政令市の大阪市を特別区に再編し、広域行政を担う自治体を一元化する改革。日本維新の会が、前身の発足当初から看板政策として掲げている。2015年と20年の2度、大阪市民を対象として制度導入の是非を問う住民投票が実施されたが、いずれも僅差で否決された。連立政権を組む自民党と維新が今国会での成立を目指す「副首都」構想の関連法案では、都構想の是非と同時に「大阪都」への名称変更を問う場合、住民投票の対象を大阪府民に拡大できるとしている。
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大阪市と大阪府の二重行政を解消する地方自治体の行政改革構想。政令指定都市の大阪市を廃止し、公選の区長・区議会をもつ複数の特別区を設置し、インフラ整備、産業政策、観光振興といった広域行政機能は大阪府に集約し、福祉、教育、子育て支援などの住民に身近なサービスは特別区が担う構想である。第二次世界大戦中の1943年(昭和18)、東条英機内閣が東京市を廃止して東京府を東京都としたのをモデルに、大阪府知事や大阪市長を務めた橋下徹(はしもととおる)(1969― )が2010年(平成22)に提唱。地域政党・大阪維新の会の看板政策となった。東京以外にも特別区を設置できる大都市地域特別区設置法(平成24年法律第80号)に基づき、2015年5月と2020年(令和2)11月に、構想の是非を問う住民投票を二度実施したが、いずれも僅差(きんさ)で反対派が上回った。これを受け、一度目は橋下徹が政界を引退し、二度目には大阪市長の松井一郎(1964― )も任期満了後の政界引退を表明。大阪府知事の吉村洋文(よしむらひろふみ)(1975― )は民意を再度問うことはないと表明し、大阪都構想は実現しなかった。
高度成長期にできた政令指定都市(2020年末時点で20)制度は1956年(昭和31)の発足後60年以上が経過し、東京の一極集中、人口減・少子高齢化、地方経済の衰退などが進む日本の地方行政組織として、現状にそぐわなくなっていると指摘されてきた。大阪都構想は道府県と政令指定都市の二重行政の解消・効率化だけでなく、成長を牽引(けんいん)する大都市づくりの司令塔となり、住民サービスを充実させるねらいがあった。一方で、庁舎やシステム整備など多額のコストが必要になるとの批判のほか、道州制など、より広域の行政単位の実現を求める声もでていた。大阪都構想は現行の地方自治制度をめぐる議論に一石を投じたものの、賛成派と反対派の政争の具に終始した感は否めず、21世紀の新たな地方行政組織の姿を提示するには至らなかった。
[矢野 武 2021年3月22日]
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