大腸ポリープ(読み)だいちょうぽりーぷ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大腸ポリープ」の意味・わかりやすい解説

大腸ポリープ
だいちょうぽりーぷ

大腸粘膜上皮が増殖して内腔(ないくう)側に突出した病変。その形状は多様で、有茎性のものをはじめ、半球状や扁平(へんぺい)(扁平型)のものもあり、表面が滑らかなものや、表面は不正で血管拡張を伴うものなどもある。

 病理組織学的には腺腫(せんしゅ)性や過誤腫性などに大別される。胃ポリープとは異なり大部分が腺腫で、その10~15%程度に局在がんがみられ、家族性大腸腺腫症では成人の場合約80%で肉眼的にもがん化がみられる。多くは無症状で、大腸X線検査や下部消化管内視鏡検査によって診断されるが、質的な診断には生検切除が必要となる。

 大腸ポリープに対する治療は、腺腫であることが否定できない場合や悪性が疑われる場合、径が大きな場合などで考慮される。内視鏡下で生検を行い、組織検査・診断の結果をみて経過観察をするか、ポリープ切除が行われる。ポリープ切除術(ポリペクトミー)は内視鏡下で行われ、切除された病変は病理診断にてがんの有無評価される。がんでない場合であっても、異型度やポリープの径、切除断端の評価(採り切れているかどうか)、残存ポリープの有無などにより、経過観察や再検査などフォローアップ方針が検討される。

[渡邊清高 2019年8月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大腸ポリープ」の意味・わかりやすい解説

大腸ポリープ
だいちょうポリープ
polyp of the large intestine

大腸のポリープは,腫瘍性の腺腫と,非腫瘍性の過誤腫性ポリープ炎症性ポリープ,化生性ポリープの4つに大別される。大腸癌同様,加齢とともにふえ,男性に多い。腺腫はときに癌化する。特に大腸全域にびまん性に何百から何万と存在し,優性遺伝する家族性大腸ポリポーシスの場合には,放置すれば癌化する恐れがある。過誤腫性ポリープには若年性ポリープとポイツ=ジェガースポリープがある。炎症性ポリープには,潰瘍性大腸炎や限局性腸炎に伴うポリポーシス (多発性のポリープ) が含まれる。化生性ポリープは年齢とともに増加する通常2~3mmの小隆起で,直腸に好発する。腫瘍性である腺腫は外科的に治療する。

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