日本古代の律令制のもとで,諸国から毎年上京して政務を報告した使者。当時,諸国に派遣されていた国司が使者として毎年定期に上京するものに,四度使(よどのつかい)として朝集使,計帳使(大帳使とも),貢調使,正税帳使の4種があったが,朝集使はそのうち最も重要なもので,他の3使は史生(ししよう)などの雑任(ぞうにん)でもよかったが,朝集使には守(かみ),介(すけ),掾(じよう),目(さかん)の四等官が任じた。その名称の初見は《日本書紀》の大化2年(646)3月の記事だが,起源は地方へ貢納物を徴収するために派遣された使者にあったらしい。令の制度では,国司・郡司のその年の勤務成績報告書その他を持参して,毎年11月1日までに上京し,太政官や式部省,民部省などに出頭して国内の政務を報告するとともに,冬至,元日朝賀などの朝廷の儀式に参列するのを任務とした。しかし地方政治の乱れにともない,12世紀にはみられなくなる。
執筆者:早川 庄八
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
律令(りつりょう)時代、地方政治の実態を中央政府に報告するため上京した四度使(よどのつかい)の一つ。毎年11月1日以前(畿内(きない)国は10月1日以前)京進(きょうしん)の考文(こうぶん)(勤務評定書)が主要な提出公文(くもん)であるが、他の多くの公文も含めて朝集帳といい、国衙(こくが)全般の政務報告書になるため、その使者は四度使のうちもっとも重要視される。
[福岡猛志]
四度使(よどのつかい)の一つ。毎年国司の目(さかん)以上の官人から選ばれ,遠方の国の場合には駅馬の乗用が許されていた。国内の官人の勤務評定について考文などの公文(くもん)(朝集帳という)を進上し,その監査に際して答弁を行ったほか,計会帳の対勘や貢人の貢上などを任務とし,それらの補佐のために朝集雑掌が従った。賦役令にみえる諸国貢献物(大宝令では朝集使貢献物)の献上が実際に行われた形跡はない。朝集使は考文の進上される11月1日以前から翌年4月頃まで在京したようで,その間の上日(じょうじつ)は散位(さんに)寮が管理した。平安時代になると上京した官人が帰国しなくなり,考課に関する手続きも形骸化して,制度としては衰退した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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…(1)日本古代の律令制のもとで,国衙(こくが)の政務などを報告するため,毎年定期に上京する4種の使者。朝集使(ちようしゆうし),大帳使(だいちようし)(計帳使とも),貢調使(こうちようし),正税帳使(しようぜいちようし)をさす。いずれも国司がその任にあたるが,朝集使のみ四等官にかぎられ,他は史生(ししよう)などの雑任(ぞうにん)でもよかった。…
※「朝集使」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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