出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
静岡県伊東市南部にある円錐(えんすい)形岩滓(がんさい)丘の火山。2010年(平成22)国の天然記念物に指定された。天城富士(あまぎふじ)の異名をもつ。標高580メートル。頂上には直径約300メートルの噴火口もある。天城火山活動の末期の約5000年ほど前の活動と推定され、北東麓(ろく)から玄武岩溶岩を多量に流出させて先原溶岩台地(さきばらようがんだいち)を形成した。その東端は相模灘(さがみなだ)に面する城ヶ崎海岸の海食崖(がい)となり、富戸(ふと)から八幡野(やはたの)に続き、溶岩トンネルもみられる。シャボテン公園になっている大室山北東麓の岩室山(いわむろやま)が溶岩流出丘で、北方の一碧湖(いっぺきこ)はその堰止(せきとめ)湖である。十足(とおたり)、池の地域も閉塞(へいそく)されていたが水田化した所である。一帯は乏水地域であったが、1961年(昭和36)の伊豆急行線開通後は、伊豆高原の別荘地や、観光施設の開発がみられた。なお、北東には小室山公園となっている小室山(321メートル)もある。伊東駅からシャボテン公園までバス35分。山頂へはリフトが運行されている。2月には、山焼き行事が行われる。
[北川光雄]
静岡県東部,伊東市にある円錐形の火山。標高581m。火山砕屑(さいせつ)物からなる比高300mほどの岩さい丘で,北麓の岩室山から玄武岩質の溶岩を流出して先原(さきばら)溶岩台地を形成し,その東端は相模灘に達して富戸(ふと)から赤沢までの城ヶ崎海岸となった。山腹斜面は草原として原形を保っており,山頂には直径約300mの噴火口をもち,北麓からリフトが通じる。山麓から先原溶岩台地や堰止湖である一碧湖にかけては伊豆高原と呼ばれ,サボテン公園,ゴルフ場,別荘地などが多く観光地化が進んだ。
執筆者:北川 光雄
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