大府(市)(読み)おおぶ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大府(市)」の意味・わかりやすい解説

大府(市)
おおぶ

愛知県南西部、知多(ちた)半島基部の東側にある市。境川を挟んで刈谷(かりや)市に対している。1970年(昭和45)市制施行。JR東海道本線が通じ、武豊線(たけとよせん)を分岐する。国道23号、155号、366号のほか西部を南北方向に知多半島道路も走り、北西端、東海市にまたがって伊勢湾岸自動車道大府インターチェンジがある。知多半島を構成する尾張(おわり)丘陵は緩やかな起伏で、早くから酪農果樹の産地。第二次世界大戦後はタマネギ、キャベツなどの野菜やブドウ栽培が盛んで、ブドウの観光農園もある。丘陵地は名古屋市東郊のベッドタウンとして宅地化が進んでいる。工業は自動車関連工場が多い。地名は、古くは「大夫」、近世は「大符」といい伊勢(いせ)神宮の神符に関係があるといわれる。サクラの名所桃山公園、藤井神社蔵の「藤井宮御酒瓶子(へいじ)」、延命(えんめい)寺の刺繍普賢菩薩(ししゅうふげんぼさつ)像、円通寺の木造毘沙門天(びしゃもんてん)立像(ともに県指定文化財)の文化財があるほか、長草天神社のどぶろく祭りには、一般参詣(さんけい)者にどぶろくをふるまう風習がある。面積33.66平方キロメートル、人口9万3123(2020)。

[伊藤郷平]

『『大府市誌』全9冊(1982~1991・大府市)』


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