大滝根山(読み)おおたきねやま

改訂新版 世界大百科事典 「大滝根山」の意味・わかりやすい解説

大滝根山 (おおたきねやま)

大竹山,大岳霧島岳ともいう。福島県東部,阿武隈高地中央部にある山。標高は1192mで同高地の最高峰。田村市と双葉郡川内村にまたがる。山体の大半は花コウセン緑岩からなるが,山頂付近には蛇紋岩や緑色片岩の部分もある。山頂付近はなだらかな緩斜面を残しており,川内村高田島では,かつてこの山頂付近を夏季の放牧場に利用していた。現在はその一部が航空自衛隊のレーダー基地に利用されており,また山地の南東斜面の一部は阿武隈高原牧場となっている。西斜面に続く仙台平(せんだいひら)は標高850m前後の石灰岩台地であり,その北部と南部では石灰岩が採掘され,田村市の旧大越町のセメント工場に搬出されている。台地の表面には大小ドリーネが発達し,西の山腹には入水(いりみず)鍾乳洞(天),南部には1969年に発見されたあぶくま洞がある。大滝根山付近は阿武隈高原中部県立自然公園の一部となっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大滝根山」の意味・わかりやすい解説

大滝根山
おおたきねやま

福島県東部,阿武隈高地中央にある山。標高 1192m。山頂は平坦面をなし隆起準平原上の残丘。西の山腹には南北 3km,幅 500mにわたって仙台平の石灰岩台地が広がる。大小のドリーネがあり,西麓には鍾乳洞がある。花崗岩山地であるが,頂上付近には斑糲 (はんれい) 岩,石灰岩の部分がある。山頂からは太平洋や,那須,吾妻の諸火山を一望に収められる。入水鍾乳洞は地形学上貴重なもの。東方平伏 (へぶす) 沼はモリアオガエルの日本有数の繁殖地で,ともに天然記念物。阿武隈高原中部県立自然公園に属する。登山口は JR磐越東線の神俣駅。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大滝根山」の意味・わかりやすい解説

大滝根山
おおたきねやま

福島県東部、田村市滝根町地区、同市常葉町(ときわまち)地区と双葉(ふたば)郡川内村(かわうちむら)との境界にある山。阿武隈高地(あぶくまこうち)の最高峰で、標高1192メートル。花崗閃緑(かこうせんりょく)岩からなり、西側斜面には仙台平(ひら)とよばれる石灰岩台地があり、入水(いりみず)、あぶくまの鍾乳洞(しょうにゅうどう)がある。山頂には自衛隊のレーダーサイトがある。山頂付近は明治初年までは広い草山で、馬の放牧が行われていた。現在はツツジなどの低木が群生し、展望がよい。阿武隈高原中部県立自然公園の一部、JR磐越(ばんえつ)東線大越(おおごえ)駅から登山道がある。

[安田初雄]

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百科事典マイペディア 「大滝根山」の意味・わかりやすい解説

大滝根山【おおたきねさん】

福島県阿武隈高地の中央にある同高地の最高峰。標高1192m。花コウ岩よりなる隆起準平原中の残丘で,頂上から太平洋,那須岳,磐梯山の展望がすぐれる。キリシマツツジ,シャクナゲが群生し,西斜面の石灰岩台地仙台平には入水鍾乳洞(天然記念物),鬼穴などカルスト地形がみられ,石灰岩採掘場がある。登山口は磐越東線神俣(かんまた)駅。
→関連項目滝根[町]

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デジタル大辞泉プラス 「大滝根山」の解説

大滝根山

福島県東部にある山。標高1192メートル。阿武隈高地の最高峰。西麓は石灰台地が広がり、入水鍾乳洞やあぶくま洞がある。田中澄江の「花の百名山」に選定されている。

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世界大百科事典(旧版)内の大滝根山の言及

【阿武隈高地】より

…地形は隆起準平原の特徴を示し,なだらかな斜面と丸みを帯びた定高性山稜,広く浅い谷などからなる。最高峰は高地のほぼ中央部にある大滝根山(1193m)で,その南の矢大臣山(965m),北東の檜山(993m)などとともにこの高地では最も起伏の大きい分水嶺を形成し,それより北へ日山(天王山,1058m),花塚山(919m),霊山と分水嶺が続く。その東には畑川破砕帯をはさんで,天明山,国見山,八丈石山,東大森などおもに新期花コウセン緑岩からなる500~600m級の山地が並び,主分水嶺との間に草野,古道,川内などの山間小盆地をはさんでいる。…

※「大滝根山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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