広島県中南部にある市。2005年2月旧東広島市が安芸津(あきつ),黒瀬(くろせ),河内(こうち),豊栄(とよさか),福富(ふくとみ)の5町を編入して成立した。人口19万0135(2010)。
東広島市南部の旧町。旧豊田郡所属。人口1万2335(2000)。北は旧東広島市,東は竹原市に接し,中央部を三津大川が南流して三津湾に注ぐ。中心集落の三津は古くから瀬戸内海航行の港として栄え,近世には広島藩の年貢米を収める藩蔵が設けられていた。藩米の払下げによって酒造業が盛んになり,安芸杜氏を生んだ。現在はジャガイモ,ミカン,ビワの栽培が盛んで,三津湾ではカキの養殖が行われる。また蛸壺を生産する。海岸沿いをJR呉線,国道185号線が通じ,桜の名所正福寺山公園,果樹試験場安芸津支場(現,独立行政法人の農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点)がある。大崎上島へ航路が通じる。
東広島市南西部の旧町。旧賀茂郡所属。人口2万5351(2000)。北は旧東広島市,南は呉市に接し,中央部を黒瀬川が南西流して,盆地を形成する。黒瀬川沿いに水田が開け,約300の溜池により灌漑される。古くから二毛作による水稲,麦の生産地であったが,近年は近郊農業地帯としてトマト,イチゴ,キュウリなどの施設園芸が盛ん。広島市,呉市,旧東広島市に近く,住宅団地の造成が盛んである。特産にマツタケがあり,秋にはマツタケ狩りの行楽客でにぎわう。重度身体障害者授産施設〈太陽の町〉がある。国道375号線が通じる。
東広島市東部の旧町。旧賀茂郡所属。人口6941(2000)。世羅台地にあり,東流する沼田(ぬた)川に入野川,椋梨(むくなし)川が合流し,谷沿いに小盆地が形成されている。沼田川と椋梨川の合流点にある中心集落の中河内は,1894年山陽本線の開通により農産物の集散地として急激に発展した。山陽自動車道のインターチェンジがある。米作,タバコ栽培が行われシイタケ,マツタケなども産する。篁(たかむら)山一帯は竹林寺用倉山県立自然公園に指定され,山頂付近にある竹林寺は重要文化財の本堂はじめ多くの文化財を有する。ほかに安芸の耶馬渓と称される深山渓や多目的の椋梨ダム,農林水産省中国種畜牧場(1994年廃止)などがある。
東広島市北端の旧町。旧賀茂郡所属。人口4404(2000)。世羅台地の西部にあり,沼田川の支流椋梨川の最上流域を占める。河川沿いに耕地が開け,多くの溜池があり,米作,タバコ栽培,酪農が行われる。最近は野菜栽培も盛んで,ピーマンは広島ピーマンとして全国に出荷される。ほかにリンゴ,クリ,マツタケも産する。神楽の町として知られ,五行神楽は県の無形民俗文化財に指定されている。
執筆者:清水 康厚
東広島市中西部の旧市で広島市の東隣に位置する。広島大学の統合移転決定を契機に,1974年に西条,八本松,志和,高屋の4町が合体,市制。人口12万3423(2000)。市域南半部に標高220m前後の西条盆地が広がり,その中を流れる黒瀬川の幅広い平地に中心市街地の西条の町並みが続く。西条町内の四日市は近世中国路の宿駅で,また賀茂郡の中心として広島藩の諸施設が置かれていた。町の北側に安芸国分寺跡(史)があり,また南方には県下最大の前方後円墳三ッ城古墳(史)や大内氏の鏡山城(史)がある。西条町から北西の志和盆地にかけては条里の遺構も見られる。1995年に広島大学統合移転が完了し,近畿大学工学部の移転と相まって若者が多い活気ある都市となった。また県の広島中央テクノポリス(高度技術集積都市)構想に沿って試験研究機関や先端技術産業の誘致につとめ,電気機械,輸送用機械などを中心にした製造品出荷額等は県内第4位(1995)のレベルまで増加した。JR山陽本線が通じ,山陽新幹線,山陽自動車道,広島空港(三原市)などが整備され,高速交通の利便性を急速に増している。
執筆者:藤原 健蔵
東広島市北部の旧町。旧賀茂郡所属。人口2892(2000)。世羅台地上にあり,北部の鷹ノ巣山に発し備後灘に注ぐ沼田川の上流域を占める。沼田川が丘陵を深く刻むため耕地はきわめて少ないが,米作,野菜栽培,畜産が行われる。高冷地の条件を生かした花木栽培も盛んで,特産に西条柿がある。国道375号線が通じる。
執筆者:清水 康厚
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
広島県中部、西条(さいじょう)盆地の中心をなす市。1974年(昭和49)賀茂(かも)郡西条、八本松(はちほんまつ)、志和(しわ)、高屋(たかや)の4町が合併、市制施行して成立。2005年(平成17)安芸津(あきつ)、黒瀬(くろせ)、河内(こうち)、豊栄(とよさか)、福富(ふくとみ)の5町を編入。JR山陽本線、山陽新幹線、国道2号、185号、375号、432号、486号が通じ、山陽自動車道の志和、西条、河内の三つのインターチェンジがあり、東広島呉自動車道の6インターチェンジがある。古代には安芸(あき)国府が置かれたとする説もあり、西条には安芸国分寺跡(国の史跡)がある。江戸時代には山陽道の宿駅四日市宿が置かれた。明治以降、賀茂郡の中心として県の出先機関などが置かれ、現在、エリザベト音楽大学、近畿大学、広島国際大学の東広島キャンパスがあり、1995年(平成7)広島大学の統合移転が完了、学園都市を形成している。また広島中央テクノポリスの中心として、電子工業やエレクトロニクスなど先端産業の立地が相次いだ。在来工業としては酒造業が有名で、西条の賀茂鶴(かもつる)など多くの銘酒があり、白壁造りの酒蔵がみられる。松林が多く、マツタケの産地としても有名、三永(みなが)水源池はフジの名所として名高い。三ツ城古墳(国の史跡)は広島県最大の前方後円墳である。また、中世山城の鏡山城跡(国の史跡)は鏡山公園となっている。高屋地区の旧木原家住宅は江戸初期の豪商住宅で国の重要文化財に指定されている。面積635.16平方キロメートル、人口19万6608(2020)。
[北川建次]
『『西条町誌』(1971・西条町)』
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