大官大寺(読み)ダイカンダイジ

デジタル大辞泉 「大官大寺」の意味・読み・例文・類語

だいかん‐だいじ〔ダイクワン‐〕【大官大寺】

大安寺旧称の一。高市郡夜部村(現在の明日香あすか村)にあったときの名称一つで、それまでの高市大寺たけちのおおでらの名を天武天皇5年(677)に改称したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「大官大寺」の意味・読み・例文・類語

だいかん‐だいじダイクヮン‥【大官大寺】

  1. 奈良市大安寺町にある大安寺の旧称の一つ。天武天皇二年(六七三火災のために現在の奈良県北葛城郡広陵町百済の地から高市郡夜部村(現在の明日香村)に移されたときから、和銅三年(七一〇)平城京左京六条四坊に移るまでの間の呼称

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改訂新版 世界大百科事典 「大官大寺」の意味・わかりやすい解説

大官大寺 (だいかんだいじ)

大和高市郡にあった古代の官寺。奈良大安寺の前身。寺跡は奈良県高市郡明日香村小山と橿原市南浦にまたがる。金堂と塔の基壇を残す。《大安寺伽藍縁起幷流記資財帳》と《日本書紀》によると,617年(推古25)聖徳太子が熊凝(くまごり)村に建てた道場を起源とし,639年(舒明11)百済(くだら)川のかたわらに移建,百済大寺とするが,その後,673年(天武2)高市郡に移し,高市(たけち)大寺改号する。さらに677年大官大寺と改め,飛鳥寺,川原寺,薬師寺とともに,藤原京内の四大寺となる。大官は〈おおつかさ〉とも訓じ,仏教興隆と統制の国家機関を意味し,大官大寺とはまさに〈国家の寺院〉を意味する名称であった。文武朝には百済大寺と同じ九重塔と金堂を建てる,とある。《扶桑略記》によると711年(和銅4)焼失する。平城京遷都に伴い,716年(霊亀2)奈良に移転して大安寺となった。

 1973年以来の発掘調査によると,現推定地の寺域は東西2丁(約270m),南北3丁(約400m)の広大な範囲で,伽藍中枢部は中軸線上に南から,中門,金堂,講堂が並び,金堂前面の東側に塔を配置していた。回廊,金堂,塔は完成直前に被災していた。ただ,南門とともに西塔想定地に基壇痕跡がなく,当初から西塔を計画していたかはわからない。この遺跡は出土遺物から8世紀初頭に建立されたことがわかり,文武朝に再建された大官大寺である。天武朝の大官大寺の所在はわかっていないが,ここから北西400mにある紀寺跡をこれにあてる説がある。
大安寺
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百科事典マイペディア 「大官大寺」の意味・わかりやすい解説

大官大寺【だいかんだいじ】

奈良大安寺の前身寺院。聖徳太子建立の熊凝(くまごり)精舎を639年百済川辺に移して百済大寺としたのにはじまる。673年天武天皇が高市(たけち)に移して高市大寺とし,677年国家仏教の頂点に立つ寺として大官大寺の寺号を得た。701年造寺司が任命され,別の場所で新たに造営が行われたが,711年焼亡。716年平城京内に移転して大安寺となる。寺跡は奈良県明日香村小山にあり,金堂・廻廊跡などが確認されているが,この遺跡は完成直前に火災に遭っており,しかも藤原京の条坊地割にのっていることから,701年から造営が始まった大官大寺である可能性が強く,天武朝の寺の所在地は不明。
→関連項目国家仏教

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大官大寺」の解説

大官大寺
だいかんだいじ

大安寺の前身。「日本書紀」によれば,639年(舒明11)舒明天皇は百済(くだら)川畔(現,奈良県広陵町)に,百済大宮と百済大寺を建立した。この百済大寺は聖徳太子の建立した熊凝精舎(くまごりしょうじゃ)の後身とも伝える。さらに天武天皇は673年(天武2)に百済大寺をうけついで高市(たけち)大寺(現,奈良県明日香村)を建立したが,この高市大寺が677年に大官大寺と改称。「大官」とは天皇をさし,天皇みずからが建立した国家の中心寺院であることを意味する。のち藤原京の四大寺の一つとなり,やがて大安寺と改称される。改称時期については,藤原京時代とする説や,平城遷都にともない平城京に移転した後とする説がある。寺跡は国史跡。

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旺文社日本史事典 三訂版 「大官大寺」の解説

大官大寺
だいかんだいじ

大安寺

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世界大百科事典(旧版)内の大官大寺の言及

【大安寺】より

…南都七大寺の一つ。639年(舒明11)十市郡の百済(くだら)川のほとりに建てられた百済大寺に始まり,673年(天武2)高市郡に移って高市(たけち)大寺と称し,677年大官大寺と改称。さらに平城遷都の際,716年(霊亀2)左京六条四坊に移転し,大安寺と名を変えた。…

※「大官大寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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