐〕【塩化ビニリデン】

塩化ビニル塩素を付加して得られるトリクロロエタンを、水酸化ナトリウムなどを用いた脱塩化水素反応によって作る無色の液体。熱・光・触媒などによって重合し、塩化ビニリデン樹脂となる。塩化ビニルアクリロニトリルなどと共重合したものを繊維・食品包装用フィルム・漁網などに使用。化学式CH2=CCl2

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世界大百科事典 第2版の解説

えんかビニリデン【塩化ビニリデン vinylidene chloride】

エチレンの二塩素化物で,同一炭素に2個の塩素原子が結合している。1,1‐ジクロロエチレンともいう。化学式CH2=CCl2。融点-122.1℃,沸点31.7℃。塩化ビニルCH2=CHClの塩素化または1,2‐ジクロロエタンの塩素化で得られる1,1,2‐トリクロロエタンCH2Cl・CHCl2アルカリで脱塩酸することによって製造される。蒸気は麻酔性をもち,有毒。きわめて不安定で,酸素により爆発性の過酸化物を生じ,熱,光,ラジカル重合触媒によって容易に重合するので取扱いには注意を要する。

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大辞林 第三版の解説

えんかビニリデン【塩化ビニリデン】

無色の液体。化学式 CH2=CCl2 蒸気は麻酔性がある。写真の増感に用いる。不安定で酸素と過酸化物をつくる。熱・光・触媒によって重合するが、単独重合体は結晶性で安定性が悪いので、塩化ビニルなどと共重合させた塩化ビニリデン樹脂として用いる。 1 、 1 ジクロロエチレン。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

塩化ビニリデン
えんかびにりでん
vinylidene chloride

エチレンの塩素二置換体の一つ。正しくは1,1-ジクロロエテンという。クロロホルムに似たにおいのする揮発性無色液体。
 工業的には、クロロエテン(クロロエチレン、塩化ビニル)への塩素付加または1,2-ジクロロエタンの塩素置換により得られる1,1,2-トリクロロエタンを、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムにより脱塩化水素することにより製造する。きわめて不安定な化合物で、酸素に触れ過酸化物をつくり爆発することがあるので水中や暗所で貯蔵する。光、熱、触媒により重合しやすい。塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリルなどとの共重合体がよく用いられ、合成繊維、商標名サランで知られる、耐薬品性が大きく吸湿性の小さいラップ用食品保存フィルムなどの原料となる。自動車の内装、漁網などにも使われる。蒸気は麻酔作用があり有害である。[谷利陸平]

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精選版 日本国語大辞典の解説

えんか‐ビニリデン エンクヮ‥【塩化ビニリデン】

〘名〙 (ビニリデンはvinylidene) トリクロルエタンの脱塩化水素反応により合成される物質。化学式 C2H2Cl2 不安定で酸素に触れて過酸化物をつくり、光、熱、触媒により重合して塩化ビニリデン樹脂となる。

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化学辞典 第2版の解説

塩化ビニリデン
エンカビニリデン
vinylidene chloride

1,1-dichloroethene,C2H2Cl2(96.94).CH2=CCl2.塩化ビニルを塩素化した1,1,2-トリクロロエタンの水酸化カルシウムによる脱塩化水素によってつくられる.融点-122.1 ℃,沸点31.7 ℃.1.2129.引火点-10 ℃.きわめて不安定で,酸素と接触すると過酸化物をつくり,光や熱で容易に重合する.塩化ビニリデン-塩化ビニル共重合体の合成に用いられる.加熱や衝撃によって爆発することがあるので水中に保存する.有毒.[CAS 75-35-4]

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