塩素酸のナトリウム塩。その製法には、塩化ナトリウム飽和溶液の電解による方法と、水酸化ナトリウムの熱溶液に塩素を吹き込んで酸化する方法がある。
無色の結晶で、準安定相として斜方、単斜両晶系のものも存在する。300℃以上で酸素を放って分解する。潮解性で、きわめて水に溶けやすい。酸性溶液中では強い酸化剤となる。爆発性であるから取扱いには注意が必要である。加熱だけではたいして爆発の原因とならないが、有機物のような可燃性物質の混入はその原因となる。重要な工業薬品で、二酸化塩素、亜塩素酸塩、過塩素酸塩の製造原料となる。二酸化塩素はパルプの漂白剤として、亜塩素酸ナトリウムは繊維漂白剤として用いられる。塩素酸ナトリウムはそれ自身でも優れた非選択性除草剤としての用途があり、酸化剤としては染色、電解加工などのほか、ウラン鉱からの酸性浸出にも用いられる。
[鳥居泰男]
NaClO3(106.44).塩素酸カルシウムと塩化カルシウムの混合水溶液に,塩化ナトリウムまたは硝酸ナトリウムを加えて複分解によりつくる.工業的には,塩化ナトリウム水溶液を隔膜を設けずに電解し,そのとき発生する水酸化ナトリウムと塩素をただちに反応させてつくる.無色の等軸晶系結晶.準安定な状態として斜方晶系,単斜晶系の結晶がある.融点248 ℃.密度2.490 g cm-3(15 ℃).300 ℃ 以上に熱すると酸素を放って分解する.吸湿性がある.水に易溶,エタノールに可溶.酸性水溶液は強い酸化作用を示す.過塩素酸塩の製造,酸化剤,マッチ,花火(黄色),爆薬,殺虫剤,除草剤,印刷インキ,染料,化粧品原料,織物加工,製紙,皮なめしなどに用いられる.有毒.[CAS 7775-09-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…いずれも茎葉処理で,非選択的,接触型除草活性を示す。 無機除草剤では,塩素酸ナトリウムが強力な非選択殺草作用を有するので,林地,開墾地などのササをはじめとする一般雑草の除草に用いられる。
[作用機構]
植物が他の生物に見られない生理的特性は,太陽エネルギーを利用して,水と二酸化炭素からグルコースをはじめとする炭水化物をつくるいわゆる光合成能を有することである。…
※「塩素酸ナトリウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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