大崎上島(読み)オオサキカミジマ

デジタル大辞泉 「大崎上島」の意味・読み・例文・類語

おおさき‐かみじま〔おほさき‐〕【大崎上島】

広島県南部、瀬戸内海芸予諸島中の島。竹原市南の沖合にある。面積38平方キロメートル。造船業は、かつて島の主要産業だった。農業ではミカン栽培が盛ん。南西に大崎下島がある。

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日本歴史地名大系 「大崎上島」の解説

大崎上島
おおさきかみしま

竹原市の真南の沖合にあり、北東―南西に長く、広島県の中部島嶼では最大の島で、面積三七・六六平方キロ。南には大崎下島、東から南にかけて愛媛県越智郡大三おおみ島・岡村おかむら島が連なる。行政的には東北部に東野町、南西部に大崎町、南東部に木江きのえ町の三町がある。島の南部から東部は、最高峰の神峰かんのみね(四五二・六メートル)を中心に脊梁山地が長く延びる。このため、山地の東側では平地が少なく、山脚にすぐ海が迫り、西側は低丘陵がよく広がり平地も少なくない。北西海岸には干潟が広がり、干拓地が広く分布する。

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改訂新版 世界大百科事典 「大崎上島」の意味・わかりやすい解説

大崎上島[町] (おおさきかみじま)

広島県中南部,大崎上島にある豊田郡の町。2003年4月大崎,木江(きのえ),東野(ひがしの)の3町が合体して成立した。人口8448(2010)。

大崎上島町中西部の町。豊田郡所属。人口4351(2000)。大崎上島の北西部を占め,町域のほとんどは丘陵地で,低地の多くは点在する島と島との間を結んだ干拓造成地である。古くは安芸大崎荘に属し,江戸初期は福島氏,次いで浅野氏の所領となった。基幹産業はミカン栽培を中心とした農業で,標高200m付近までの傾斜地のほとんどが樹園地となっている。漁業は養殖漁業への転換が図られ,タイ,ハマチなどの養殖が行われている。南東部の神峰山(453m)は瀬戸内海国立公園の一部で,屈曲に富む海岸線と,多くの島々が散在する景観の好展望地である。西端の外浜(とばま)は白砂の砂浜が1km続き,海水浴場としてにぎわう。

大崎上島町南東端の旧町。豊田郡所属。人口2744(2000)。大崎上島の南東部にあり,南は大崎下島,愛媛県岡村島,小大下島,大下島,東は愛媛県大三島に相対する。背後には神峰山(453m)を最高峰とする300m前後の山地が東西に連なり,旧大崎町と旧東野町の境界をなしている。中心地木江は天然の良港で,古くから瀬戸内海の要港として栄え,明治以降は機帆船の重要な寄港地となり,船員たちの歓楽地ともなった。現在は大崎上島全体の玄関口で,竹原市や今治市とはフェリーや高速船で結ばれる。造船業が基幹産業で,中小型鋼船の製造が行われる。山麓一帯の急傾斜地にはミカン畑が広がっている。海岸部や神峰山は瀬戸内海国立公園に含まれる。

大崎上島町北東部の旧町。豊田郡に属し,芸予諸島の大崎上島北東部を占める。人口3036(2000)。中央部を南北に縦走する丘陵性山地によって町は二分され,東側を外表(そとおもて),西側を内浦と呼ぶ。北や西の海上には佐組(さぐみ)島,生野(いくの)島,契(ちぎり)島,臼島,船島をはじめ大小の島々が散在し,その多くは瀬戸内海国立公園に含まれる。島は古くから瀬戸内海航路の要衝で,北東端の鮴崎(めばるざき)は江戸中期には船舶の主要寄航地であった。明治・大正期には大小の造船所が設置されるとともに関連産業も発達して栄えた。海運,造船業は現在も基幹産業の一つとなっている。農業はミカン栽培が盛んで,契島には東邦亜鉛契島製錬所がある。中心地の白水はフェリーで竹原港と結ばれる。
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大崎上島 (おおさきかみじま)

広島県に属し,瀬戸内海の芸予諸島のほぼ中央に位置し,柳ノ瀬戸をはさんで本土竹原市に対する。面積37.7km2。南東部に神峰山(453m)があり,これより山脚が北東および西にのび,北西は屈曲に富む海岸をなす。小湾の奥に平地があり,島嶼(とうしよ)部としては干拓地が多い。豊田郡に属し,島の北西に大崎町,北部に東野(ひがしの)町,南側には木江(きのえ)町があったが,2003年4月3町が合併して大崎上島町となった。産業はミカンを共通に,大崎の農業,東野の造船と精錬(同町東野契島の東邦亜鉛),木江の造船が特色で,木江はかつて機帆船の寄港地として知られた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大崎上島」の意味・わかりやすい解説

大崎上島
おおさきかみじま

広島県中南部、瀬戸内海の芸予(げいよ)諸島の一島。豊田(とよた)郡大崎上島町に属する。面積38.36平方キロメートル。竹原市街前面の海上に位置し、南方の明石(あかし)瀬戸を隔てて大崎下島(しもじま)と対する。竹原港と垂水港間は約20分の距離にある。また三原市、東広島(ひがしひろしま)市(安芸津(あきつ)港)、今治(いまばり)市とも定期船で連絡する。神峰(かんのみね)山(453メートル)を最高峰とする山地が東部から南部にかけて延び、西側や北側に平地や干拓地がある。平安時代の大崎荘(しょう)の地で、江戸時代は広島藩蔵入地。島の南東部にある木江港は明治から大正にかけて機帆船の寄港地として栄えた。中小規模の造船業のほか、ミカン、ネーブルハッサク、野菜づくりが行われ、竹原市などへ通勤する者も多い。人口8676(2009)。

[北川建次]


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百科事典マイペディア 「大崎上島」の意味・わかりやすい解説

大崎上島【おおさきかみじま】

広島県南部,芸予諸島中の島。面積38.27km2。中世,大崎庄が成立,江戸時代には製塩や漁業が盛んであった。豊田郡の大崎上島1町からなる。大部分は丘陵地で,北西部に平地があり,海岸は屈曲に富む。ミカン,石灰岩を産する。竹原市,安芸津町(現・東広島市)から船便がある。
→関連項目大崎[町]木江[町]芸予諸島東野[町]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大崎上島」の意味・わかりやすい解説

大崎上島
おおさきかみじま

広島県南部,芸予諸島中の島。1島で大崎上島町を構成。木江東野大崎地区がある。東岸にある木江港は,豊臣秀吉の朝鮮出兵時の造船港として知られ,明治以後は若松から大阪に向かう石炭船の寄港地として繁栄した。島の主産業は傾斜地を利用したミカン栽培。かつては木造船の本場であった。東野矢弓に国立広島商船高等専門学校がある。島の東部で石灰石を産し,南部は瀬戸内海国立公園に属する。大西,白水,鮴崎,木江の各港から三原,安芸津などへの定期船がある。面積 38.59km2。人口 9955 (2000) 。

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